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インナーネットの香保里 (青い鳥文庫fシリーズ)
暎兄ちゃんは超能力者で逃亡者。しかも3日以内に手術をしないと命が危ない。なのに暎兄ちゃんときたら、どうしても九州に行きたいだって。そんなことしてる場合じゃないのに。もう、...
インナーネットの香保里 (青い鳥文庫fシリーズ)
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商品説明
暎兄ちゃんは超能力者で逃亡者。しかも3日以内に手術をしないと命が危ない。なのに暎兄ちゃんときたら、どうしても九州に行きたいだって。そんなことしてる場合じゃないのに。もう、これは私が助けてあげるしかない!【「TRC MARC」の商品解説】
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こうであるかもしれない未来
2017/02/24 11:01
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
情報だけではなく、心まで検索されてしまう未来が現実的だ。鶴田譲二の優しい絵が、物語の不気味さを引き立てていた。
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子供をばかにしちゃあいけないよ。もっといけないのは、仲間褒め。この本、その2つの禁を犯している。これが『黄泉がえり』を書いた人の作品?
2004/10/10 21:33
4人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
久しぶりの青い鳥文庫で、「青い鳥」と「文庫」の間に「f」とあるのは、ファンタジーやSFなどの意味。可愛らしい少女のイラストは鶴田謙二。カバーの絵は味があるけれど、本文挿絵のほうは、ちょっとマンガかな。でも、ご安心、小説の足を引っ張ることはない。その理由は
「暎兄ちゃんは超能力者で逃亡者。心と心をつなぐネットワーク、「インナーネット」を巡って、2つの国際的大企業に追っかけ回されているの! しかも3日以内に手術をしないと命が危ないし、手術が成功しても治るかどうか……。なのに暎兄ちゃんときたら、どうしても九州にいきたいんだって! そんなことしてる場合じゃないのに! ……もう、これはわたしが助けてあげるしかない!」
小説の紹介はこれまで。解説「カジシンから、みんなへ贈る真珠」は、はやみねかおる。最初に書いておく、この解説は典型的な仲間褒めであって、この小説の面白さをというか、面白くなさをまったく伝えていないので、ともかく最初にヨンデハイケナイ、ゼッタイニである。だいたい、カジシンってなんだ? ガイジンか?である。
でだ、私は何度か書いたかもしれないが、梶尾真治作品から長い間、遠ざかっていた。再会のきっかけとなったのが『OKAGE』であり、あの傑作『黄泉がえり』である。それがあまりに凄かったせいか、『ドグマ・マ=グロ』は今ひとつ、『黄泉びと知らず』もスカだった。でだ、今度は河岸を変えてジュヴナイルでの登場、ということで期待をしたのである。
でだ、リアリティのなさに「ドーナッチャッタノ、梶尾さん」と言いたくなってしまうのである。無論、私の言うリアリティというのは、ファンタジーとは矛盾しないのだけれど。
主人公は中学二年生の野田香保里、冒頭の描写を見ても他人のことは愚か、両親のことすら考えることのできない我儘、無思慮な娘である。彼女の前に突如として現れたのが、安永暎一郎、21歳である。で、この「暎兄ちゃん」と中学生の女の子に呼ばれて、自分のしていることが社会的に許されないことであることを認識できない男が、実に甘い。ま、現代の21歳の男としては、平均かもしれないけれど。
でだ、はやみねが仲間褒めをする理由が良く分かる話ではある。なぜかといえば、この話はまさに、はやみね自身が書いたといってもおかしくないものだからだ。それゆえといっていいのだろう、話の底が浅い。思慮の浅い少女が成長する必然性が描かれることなく、突然変異する。そこに家庭が介在することは、ない。異性、だけがキーワードである。
それじゃあねえ、少女は盛りのついた猫じゃあないか。母親への反発は、単なる生理か? 子供を馬鹿にしていないか。なぜ、もっと少女の心、家庭に反発を抱くあたりを掘り下げない? それあっての九州行きになる。それが無いから、香保里が愚かな少女、勝手にやれ女になってしまう。だから、最後が美しくない。
中途半端な長さだと思う。この話、短くすることはできない。でも、長くすることは可能である。同時期に西澤保彦のロマンチックな『方舟は冬の国へ』を読んでいただけに、『インナーネットの香保里』のマイナス面が気になって仕方が無い。むしろ、青い鳥文庫で『方舟は冬の国へ』を出してみてはどうだろう。子供たちがどちらに軍配を上げるか、楽しみである。ちなみに、私は西澤の圧勝を確信している。