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犯人に告ぐ 1
  • みんなの評価 5つ星のうち 4 246件
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  • カテゴリ:一般
  • 発行年月:2004.7
  • 出版社: 双葉社
  • サイズ:20cm/367p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-575-23499-0
  • 国内送料無料

紙の本

犯人に告ぐ 1

著者 雫井 脩介 (著)

【大藪春彦賞(第7回)】犯人よ、今夜は震えて眠れ−。連続児童殺人事件。姿見えぬ犯人に、警察はテレビ局と手を組んだ。史上初の劇場型捜査が始まる! 『小説推理』連載に加筆、訂...

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犯人に告ぐ 1

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商品説明

【大藪春彦賞(第7回)】犯人よ、今夜は震えて眠れ−。連続児童殺人事件。姿見えぬ犯人に、警察はテレビ局と手を組んだ。史上初の劇場型捜査が始まる! 『小説推理』連載に加筆、訂正して単行本化。【「TRC MARC」の商品解説】

著者紹介

雫井 脩介

略歴
〈雫井脩介〉1968年愛知県生まれ。専修大学文学部卒業。2000年第4回新潮ミステリー倶楽部賞受賞作「栄光一途」でデビュー。著書に「虚貌」「白銀を踏み荒らせ」「火の粉」など。

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みんなのレビュー246件

みんなの評価4.0

評価内訳

人気ミステリー作家絶賛のわけ

2004/07/29 22:58

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:八重桜 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 横山秀夫、福井晴敏、伊坂幸太郎。言わずと知れた実力派ミステリー作家がこぞって絶賛。そんな帯がかかっているのを書店で見て、思わず手が伸びた。「劇場型犯罪」というのは近年マスコミでもちょくちょく話題にのぼるが、この『犯人に告ぐ』は、捜査に行き詰まった警察が「劇場型捜査」を行うという斬新な設定で、そこにも魅力を感じた。
 斬新な設定だけでなく、人間の内面がリアルに描かれていて読み応えがある。被害者よりも家族の方が大切、と公共の面前で言い放つ巻島は、極めて人間くさい。まるで主人公たちを目の前にしているかのような臨場感を感じるのは、彼らの弱さや卑怯さ、傲慢さがリアルに描かれているからだ。彼らの行動にいちいち共感したり反感を持ったりしてしまったが、考えてみれば、最近こんなに感情移入できたミステリーはなかったな、と思う。一読の価値はある。

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『火の粉』を超えた作品を上梓してくれたことを感謝したく思う。

2004/07/31 20:14

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:トラキチ - この投稿者のレビュー一覧を見る

警察小説と言えばまず、横山秀夫さんのイメージが強いが、雫井さんも負けてはいない。
警察内部の出世争い等専門的なことは横山さんに譲るとしても、に警察全体のあり方を語らせたら雫井さんの方が読み応えのある作品を書くんじゃないかな。
とにかく“ダイナミック”な作品である。
主人公の巻島は本当に“波乱万丈な人生”を送っている。
過去の誘拐事件での不手際(前半部分で描写されている)からいったん前線から退いたが、本作のメインストーリーである連続誘拐殺人事件にて復帰して前代未聞(?)のテレビ局出演を果たす…
彼の男としての矜持はいかに描かれてるのだろうか?
読者はめくるページを止めれない。
まさしく雫井マジックに嵌ってしまうのである。
個人的にはテレビ局の報道のありかたがとっても“臨場感”があったので印象的である。
ライバル局を登場させての展開は読者をよりいっそうハイテンションにさせてくれる。
テレビ局への出演はいわば巻島対植草の熱き戦いであった。
少し印象的な場面を引用しますね。

「あなたの言い分はどうでもいいんです」巻島は冷ややかに言い捨てた。「あなたに非があると言うつもりもない。ただ、私にとっては邪魔なんです」
巻島は植草を見据えて言葉を継いだ。
「これは私の捜査なんです」
私の捜査だと?
「思い上がるなっ!」
巻島は首を振る。
「あなたは刑事の血を知らない。思い上がりではなく、正直に言ってるだけです。これは紛れもなく私の捜査です」


植島の公私混同ぶりは本当に腹立たしい。
しかし願わくばこんな薄っぺらい人間が警察にて仕切っているなんて、せめて小説だ
けの世界にしてほしいなあ(笑)

雫井作品の醍醐味ってなんなんだろう。
読みやすい文章と予断の許さない展開かな? 特に社会派的な要素も多分に取り入れてるのも特徴かな?
本作なんかは“報道のあり方”とうい観点から読まれてもきっと楽しめ新しい発見を読者にもたらせてくれるのだと思う。
少し難点を言えば、やはり犯人(バッドマン)の登場の仕方があっけないなあと思われた方も多かったかな。
もっと犯人の過去などを掘り下げて書いて欲しかったと思われた読者もいらっしゃるのだろうと思う。
そこがやはり“一方通行的”だなあと思ったりした。

しかしながら上記の点を差し引いても本作は迫力満点に読者に襲い掛かってくる。
素晴らしい点は警察のみならずメディアのあり方を問うた作品であることであろう。
スマッシュヒットとなった前作『火の粉』と比べると、サスペンス度においては劣る
かもしれないが、読後感の良さや感動度においては本作の方に軍配を上げたく思う。
きっと1作1作力をつけて行ってるのでしょうね。

いかに私たちが日常“正義”ってものを欠如して生きているかをもういちど考え直すきっかけとなったような気がする。
雫井さんに素直に感謝したい気持ちで一杯である。…

トラキチのブックレビュ-

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何の、誰の為に立ち上がるのか!

2004/09/08 00:02

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:luke - この投稿者のレビュー一覧を見る

 心に染みる余韻が気持ち良い。絵に描いたように、高倉健や渡哲也(ホントは長髪なんだけどね)がピッタリはまるような、理不尽な処遇にもめげず与えられた職務を全うし、失敗は己がかぶり賞賛を望まず、その責任感ゆえ心に悔恨の念を持ち続け、不平も言わずにひたむきに生きているひとりの刑事がその信念を賭け闘った記録が本書である。良いじゃないか、現実には居ないなんて言うなよ。男が惚れる男の生き方、男の美学なんだな。

 左遷された捜査指揮官が左遷地での検挙率の高さが目にとまり6年後の今、当時の上司で現在の県警本部長に再び連続幼児殺害事件の指揮を執るため呼び戻されてきた。行き詰まった捜査打開のため、テレビのニュース番組を利用しての公開捜査を命ぜられる。またもや捨て石のような扱いの予感を感じながらもその任を受け事件に立ち向かう。堪えて、耐えて、我慢を重ね、無念の被害者のため、悲しみにくれている被害者の家族のため最後に立ち上がる、これぞ傷だらけのヒーローだ。帯にある「犯人よ、今夜は震えて眠れ」の決め台詞、このクライマックスに身震いしたのは犯人ばかりじゃない、ぼくらだって…。
 
 追う警察側のストーリーに犯人側の思惑や心理描写はない。しかし、それを補って余る程、犯人の存在感を感じるのは追う側を緻密に描ききっているから相対的に浮き出て来ているのではないか。階級組織の警察は簡単な上下関係じゃない。上官の命令こそ絶対、背けば左へ右へ飛ばされる、詰め腹だって当たり前、警察署どうしの縄張り争いに手柄の取り合い、捜査の障害や陰謀は内部に溢れている。限りない制約の中で思い通りの捜査なんか出来ないけれど、やらなければならない時がある。全てを投げ打っても闘わなければならない時が。「これは、自分の捜査だ」と言い切った時、それまでバラバラだった捜査陣があたかも進軍ラッパで軍隊が整然と敵陣へ向かうように、捜査態勢が1つにまとまった瞬間でもあった。う〜ん、たまらない。こうじゃなくちゃ!

 どんな言葉を持ってきて良いのか悩んでしまうくらい凄いです。これほどまでとは思わなかった。確かに絶賛。読んでいて、設定や、言い回しや、展開やら、考えずともつい頭をよぎってしまい、気持をそがれてしまう事って少なくありませんが、まったく余計なことを考えずに没頭出来ます。登場人物のキャラクターも申し分ないですね。台詞も良いです。生きている台詞です。無駄が何処にもありません。その上、単なる捕り物劇に終わっていない。犯罪被害者に加害者、そして追う者さえにも残してしまう重い傷跡にもしっかり触れている。中身は濃い。胸が締め付けられるようなラストに感涙。もっと読み続けていたかった。

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「劇場型捜査」という大嘘を突き通すためには細部のリアリティが不可欠で、本書はその点で成功していると思う。

2004/09/15 09:51

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:念仏の鉄 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 この本を読んで、『身代金』というアメリカ映画を思いだした。息子を誘拐された成金実業家(メル・ギブソン)が、テレビ局のスタジオに、身代金として用意した札束を積み上げ、「この金はお前の懸賞金だ。身代金は、やるものか!」と言い放つ場面が鮮やかだった。犯人に追い詰められて破滅の瀬戸際に立っていたはずの被害者が逆ギレし、一瞬にして狩る者と狩られる者が逆転するという構図が印象に残っている。

 本書にも同じような場面がある。だが、テレビに出演して犯人に語りかけるのは、被害者でなく警察官だ。幼い男児4人が連続して殺される事件の捜査に行き詰まった神奈川県警は、着任したばかりの曽根本部長のアイデアで、捜査の責任者をテレビ出演させ、手がかりを集める奇策に出る。一歩間違えば生贄の羊となるであろうその役を担うために県警本部に呼び戻されたのは、曽根が刑事部長だった6年前、手痛い失敗を犯して田舎の署に追いやられた過去を持つ、巻島警視だった…。

 組織内部に巣くう野心、欲望、敵意、保身、縄張意識、さまざまな思惑を知りつつ、あえて火中の栗を拾い、孤立無援の戦いに挑む巻島の人物像に惹かれる。捜査に失敗し、世間に敵視され、組織内部でも見捨てられ、それでも刑事であることをやめようとしない巻島と、彼を支える気概を持った、ほんの数名の部下たち。奇抜な捜査方法が引き起こす内外の反響をリアルに描きながら、物語はぐいぐいと進む。最後まで一気に読めた。

 警察内部の組織人たちの思惑、巻島という素材に対するテレビ局の反応や他局の対応、世間の風向きが変わったと見るや一転して冷淡になるディレクターの態度などが、いかにもありそうに描かれる。「劇場型捜査」という大嘘を突き通すためには細部のリアリティが不可欠で、本書はその点で成功していると思う。
(逆の例を挙げれば、たとえば乱歩賞を受賞した『破線のマリス』。この作品の根幹をなす出来事は、職業として報道に携わった経験のある人間から見れば信じられないほどずさんな行為なので、馬鹿馬鹿しくて読んでられないという気分になってしまう)
 そして、そんなもろもろの情報を盛り込みながらも、物語を通じて、事件解決に向ける巻島の信念という軸が一本通っていて、大きなブレがない。

 ただし、面白いことは面白いのだが、難を言えば、後半は県警内部の暗闘に重心が寄りすぎて、本筋の捜査の影が薄くなってしまった感がある。もう少し、犯人との知恵比べにウエートがあってもよかったのでは。
 そう感じるのは、巻島が左遷後のダメージから立ち直る過程で、部下の津田から、こう諭される場面があるからだ。
「犯人を怖がっちゃいけませんよ。ただの人の子なんです」
 これは実にいい台詞だ。本書の書き出し、
「刑事を続けていると、自分が追っているはずの犯人に、ふと、そこはかとない恐怖心を抱くことがある。たいていの場合、それは相手の姿が見えないからだ。」
という巻島の内面の記述を受けてもいる。
 せっかくよいモチーフを提示したのだから、最終的に、公開捜査そのものがこの津田の台詞に収斂していけば、より味わい深い物語になったのではないだろうか。

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連続児童殺人事件に対するテレビ公開捜査はいかにして行われていくか.

2004/09/20 01:23

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:格  - この投稿者のレビュー一覧を見る

 神奈川県警,警視巻島史彦が主人公.45歳にして警視に昇格し,しばらくして捜査一課特殊犯係二班を束ねる管理官となった.そこで起きた誘拐事件で,犯人に振り回されたあげく,偶然も手伝い,犯人を逃してしまう.そして,誘拐された子供は殺害される.その記者会見の当日,巻島の娘が死線をさまよう状態に重なったこともあり,記者の執拗な追究に切れてしまい,左遷.ここまでが前置きである.

 数年後,巻島は足柄署の特別捜査官となり,県下検挙率no.1を実現していた.その頃,県下で発生する連続児童殺人事件がおきていたが,当時,直属の部長だった曽根が県の本部長として戻ってきて,巻島を復活させる.そして,指示したのは劇場型の事件解決である.すなわち,テレビを活用した公開の捜査である.あるニュースショーのキャスターにも同じ犯人からと思われる脅迫状がきていたことのだ….

 巻島の優秀な刑事でありながらうまくいかない悩める姿が魅力ある人物としてうつる.巻島と同じ年齢でありながらキャリアとして本部長の曽根.非人間的で冷徹であることが当然であるところ,巻島をうまく使いこなすずるさがすさまじい.足柄署で巻島を支え,巻島の信頼から捜査本部に抜擢される津田の枯れた人間味.さらには曽根の甥でキュリア,巻島の直接の上司になる植草とその昔の恋人でライバル番組のニュースキャスターを勤める女性との関係も面白い.

 劇的な展開があるわけでもなく,むしろ淡々と物語は進んでいくのだが,テレビでの犯人に対する呼びかけとその反応の関係が面白く,一気に読まされてしまう.解決は唐突な感もあるが,それなりに論理は通っている. 

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メディアによって一線からはずされた刑事がメディアを利用して殺人鬼を追う。<刑事対殺人鬼>よりも<刑事対メディア>の構図に冴えが見られる。

2004/09/25 16:27

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:よっちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

冒頭の第1章に左遷された敏腕刑事巻島史彦がその傷を追った過去の幼児誘拐事件の回想がある。見えない犯人を身代金受渡しの現場で捕縛しようとする捜査陣、現金を持って右往左往する幼児の母親、焦燥の家族、受渡し場所を次々に変更する誘拐犯の手口、警察組織内の縄張り争い、そして犯人に肉薄する主人公。本筋ではないのだが、丹念に書かれたこの導入のエピソードから、スピードと緊張感にまず引き込まれる。
冒頭シーンはそれだけではない。犯人をすんでのところで取り逃がし、幼児は死体で発見されるのだが、世論の糾弾を恐れる警察内ではその責任を回避しようと記者会見を巻島に押し付ける。記者会見の席で巻島は難詰され、追い込まれ、混乱のうちにおかしてはならない大失態を演ずることになるのだ。一途な男であるが故の無念。ここに著者の筆のさえをみることができる。世論と良識の代表者顔をしたメディアの暴力、あらかじめ用意してあるストーリーに事実を改ざんする邪な傲慢がリアルに表現されている。

史上初の「劇場型捜査」と大見得を切って登場した作品である。「劇場型犯罪」という概念はミステリー界だけではなく実際にもあるようだが「劇場型捜査」は著者の創造力が生んだ虚構である。犯人捜索のために警察が組織決定方針としてマスメディアをこういうふうに利用することは考えられない。
進行中の児童連続殺人事件の捜査が行き詰まり、警察首脳は犯人、「バッドマン」捜査の筆頭責任者としてあの恥辱の過去をもつ巻島に白羽の矢を立てた。「劇場型捜査」!この作戦に積極的に乗った巻島は視聴率を誇る夜のニュースワイドショウに出演し、都度事件の推移を詳細にかたる。未発表の内部資料を公開する。進行中の事件の捜査現場責任者がレギュラーで登場するキワモノ番組であるだけに、視聴率は跳ね上がった。あらたに有効な目撃情報が集まるのだろうか。番組を通して見えない犯人におもねるように語りかける巻島。思惑通りにそれで犯人は刺激され、いぶりでてくるのだろうか。
あたかもマスメディアを通した、巻島対「バッドマン」の対決の様相を見せる。もし作者がこのふたりの虚虚実実の駆け引きを面白く書きたいと意図していたならばこの作品は成功しているとは言えない。読者がこの対決に興味を集中していたならば期待は裏切られる。事件は解決するのだが、それだけであったら著者のご都合主義といった感が残ったであろう。

がしかし、一方でストーリーは思いがけない方向に作者の力点が移って進行しはじめる。視聴率を最優先する民放同士の卑劣な舞台裏、ライバル番組へ情報を内通する捜査関係者、ライバル番組の繰り出す巻島への個人攻撃、メディアの魔力に翻弄される視聴者、あるいは被害者家族、警察組織。仮に「劇場型捜査」というものが行われたならばこのようなプロセスで大きな混乱が生じるのが現実であろう。視聴率アップのためにはヤラセも厭わぬ欺瞞の姿勢、人気キャスターによる番組の私物化などメディアの横暴ぶりに憤りを覚えることがあるのは私だけではないだろう。こうした現実をつぶさに描き出したところにこの作品の価値を見出す。
そして読者は前代未聞の「劇場型捜査」によって犯人があぶりだされるかとの興味よりも、巻島と彼が出演するニュースワイドショウ、ライバルの番組、警察内の内通者、これらの絡み合いの行方に夢中になってしまう。犯人が挙っても挙らなくとも巻島はマスコミによって袋叩きの憂き目を見かねない状況に追い詰められる。再び巻島はメディアの餌食になるのだろうか。逆転の秘策は………。

捜査官巻島がテレビを通して対峙しているのは「バッドマン」のようではあるが、メディアの犠牲者である巻島が超然として敵対しているのはむしろメディアだったのではあるまいか。著者の狙いはそこにあったようだ。その狙いは間違いなく成功している。

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私にとって、雫井といえば『栄光一途』だった。でもこれからは『犯人に告ぐ』でもある。その言葉を主人公が言う時、私はしびれた

2004/09/25 21:41

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

私にとって、雫井といえば『栄光一途』である。主人公堀内絵津子のあっけらかんとした現代っ子ぶりの痛快さもだけれど、なんと言っても脇役である佐々木深紅、薩摩示現流の剣士でもある彼女の男勝りの性格と、「ちぇすと!」と叫びながら剣を振るう姿は、思い出すだけでも頬の筋肉が緩む。だから、『虚貌』『白銀を踏み荒らせ』『火の粉』と雫井の作品を読みつづけてきた。しかし、『栄光一途』以上に楽しむことは無かった。そう、この本に出会うまで。

装幀 岩瀬聡、カバー写真 アライテツヤのコンビによるブックデザインは、どこかで見た印象を与えて、いわゆる凄さを感じさせるものではない。だから、私の第六感を刺激することは無く、しばらくの間、机の上で積読状態になっていたものである。新聞広告の「劇場型捜査」という言葉も、足を引っ張ったのかもしれない。現代マスコミに対する私の不信は、大変なものなのだ。

時代は現代、主人公は神奈川県警の警視、巻島史彦52歳。二,三〇代の頃、その風貌からヤングマンと呼ばれていた彼の人生を変えた事件は、6年前の7月に起きた。相模原南署管内で起きた誘拐。その日、県警本部捜査一課の特殊犯係で、前年45歳で警視に昇進した巻島は、その時、21歳になる娘いずみの出産を迎えていた。心臓に疾患を抱える虚弱体質いずみは、自分の運命に挑戦するかのように短大に進学、卒業後、すぐに結婚、そして出産と親の心配をよそにわが道を歩く。

そのような日に、巻島は特殊犯の係長、本田明広たちとともに誘拐事件の捜査を担当する。彼らを指揮するのは、東大法学部卒のキャリアで46歳の刑事部長曽根要介。県警と警視庁の縄張りを嘲笑うかのように、犯人[ワシ]は警察を翻弄する。そして屈辱の記者会見で、マスコミの挑発に乗った巻島は、キレてしまうのである。

それから6年。警視官として神奈川県警に戻った曽根は、地に落ちた神奈川県警の信用回復のために、現在起きている川崎男児連続殺人事件を利用しようとする。彼が自分の野望のために、32歳になる刑事部総務課長の植草草一郎と考え出したのが劇場型犯罪ならぬ劇場型捜査。その捨石に選んだのが、曽根自らが足柄署に左遷し、今は特別捜査官として所轄署で平警視のまま、検挙率を上げるのに寄与する52歳の巻島だった。

「バッドマン」と名乗り、挑発的な犯行声明を出す犯人。捜査状況を公開する舞台は、自らも犯人から脅かされている早津名奈が出演するニュースナイトアイズ。TVで、巻島とともに推測を語る元大阪府警の捜査一課長で浪速のコロンボこと迫田和範、ナイトアイズと熾烈な視聴率競争を続ける裏番組ニュースライブ。

巻島を助けるのは、足柄署で彼の捜査を見守り、そのあり方を変えてくれた恩人で5歳年上の盗犯一係の主任 津田良仁巡査部長、そして巻島とともに冷や飯を食わされてきた本田、あの時の対応が元でチョンボ小川と呼ばれることとなった31歳の小川かつお巡査長。巻島がカメラに突きつける言葉「犯人に告ぐ」、読者が痺れる瞬間である。

ラストで思わず泣いてしまった。今までも、警察小説で涙したことがないわけではない。横山秀夫の作品でハンカチを握り締めた事だってある。しかし、この小説ほど心を動かされはしなかった。50歳からのビルドゥングスロマン、そう言っても過言ではない。横山の精緻といってもよい怜悧な警察小説とは違う、情熱的で読者を挑発する作品である。こんな警察官が、官僚が実際にいれば、日本は変わる、そう思う。勿論、曽根要介のことではない。巻島、本田、津田たちこそが希望の星である。

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期待が高すぎたのかも知れないが

2004/10/26 23:21

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投稿者:ちょも - この投稿者のレビュー一覧を見る

 たまたまどこかの書評サイトでそのタイトルを見かけ何気なく図書館で予約、読み終わりました。ほんと何気なくであまり意識していなかったんですが改めて調べてみるとえらい評価が高いですね。今年度ベストワンに推す声も見かけました。
 で、肝心の僕の感想ですが一言で言うと“確かに面白く読ませてもらったけどそこまで評価高い作品かなぁ”。何かあまりにもよくできすぎていてかえっていい印象を持てませんでした。どう言ったらいいんだろう、あまりにもできすぎていて作り物っぽい印象が強いのです。しかもパーツにばらしてみるといずれもどこかで見聞きしたことがあるような印象を受けるのです。個別にあれ、これと挙げることが出来ない無責任な文章で申し訳ございませんが。しかし1位になるかどうかはともかく年末のベストテン上位に上がってくることは間違いなさそうですね。

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理論と情の間で

2004/11/24 15:10

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:吉野桃花 - この投稿者のレビュー一覧を見る

最も冷静にかつ的確に判断し仕事を進めていかなければならないのが、警察、教師、医者といった職業だろう。ある意味個人の感情をすべりこませない方がいいとさえ言える。かわいそうだ、見ていられないなどとなっていては仕事にならないが反面、猛烈に批判されるのもその点だ。他人事だと思って。被害者の、家族の気持ちを何だと思っているんだ。
私は常々このような職業についた人の決断ってすごいなと思う。人々のためになくてはならない仕事だけど、一度でもミスすれば強烈な批判にさらされる職業によくぞ!と。そこまで考えて決心する人は少ないのかもしれないが。私がそんな緊張の連続の仕事についてたらとてももたないだろうと思うので、少なからず感謝の気持ちがあるのだ。

ある誘拐事件でのミスで一線から外された巻島が、6年ぶりに呼び戻される。連続男児殺人事件の解決に向け、神奈川県警は前代未聞の作戦を開始する。その前面に立つ役者として巻島は呼ばれた。
犯人を追い詰めることばかりに気がいくと被害者の感情を損ねることになったり、だからといってお気の毒です分かります、あなた方の嫌だということは一切やりませんとか言っていたら捜査は進まない。個人的な家庭の状況が影響して感情的になることもある。そのバランスがうまく取れずに6年前の巻島は失態を演じてしまったのだ。今回はどう対応していくのか。

犯人逮捕。その気持ちは警察も被害者も変わらないはずだ。その2者だけならある程度嫌なことを堪えての両者の協力も可能なのじゃないだろうか。ここにマスコミが入ってくるから話はややこしくなるのだ。最もらしいことを言いながら、警察にとっても被害者にとっても報道されたくないことを我先にと争って流す。報道の自由の名のもとに。自由がときには暴力的だということはみんな知っていると思うのだけど。事実でも言う必要のないことは沢山あるのだ。

ラストの巻島には、本当になんて重いものを背負う職業なのだろう、という思いでいっぱいだった。もちろん理や利に逃げてやり過ごすという職業人生もあっただろうが、巻島は自分を許さなかった。犯人を追うということを止めなかった。こういう真面目さってあまり人にわかってもらえないよなあ、本人もわからせまいとしているようなところがあるし。かっこいいヒーローではない。でも、犯罪を許さないという強い気持ちが胸を打つ。
捜査における理性と人間としての感情。このバランスがこの物語のミソだ。作者が強く結末を限定していないので、読者それぞれの感想が出てくる物語だと思う。私は、ぽっと灯る蝋燭の火のような安堵を感じる読後だった。

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はいそれまでよ

2005/01/29 17:55

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投稿者:ナカムラマサル - この投稿者のレビュー一覧を見る

劇場型捜査という着想は面白いし、主人公の巻島史彦を始めとして、周りの人間たちのキャラクターもよく造られているし、何より読んでいる間はぐいぐい引き込まれたのだが、何なんだろう、この「ちょっぴり物足りない感」は。

おそらく、男児連続殺人事件の犯人の逮捕が、あまりにも偶然に頼りすぎている(いわゆるご都合主義)からだろう。
それに付随して、物語のヤマが巻島対植草に偏ってしまって、その後にくる最大の見せ場であるはずの犯人逮捕が尻すぼみになってしまっている。
この、植草の挿話は確かに秀逸で、同窓生であるニュースキャスターへの屈折した感情は実によく描かれている。
劇場型捜査に設定した一番の面白みが、この男を罠に嵌めるシーンに偏ってしまったのは、皮肉な結果なのか、もともとの計算だったのか。

巻措くあたわず、という感じで読んだので、面白い小説には違いないのだが、一度読んだらはいそれまでよ、という感も否めない。
横山秀夫の警察小説の味を知ってしまったからと理由づけるのは、贔屓の引き倒しだろうか。

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劇場型犯罪と劇場型捜査の対決

2006/06/16 18:55

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:読み人 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 話題の一冊で、読もうと思えばもうちょっと早い時期に読めたのですが、このたび、漸く読了。
 話題になるだけあって、流石に素直に面白かったです。
 主人公は、ヤングマンというあだ名ながら、初孫が出来た
位の年齢の巻島刑事。
 彼は、以前に誘拐事件での失態
(これも、微妙な失態で、明かなミスと呼べるものは、殆どない)
その後、記者会見でぶち切れ、左遷された身です。
 そんな彼が捜査が行き詰まり状態の連続児童殺人事件の捜査を指揮するため
神奈川県警察本部に復帰します。
 彼の取った捜査方法とは、なんとテレビ番組を大いに利用した劇場型捜査。
犯人自称バッドマンに巻島は語りかけるのですが、、、、
果たして、、、。
 という筋です。
 一章で、巻島が左遷される経緯にあたる誘拐事件が描かれるのですが
これが物凄い、緊張感と切迫感です。
 これで、引き込まれました。ここだけ、取り出しても充分一冊の
ミステリになるぐらい。
 中盤のテレビ番組を利用した捜査では、情報を裏番組に
売る同僚。真偽定かでない多数送られてくる犯人からの手紙。
さながら、情報戦の様相を呈しています。
 で、ラストも緊迫感あふれる展開でドン返しも用意され
尚且つ、巻島は男気をみせます。かっこいい。
 あまりにも、最初とラストが、緊張感あふれるので、
ちょっと肝心のマスコミを利用した劇場型捜査の部分が、
弱いかなぁ、、とも思いましたが
(あんまり劇場型捜査でしか得られない情報の元犯人に迫れていない)
これも、この本が、エンターテイメントとして物凄いテンションが
高いためそう思うのであって、全体としては、かなりレベルの高い一冊です。
話題になるのも、納得の一冊でした。

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ヒロイズム全開の決め球

2011/10/25 09:52

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:koo± - この投稿者のレビュー一覧を見る

今回から期間限定で、文章力強化を目的とした「です・ます調」レビューにチャレンジします。では「です・ます調」レビュー100本ノック。1本目。

風邪ひきました。

ゲホゲホ。バッドコンディションのなか読了。そんな状態でレビュー書くのは作者さんにもみなさんにも心苦しいのですが、思ったことを少しばかり。

警察小説。連続児童殺害事件の犯人「バッドマン」からマスコミに犯行声明文が。そんな「劇場型犯罪」に対抗すべく、神奈川県警上層部は捜査責任者をTV出演させ犯人にメッセージを送るという前人未到の「劇場型捜査」を画策します。

その捜査責任者として白羽の矢が立ったのが「ヤングマン」巻島警視。6年前のある誘拐事件の捜査に失敗し、記者会見でマスコミに暴言を吐く大失態を犯した張本人です。警察内部の軋轢や犯人寄りの姿勢に批判の声を浴びせかけられながら孤軍奮闘する彼。はたしてその声は犯人に届くのでしょうか? 第7回大藪春彦賞。2004年「週刊文春ミステリーベストテン」第1位。

「火の粉」がよかったので購読。面白い設定です。どこぞのハリウッド映画でありそうな気もしますけど。

雫井さんは毎回作風が異なりますね。クセがなく読みやすい文体。同じ警察小説ながら横山秀夫さんをタール1mgにした吸い口。さしずめ横山さんはショートホープかな? シナリオチックな器用さが、ちょっと野沢尚さんっぽいのかも。

前半のハイライト。6年前の記者会見のシーンは真に迫るものがありました。他人にそこまで感情移入できないと逆ギレする巻島。人間の本質を突いています。全編最大の見せ場でしょう。私見ですが。

特異な設定。読者を飽きさせない展開。巻島のヒロイズム。葛藤や上司たちの卑劣さ。遺族の感情。噂に違わぬ完成度です。ただ期待が大きすぎたのが裏目に出たのでしょうか、コンディションの悪さも合間見えてイマイチ感情移入できませんでした。

本格ミステリにおける事件の残虐さはゲームと割り切っているので許容範囲。しかしこういった社会派サスペンスしかも児童殺害という重いテーマを扱いながら、遊戯性の高い設定を持ってくる辺りが生理的にどうも。

犯人側の心情がまるで書かれていないのも要因でしょう。皆が絶賛する「犯人よ今夜は・・・」のヒロイズム全開の決め球も、僕のミットには響いてくれませんでした。

良くも悪くも映画の原作向きですね。勧善懲悪じゃないと2時間には収まらないでしょう。ちょっと読む順番を間違えたかな? しかしなにぶんこの体調ですから。ベストな状態で読んだら幾分印象も変わったかと。そういうわけで今回☆マークは保留とします。

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2005/02/04 18:25

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2007/01/02 23:43

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2004/10/11 20:48

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