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天国はまだ遠く
  • みんなの評価 5つ星のうち 3.9 190件
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  • カテゴリ:一般
  • 発行年月:2004.6
  • 出版社: 新潮社
  • サイズ:20cm/169p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-10-468601-8

紙の本

天国はまだ遠く

著者 瀬尾 まいこ (著)

誰も私を知らない遠い場所へ、そして、そこで終わりにする−。自殺願望の千鶴が辿り着いたのは山奥の民宿。そこで思いがけずたくさんの素敵なものに出逢って…。癒しと再生の物語。【...

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商品説明

誰も私を知らない遠い場所へ、そして、そこで終わりにする−。自殺願望の千鶴が辿り着いたのは山奥の民宿。そこで思いがけずたくさんの素敵なものに出逢って…。癒しと再生の物語。【「TRC MARC」の商品解説】

著者紹介

瀬尾 まいこ

略歴
〈瀬尾まいこ〉1974年大阪府生まれ。「卵の緒」で第7回坊っちゃん文学賞を受賞し、デビュー。中学校の国語講師。著書に「図書館の神様」など。

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みんなのレビュー190件

みんなの評価3.9

評価内訳

紙の本

一歩間違えたら胡散臭い綺麗事になるのに、瀬尾まいこはそうならない。恐るべし瀬尾まいこ。

2004/08/03 16:55

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:エルフ - この投稿者のレビュー一覧を見る

特別に何かに優れているわけでもなくまた特に目標もない…多分周りから見れば千鶴の苦悩もそこまで重いものでもなく、会社からリストラを言い渡されそうでもなければちゃんと彼氏もいるし友達もいるなんて逆に恵まれているくらい…。
だけど本人からすればノルマを達成できない、会社のお荷物だとどんどん自分を追い込んでいき、また仕事がうまくいかないから次第にプライベートでも楽しめなくなる。
だからといって退職したり有給をつかってリフレッシュする勇気も出ない…世の中のOLの殆どが一度や二度こういう気持ちになってしまうのではないでしょうか?
私はすごーくこの主人公の気持ちが分かるんですよね。
周りから見ればそんな悩みたいしたことないのでしょうし、転職すればいいじゃんとか好きなことすればいいじゃんと言われがちなのですが、今がうまくいかないのに次なんて考えられるわけがない。

そんな時、荷物をまとめて自殺への旅に出る主人公、もちろん行き先は日本海の端。
死ぬ前に散財しようと思っても欲しいものも浮かばず、3年暮らした部屋は何となくカラッポで、大好きな鞄に入れる荷物もスカスカ。
決心して睡眠薬を飲んだのに気分爽快に目覚めた千鶴…ここは天国なのか?

自殺しようと旅に出る主人公の物語なのに何故かあちこちに笑いの要素がある。
真剣に悩んでいるのに重たくなり過ぎない。
また彼女が出会う人達との会話のテンポがいいんです。
最初に出会うタクシーのおっちゃんから、民宿の田村青年までいい味を出していて全く無駄がないんですよね。

この本を読んでも悩みが解決するわけでもないし、多分主人公の今後も大なり小なり今回と同じ気持ちに陥る心配はある、それにこんなに恵まれる旅に出れること自体が奇跡なんですが、そういう事を全て含めても読んで気持ちの良い1冊でした。

旅に出る時はスカスカだった鞄はパンパンに荷物で膨らみ、滞在して1ヶ月にも満たないのに民宿の部屋は自分の空気で満たされている、こういう細かい部分にも旅に出る前とラストの主人公の気持ちが比較されてるのも良かったです

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紙の本

正直、本作を読み終えると少し寂しい気分になる。それはしばらく瀬尾作品を読めないといういう素直な気持ちの表れかもしれない。

2004/06/19 10:37

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:トラキチ - この投稿者のレビュー一覧を見る

本好きにとって“一心不乱”に読書に耽る時間って本当に幸せである。
それは瀬尾まいこが読者を“瀬尾ワールド”にエスコートしてくれるからにほかならない。

瀬尾まいこの小説に“トリック”という変化球はいらない。
なぜなら、直球勝負で十分に読者を魅了させることが出来るからである。

本作においては“自殺志願”の23才のOL千鶴が主人公である。

前2作品(『卵の緒』、『図書館の神様』)との大きな違いはやはり文体であろう。
テンポのいい軽やかな文体から、本作は叙情感溢れる落ち着いた文体となっている。
そのあたり少し戸惑われる方がいらっしゃるかもしれないな。
逆に一貫性のある面もある。それは“人とのふれあい”の大切さを読者に教えてくれてる点である。
彼女の小説の一番の読ませどころと言っていいんじゃないかな。

本作も自殺しようと思ってさびれた田舎の民宿に滞在した約3週間の間に主人公は自分の人生を見つめ直す。
本作においても、『図書館の神様』の垣内君のような存在の男性が登場する。
民宿の主、田村さんだ。
彼の心の広さと目に見えない気配りが、千鶴の心の中を清めてくれたのは間違いない。

でも、恋愛模様を模索するのもどうかなあと思うが、少し結末を変えて欲しかったなあと思ったりするのは瀬尾作品に魅了された証なのかなあ…
女性が読まれたら最後の別れのシーンの田村さんの態度、余計に惚れちゃうのかも知れません(笑)
読まれた方しかわからないでしょうが、きっとちっぽけなマッチ箱は田村さんの最大の愛情表現だったのでしょうね。

“心の機微”ってむずかしいですね。
瀬尾さんの作品を読むといつもそう感じます。
ページをめくりながら、一緒に悩み、考え、共感し…そして本を閉じる

本作を読んだあと“今日からは私ももう少しひたむきに生きてみよう!”と思われる方が多いと思う。
誰も“こんな薄い本にこんな大きなエネルギー源が詰まっている!”とは予期していないはずだ。

“主人公以上に読者の心も浄化される”から瀬尾まいこのファンって幸せである。

きっと読者と瀬尾作品との関係って作中の千鶴と田村さんとの関係に等しいと言えるんだろう。

『海も山も木も日の出も、みんな田村さんが見せてくれた。おいしい食事も健やかな眠りも田村さんを通して知った。魚や鶏を手にすることも、讃美歌を歌うことも、絵を描くことも、きっと田村さんが教えてくれた。そう思うと、胸が苦しくなった。
ここで生きていけたら、どんなにいいだろう。きっと、後少し、後1ヶ月だけでもここで暮らしたら、私はもっと確実に田村さんのことを好きになったはずだ。田村さんと一緒にいたいと、もっと強く思えたにちがいない。…』

嬉しい情報があります。
『卵の緒』に収録されてる「7's blood」がNHKでドラマ化されるらしい。
文芸雑誌での連載も増えてきている。
瀬尾さんのさらなる活躍を願ってるファンの数が増える事を願ってやまない。

トラキチのブックレビュー

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紙の本

なんか、たるい展開だよな、あんまり愚図な女や浮世離れした男はいやだよな、これなら『図書館の神様』のほうが青春してたよな、と思うのであります

2004/08/21 19:06

5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

へたうまというか、ま、いかにも瀬尾まいこの本だな、と思わせる装画は霜田あゆみ、装幀 新潮社装幀室。『図書館の神様』のときも、いかにも児童本的なイラストをスズキエミがつけていたけれど、二冊続けてのこのてのカバーは、如何なものかと思ってしまうのではあります。

主人公は山田千鶴23歳、疲れ果て自殺を決意した保険の営業。何でもほどほどにできるが、なにが得意ということも無く、なんとなく現在の仕事につく。性格はいいけれど、仕事のノルマ達成には全く役立たない。働き始めて三年で、周囲ともうまくやっていけず。仕事をやめるという判断もできない女。ということで、彼女は短大出なんだと分かる。

二年間そばにいた彼というのが久秋、26歳。わからないことや納得できないことがあると、すぐ眉をひそめるので、眉間に縦皺が深く刻まれている。何時の頃の彼であったのかというのは、ちょっと分かり難いのかもしれない。で、彼はほんのチョイ役で出てくるのだけれど、かなり好印象である。

で、千鶴が自殺の舞台に選んだのが、北に行く特急が止まる一番端の駅、そこからさらにタクシーで北に行った木屋谷という集落なのだが、それが具体的にどこだとは書いていない。そういえば、千鶴が生活していた都会がどこであるのか、というのも明確に描かれてはいない。

で、彼女が死のうとしたその村は、千鶴にとってはなにも無い村に等しい所だが、その実、車でちょっと行けば、普通の商店街をもった町もあるという、日本のどこにでもある地方の村である。ちょっと違うのは、近くに眼鏡橋という自殺の名所があるという点だろうか。

で、夜遅く、彼女の行動を怪しむタクシーの運転手に案内されたのが、民宿たむらである。主人は、田村、30歳。もとデパートに働き、三年前に両親が亡くなり、民宿を継いだというUターン組みである。といっても、民宿に客がいる気配はない。彼は、もっぱら有機野菜を販売して生活をしている。

千鶴は見事死ぬことができるのだろうか、はたまたサスペンス風の展開をするのだろうか。それは読んでのお楽しみだが、個人的には「甘えんなよ」と思う部分が多すぎて、『図書館の神様』ほどには楽しめなかった。この本には、三年C組の垣内君のような好青年が、出てこないのである(久秋は、期待させた割にあまりに出番が少ない)。

しかし、この作品の評判はかなりいい。どうも、最近の若い人は年上の異性に幻想を持っていて、かなり甘い点を付ける傾向があると思うのだが、どうだろう。一回り以上歳の離れた夫が我が家に一人いるが、かなりウザイものである。やっぱ、必要なのは頭でっかちのオヤジではなく、ピッチピチしたイケメンの男の子であるとは、私の持論だが、あなた、どう思います?

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紙の本

二十一日間

2004/08/01 22:44

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 「死のうと思っていた」。太宰治の第一創作集『晩年』の冒頭の作品『葉』の、有名な書き出しである。この一言で太宰の魔術にかかった人も多いのではないだろうか。誰もが、一度はそんな風に思いながら、けっして口に出せなかったことを、太宰はさりげなく書いた。そのことで、この人は自分のことをわかってくれる人だと思い込んでしまった。少なくとも、私にとっての太宰治は、そうだった。この文章のあとで、正月に麻の着物をもらったと続く。「これは夏に着る着物であろう。夏まで生きていようと思った」。臆病者の生き残るための、口実のようでもあるが、癒された。自分も生きてみよう。太宰の、たった数行の文章に救われた。

 『図書館の神様』の著者である瀬尾まいこの新作は、仕事も日常も嫌になった二十三歳の千鶴という女性が自殺を決意したところから始まる。まさに「死のうと思っていた」千鶴は、十数錠の睡眠薬をもって名もない鄙びた山奥の民宿にたどり着く。しかし、彼女は幸いにも死ぬことに失敗してしまう。街にも戻れない彼女は、山間の民宿で、宿の主人と奇妙な生活を始めることになる。

 舞台はどこだろう、海があり山があり、年老いた住民がいて、両親の突然の死でこの山間の村に戻ってきた民宿の主人がいる。そんな場所で、死に損ねた主人公は、やがて自分の心が死のうと思っていた頃とはまったく違うものになっていることに気がつく。何か事件が起こるわけでもない。感情の起伏があるわけでもない。季節は静かに進んでいる。それなのに、たくさんの時間が過ぎ去ったような錯覚に、主人公も、私たち読み手側も陥ってしまう。そんな著者の企みのような文章に、いつのもなにか癒されている自分がいる。

 「二十一日間。たった二十一日。一ヶ月にも満たない。だけど、その日々は緩やかで濃密だった。静かでめまぐるしかった」(166頁)

 主人公千鶴は、そんな奇跡のような二十一日間を経て、生きていくために街に戻っていく。もっと、もっと生きていけそうだと主人公は新しい生活に帰っていく。太宰のように、期間限定の生き方でなく、おそらく主人公は新しい自分を見つけたからこそ生きていく勇気がついたのだ。主人公を再生させたのは一反の麻の着物ではなく、豊かな自然であり、生き続ける勇気をもった人だけがもつ心の大きさだった。彼女にどんな日常がまっているのだろう。それがどんなものであっても、彼女はもう死のうと思うことはないにちがいない。

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紙の本

絶望の淵から

2018/05/23 05:18

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る

山奥の村外れの風景が味わい深かったです。死を意識したヒロインが生の喜びへと目覚めていく瞬間には胸を打たれました。

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紙の本

瑞々しい再生の物語

2004/08/13 09:09

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:コモンセンス - この投稿者のレビュー一覧を見る

 主人公の千鶴は保険会社に勤める23歳のOL。日々の生活の何もかもが嫌になり、疲れ果て、死ぬことを決意して日本海に面した木屋谷という名の小さな集落にやってくる。一軒しかない民宿「たむら」の二年ぶりの客として投宿したその日の夜に、睡眠薬を14錠飲んで自殺を図るが、翌々日の朝にスッキリと目が覚め、民宿の主人が作った朝食(みそ汁、ご飯、白菜の漬け物、卵焼き、鰺の干物)を残らず平らげた。こうして木屋谷での彼女の日々が始まった。

 「朝、早く起き、男の用意した食事を食べ、自分の物を洗濯して、外へ出る。集落の周りをゆっくり回り、おばあさんに挨拶し、有機栽培のパン屋を覗く。おばあさんの挨拶はいつも一緒で、パン屋は一向に開店しない。集落を一回りしたら、原っぱでこれからのことを考えようと試みる。だけど、思考はちっとも進まない。頭が考えようとしないのだ。今の私は答えを見つける力がない。死ぬ気もなければ、何かを始める気も起きなかった。/昼前に宿に戻ると、男の用意してくれた食事がテーブルに載っている。おにぎりとか、サンドイッチとか、簡単で冷めてもおいしく食べられるものだ。それを食べて、また外へ行く。何も考えず、ただ歩く、昼からは村がそれなりに活気づく。お年寄りばかりだが、何人かが畑で動く姿を目にする。人が働く姿を見ると、さすがに活動しなくてはいけないって気持ちになる。だから、私も少し一生懸命歩き回る。くたびれたら、そこら辺りに座り込んで、ただ、景色を眺める。時々、細い雨が降ったりするが、気にはならなかった。ただそれだけで、日々は過ぎていった。」

 彼女は生と死の間にいる。生物学的にはちゃんと生きているが、社会学的には「民宿の客」として、つまり地域共同体の外部から一時的にやってきた人間としてのみ存在する。彼女は社会から遊離している。物語は彼女が再び社会へかかわっていこうと決意するまでを描く。すなわち再生の物語である。前作『図書館の神様』も再生の物語であった。再生(再起)の物語は大衆文学の王道である。「忠臣蔵」も「プロジェクトX」も再生の物語である。われわれは再生の物語が好きなのだ。だが、そうであればこそ、再生の物語は大量生産され、マンネリになりがちである。読者はたんに再生の物語であるというだけでは感動しない。再生の過程をいかに瑞々しく、いかに繊細に、いかに説得的に描けるかが重要である。瀬尾まいこはそれをなんなくやってのける。才能というしかないが、彼女がこれから先ずっと才能だけでやっていけるとは思えない。どんな作家も自己模倣に陥る可能性はある。はたして彼女が次にどんな物語を書くのか、注目して待ちたいと思う。

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紙の本

おかしな浦島太郎かもね。

2004/07/23 19:25

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:池のワニ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 自殺を考え、旅に出ようとしている。それなのに、ガスの元栓をもう一度確認しないではいられない。そういうヒロインだ。名前は「山田千鶴」。いまどき二十そこそこのOLに「千鶴」だなんて、名前ひとつで親の顔なんかも浮かんできたりしてくる。些細なことではあるが、この作者の独特さともいえるだろう。
「とりあえずもっと北へ向けて走らせてくれませんか」
 降り立った日本海の駅で彼女はタクシーに乗り、「北って、どこやねん」とつっけんどんに訊き返す運転手に、奥へ行ってくださいと繰り返す。どう見たって自分でアブナイと言いまくっているようなもの。深刻な話のに、吉本新喜劇のニオイがぷんとする。何ともいえないリズムがいい。
 灯かりもなきゃ、ひと気もない。夜道に車を降りた彼女は不安におそわれる。死のうと思っているんじゃないのと、読者としてはツッコミたくなるが、これもすべて作者は計算づくに違いない。悲そうは、ときにおかしみを伴う。とくに他人の目には、テンションが上がった状態なんて滑稽にさえ思えることがある。
 彼女が自殺を決意した職場の悩みなんて、ありがちなこと。だから彼女はある意味、読者の分身でもある。はきはきとものが言えないドン臭いヒロインが、過疎の村で民宿を営む(といっても、彼女が何年ぶりかの客らしい)主にそっけなく雑にもてなされるうちに、自分自身のおかしさに感づきはじめる。話半ばにして、この先の結論は見えてくる。ストーリーに特別な山も谷も仕掛けもない。しかしそれでも、そこがまたいいと感じさせるのは作者の手腕だろう。
 人はのんびり、米がうまい、魚が美味しい。自給自足の自然な時間を身体で感じ、厳しさとともに楽しさを味わい、一日伸ばしに滞在を延長していくうち、垢のように彼女のなかからポロポロ落ちていくものがある。成長小説でもあるし、恋が実って救われました。なぁんて、ハッピーエンドじゃないところがいい。

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2004/11/20 23:50

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2005/11/29 18:56

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2005/03/28 16:08

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2006/01/06 18:35

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2004/10/11 21:29

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2005/02/22 13:14

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2004/11/27 22:12

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