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象られた力(ハヤカワ文庫 JA)

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  • カテゴリ:一般
  • 発行年月:2004.9
  • 出版社: 早川書房
  • レーベル: ハヤカワ文庫 JA
  • サイズ:16cm/423p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-15-030768-7

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文庫

紙の本

象られた力 (ハヤカワ文庫 JA)

著者 飛 浩隆 (著)

【日本SF大賞(第26回)】【星雲賞日本短編部門(第36回)】【「TRC MARC」の商品解説】

象られた力 (ハヤカワ文庫 JA)

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象られた力

626 (税込)

象られた力

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呪界のほとり 125-172
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みんなのレビュー56件

みんなの評価4.0

評価内訳

紙の本

瑞々しい作品群

2006/02/28 18:04

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:オリオン - この投稿者のレビュー一覧を見る

 表題作のほか「デュオ」「呪界のほとり」「夜と泥の」の4つの中編が収められている。いずれもどこか懐かしい。忘れたことさえ忘れてしまった記憶の細片化されたかたちと、希釈された力がひとつの物(たとえば言葉や身体)のうちに再現されている。私と私でないもの、見るものと見られるもの、記号と意味の隔てがその物のうちで消失する。仰々しく表現すれば、そんな感じ。音楽、絵画、映像、とりわけ漫画がもつ言葉を超えた表現力に拮抗するイメージの喚起力に満ちている。
 たとえば、「楽譜には作曲家の感情の振幅が記録されている。それを演奏家が解放する。非常に難しい作業だが、まれにうまくいくと、我々は天才たちの感情に同期して翻弄されることになる」(「デュオ」から)。「人間は五官を通してしか宇宙とかかわってはいけない。五官の外にあるものを、人はついに理解することができない」(「夜と泥の」から)。「「かたち」とは数学的で、抽象的なものである一方、それと同じくらい身体的で肉体的なものだ」。「そうとも。ものを見ることは、見られることは、それほどに淫らなことなのだ。人は眼差しによって事物を犯し、見ることによって事物に犯される。だからこそ、人は見ずにはいられない。形と、力を」(「象られた力」から)。
 これらの断片をつなぎあわせると、なにかもっともらしい思考を紡ぎだすことができるかもしれない。しかし、そんなことはもうどうでもよくなる。
 とりわけ表題作が面白い。エンブレム文字、文様文字、要するに図形言語。その多彩な装飾文様は数十の基本図形に分類される。それらが組み合わさって、そのひとつひとつが抽象的な意味や寓意、神秘的な役割を担う「エンブレム」を構成する。それだけではない。情動、感情の動きを人間の内部から吊り出してくる。
《百合洋[ユリウミ]のエンブレムが感情を抽き出す具体的なメカニズムは解明されていない。しかし大ざっぱに言えば、情動は人間が進化の過程で環境に最適化するために作り上げたツール、機械的な仕組みだといえる。人間の内部にセットされたそのツールを、外部から呼び出したり制御したりするコマンド、それを言語の組みあわせで開発しようというのが詩や演劇や小説といった文学システムだったわけだが、感情じたいがそもそも機械的なものなら、もっと別なコマンドを──たとえば図形の形で──開発することも可能なのではないか。図形化したコマンドを光学読み取りさせて、人間というシステムに指令を出す……どこにもふしぎはない。》(「象られた力」)
 このアイデアがすこぶる面白い。そういえば、テッド・チャンの『あなたの人生の物語』にも、表題作に出てくる非線形書法体系や「七十二文字」に出てくる真の名辞による単為生殖といった秀逸なアイデアがあった。
 手練れの書き手を思わせる部分と、生まれて初めてSFを書いた人を思わせる初々しさ、瑞々しさとが同居している。物語の紡ぎ方、語り方に、どこか稚拙さとすれすれの懐かしいところがあって、それがかえって新鮮に感じられる。

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紙の本

グロテスク、ダイナミックな破滅

2010/03/04 23:20

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:king - この投稿者のレビュー一覧を見る

ハヤカワSFシリーズJコレクションのなかでも、飛浩隆の「グラン・ヴァカンス」はとりわけ印象深い作品で、その時の感想を以下のように書いた。

「硝子の透明さのなかで展開されていく、酷薄な滅亡の美しさ」

ここで私はJ・G・バラードを引き合いに出しつつ、「グラン・ヴァカンス」は「逆回しにした「結晶世界」」ではないか、と評した。「ヴァーミリオンサンズ」的なバラード作品の風景と似たものを感じたから出てきた感想なのだけれど、当のご本人はなんとほとんどバラードを読んでいないと書いていてびっくりする。

そんなわけで、五年も積んでいた「象られた力」をやっとこさ読了した。廃園の天使の第二長篇もまだ出ていないので、この読書ペースでも問題はなかった。

しかしまあ、この人はなんとサディスティックな小説家だろうか。

またここでバラードを引き合いに出して言うと、確かに用いる素材に共通するものはあると思うのだけれど、その料理の仕方が真逆に近いとは言える。バラードの作品には、時間への偏執があるのはよく言われるけれど、それは「結晶世界」や「ヴァーミリオンサンズ」のように無時間的なものの希求、「沈んだ世界」「奇跡の大河」等の熱帯、繁茂する植物等、原始的なものへの遡行という側面がある。

たいして飛浩隆の作品世界においては、美しいもの、調和したもの、というのは破壊されるためにこそ緻密に彫琢され、そしてグロテスクに破滅する。「グラン・ヴァカンス」での時間が止まったかのような空間に訪れる惨たらしい破壊、「デュオ」での天才的な双子ピアニストとその顛末、「夜と泥の」での現れるたびに蚕食される少女、「象られた力」は言うに及ばず、この破滅の愉楽が諸作に充満する独特の生々しさを生み出している。グロテスクで、えぐくて、しかしそれだからこそ同時に美しい、というある種のホラー漫画にも見受けられる美意識が感じられる。

解説でも「逆転の構図」と評されている飛作品のこのダイナミックな特質は、あえていえばスタティックなバラードとはある面で似てはいてもある面では逆方向を向いている。

しかし、飛作品は読んでいてあまりSF、という印象がない。上掲文にもSFの殻を被った幻想小説だ、と書いているけれど、この印象は不思議とぶれない。いわゆるSFとは違ったことをやっている感があるけれど、うまく言葉にならない。

「象られた力」なんかは現実ともう一つ別の次元を措定して書いている(静的なものの「かたち」に轟然たる「ちから」が息づいているという視点)ところがあって、そこが通常リアリズムに基づくSFと別の印象を与えているのかなとも思う。「グラン・ヴァカンス」は人間の居ないヴァーチャル空間での事件だったし。今ある現実の相対化というのはSFの一つの機能だと思うけれど、飛作品は通常のSFとは異なるやり方でそれを行っている感触。非常に独特。幻想小説というにはSFすぎるし、SFというには妙。

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作者のつむぎだす言葉のひとつひとつが、確かな衝撃力を伴って読者に体当たりしてくる

2011/06/28 00:20

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:yukkiebeer - この投稿者のレビュー一覧を見る

 ハードSFというよりは幻想味の強い4つの中短編を収録した一冊です。

 表題作の「象(かたど)られた力」は、地球化が進められた惑星「百合洋(ゆりうみ)」が突然消滅。その背後には惑星独自の図形言語の謎が存在していると見られ、その解読がイコノグラファーのクドウ圓(ひとみ)に依頼される、という物語です。
 豪華絢爛ともいうべき破壊描写と、しびれるほど甘美な暴力に満ち満ちた終盤は、言葉が織りなす力の奥深さをこれでもかと見せつけ、まさに圧巻というべき展開です。作者独特のこの物語世界は人間業とは思えないほど超絶的な想像力によって創りあげられていて、それを前にして私は目が眩み、果てには恍惚感すら味わいました。そして、森羅万象のめくるめく急激な変転を、無理なく一気に読ませるだけの豊潤な言葉を立て続けに繰り出す作者の力に、畏敬と憧憬の念を抱いたのです。

 別の一編である「デュオ」は、ひとつの肉体を共有する双子の天才ピアニスト、デネスとクラウスのグラフェナウアー兄弟と、そのピアノ調律師として雇われたオガタ・イクオが主人公です。兄弟とかかわるうちにイクオが味わう不思議な体験の背後に、双子の隠された出自がある、という物語です。
 兄弟が奏でる甘美な曲と、彼らの秘密とが、これまた研ぎ澄まされた言葉によって輪郭鮮やかに構築されていくさまは見事です。そしてまた、その纏綿(てんめん)とした謎がほどけたときに立ち現れる、作者の創造する天地のあまりの奇想ぶりに、私は軽い酩酊状態にも似た心地に陥ったのです。

 2005年版「SFが読みたい」の国内作品第1位、第26回日本SF大賞、2005年星雲賞(日本短篇部門)と、数々の賞に輝く作品だけのことはあります。衝撃的な破壊力が言葉によって紡ぎ上げられる、まさにその現場を目の当たりにした高揚感を味わうことができる短編集です。

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人間の五感を文章化しようと試みた中短編集

2006/10/21 18:24

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:くろみみずく - この投稿者のレビュー一覧を見る

 私は、特に小説を読むときは、頭の中に映像を作りながら読むたちなんですが、この中短編集の作品群は、難しくて、あまり映像化できなかったものばかりでした。
 人間の五感を言葉で表現するというのは難しいとおもうのですが、飛浩隆氏はこれをこの小説で挑戦しようとしているように私には思えます。しかし、どうも私にはうまく伝わらないようです。
 そういったところを、まあ、いいかとあきらめて読み進めれば、普通には読める小説群でした。
 特に、音楽ネタのサイコホラーの「デュオ」と、表題作で、人間に力を発揮させるスイッチが図形の形で存在する(これを見ることによって発動する。)というのがなかなか秀逸なアイディアの「象られた力」が良いです。
 繰り返しになりますが、この小説群は、イメージの奔流といった感じの表現が多く、私にはそのイメージングがうまくいかず、難しい小説でした。
 でも、好きな人は好きなんでしょうね、飛ワールド。

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紙の本

「あたまや心の中がぐるぐるしてくるように作られています」

2004/11/06 00:12

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:SlowBird - この投稿者のレビュー一覧を見る

 4つの中短編が収められている。
「デュオ」天才ピアニストの謎をめぐる物語。篠田節子のサイコホラーのようだが、生に対する虚無感が強く滲み出ている。
「呪界のほとり」一転、RPGのオープニングのような、奇怪な銀河系の絢爛な冒険談。まあメガマーケット向けとしてはヒネリが利き過ぎてるかしらん。
「海と泥の」惑星をテラフォーミング(地球化)しては植民者にリースするという、リットン&ステインズビー協会シリーズ。眉村卓「司政官」みたいな設定だが、異文明が人間の精神を侵食してくる様はR.シルヴァーバーグにも近い。沼地での巨大な工作機械と昆虫軍団の死闘は、S.レム「砂漠の惑星」も連想した。
「象られた力」これも同じR&Sシリーズ。いくつもの図形を組み合わせてエンブレムにするという人工図形言語と惑星<百合洋>の崩壊の謎。図形言語っちゃテッド・チャン「あなたの人生の物語」もそんなネタだった。文明の崩壊を追うというテーマは光瀬龍も思わせる。

 4作それぞれバラエティに富み過ぎて一言では表現できないので、いろいろ引き合いに出してみました。寡作なところもテッド・チャンめいているが、時間だけが醸成する多様なイメージがこれでもかとばかりにぶち込まれてモザイクのように背景世界の豊かな彩りを伝えてくる。作品達で象られた結晶を異なった方向から眺めてみれば、そのたびに違った風景が現れる万華鏡のような作品集。それでいて不安と恐怖だけは人間に巣食ったままでいる。
 とりわけ「象られた力」はやはり圧巻。エンブレムの造形の氾濫、豪奢な建築物、エロティシズムが裂け目から流れ出すクライマックスシーン、クローネンバーグあたりで映像化してくれないかなあ。

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素晴らしい文章

2015/08/23 00:13

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:kkzz - この投稿者のレビュー一覧を見る

世界観も良いですが、それを支える文章力がまたすごい。五感に呼びかけてくる文章で、イメージ喚起力が凄まじいです。好みの問題はありますが、自分にとっては最高のものでした。

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喚起する力

2012/09/05 18:11

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:いたちたち - この投稿者のレビュー一覧を見る

感覚と感性をイメージを喚起することだけによって動かす力のあるということが、すぐれた小説のひとつの条件だと思っている。
もちろん小説の作用はそれだけではないし、その力がなくってもすばらしい小説、というのもまれにある。

飛浩隆はナイーブな描写を着実なリズムでもって積み重ねて読者の前に映像を、触感を作り出すことに長けた作家だ。
この作品集はそこのところが遺憾なく発揮されていて、形を持ったことばを指先でなぞるあのぞくぞくする感じを味わわせてくれる。

あとはもう少し、余韻というか、きれいに終わりすぎない遊びがあったら、もっといいのに。

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象られた力

2016/11/07 12:54

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:によ - この投稿者のレビュー一覧を見る

どれも素敵だった。
<象られた力>は、まるで長編を読んだ後のよう。
中短篇集だからといって、休憩に読めるなんて思っちゃだめだ。
時間をかけて、音楽もかけず、ただじっくりと、飛さんの表現する世界に、ひたすら絡みつくのが最高だ。
やっぱり飛さんは素敵だ。
たぶん、飛さんの文章は過剰に映像的だし、色彩と音の描写がものすごく装飾的で、それが美しくてたまらない。
これは、テーマから考えたら目くらましかも知れないけど、これだけ美しく、そして凝りに凝って作られた設定に酔えるのが、飛さんの素敵さでしょ?と思っている。

(だいたい、こんなテーマを現実の不安として抱えたり理解する人間なんて、病的か、さもなきゃオクスリ的だと私は考えている。
少なくとも私の乏しいSF系本棚の中で、こんな思考と世界の捉え方に近くて優しくしてくれるのは、徹底的に矯正してくれようとする神林さんか、とぼけていてくれる円城さんか、美しさに溺れさせてくれる飛さんか…ってとこである。)

<デュオ>は音・音楽の描き方が本当に豊かできらびやか!!
それだけでも素敵だけど、「人が生きているかどうかは微妙な問題です。」
人々の記憶の合間に、情報の渦の中に、まるで誰かが存在するように振舞う何かを、感じる時のことを考える。
見えない敵と戦っている、みたいなものかもしれない。
その怖さについての話。だとおもう。

<呪界のほとり>は、大好物メタフィクション。
こんなに明るく書いてくれていいのかしら!
とっても好き。

<夜と泥の>
未知の世界で、考えもしないウイルスを、知らぬ間に取り込んでいて、その世界の共感場に抗えなくなること。
人類の希釈化。
「新たな環境で、新生活で、あのヒトは変わってしまった、私は変わってしまった?」そんな陳腐な話にすり替えたって良いのかも知れない。
でもそれを良しと出来ない、自己と他者の境界で恐怖に佇む者には、こういうお話じゃなきゃ救われないのだ。

<象られた力>
ちからとかたち。
私という形を保つ、内側からの力と外側からの力、内側の思考と外側の思考のぶつかり合う、この身体の表面。
わたしという形を保つ、私という形を作るために、適切適当なエネルギーと思考と他者の関わり。
その不安について。
この日常的な恐怖について。
ものすごく凝った設定で、映像的に装飾的に描いて酔わせて、最終的に消滅という退廃的な甘美さに引き連れて行ってくれる飛さんの優しさったら、とんでもないなぁと思う。

大好き。

【読後追記】
消えた星<百合洋>ユリウミの、図形言語。
そしてやはり消えたはずの星シジックから発信される“シジックの歌”。
百合洋のエンブレムが表す文脈と情動。情動は人間が環境に最適化するために作ったツール。そのツールを制御するコマンド。言語と…そして図形。
読後も頭が<象られた力>で溢れる。次になにを読むのが適切なのか、わからない。
『世界の野生ネコ』でも眺めるしかないか。

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2007/02/13 11:21

投稿元:ブクログ

 格好いいーーーーーーっ!(はぁと) どの作品もイメージ喚起力が強いヴィジュアル的な作品で、非常に視覚や味覚を刺激される物語ばかりだ。硬質かつ的確な言葉で紡がれるのは、幻想的で魅惑的な異世界ばかり。構築された世界観にうっとり耽溺してしまう。SFではあるものの、幻想小説としても堪能できるかと。今まで読まずに積んでいたことを、非常に後悔した作品です。素敵!素晴らしい!

2005/12/23 19:56

投稿元:ブクログ

SF大賞受賞ということで読んでみた。短編集。中編込み。全体として感覚がとろけて持って行かれるような興味深さがあった。文章で架空の世界を描くことで、そんな風になるというのは素晴らしい。世界の終わりを感じさせるようで、それでもまだ続く。SFってすげえなと思わされる。ひっくり返る伏線と、毎度驚いて手に汗握る自分。SFを書くべくして生まれた優れた作家の作品がここにある。あまりに面白いので、読んでいる途中ですでに他の作品も購入してしまった。

2005/11/24 22:50

投稿元:ブクログ

これほど文章の豊潤なSFを読んだのは初めて。饒舌ではない、むしろ無駄のない文体なのに、想像もつかない世界を言葉の力で鮮明に浮き上がらせてくれる。
言葉も、世界もとても魅力的。物語に浸る歓びがじっくり味わえる。
表題作が特に印象強かった。

2012/09/22 23:21

投稿元:ブクログ

表題作がとにかく好みの設定すぎた。
突如、忽然と消えてしまった星の遺産である図形言語。人の感情の動きを呼び覚ますエンブレム。その文様が数千個多重らせんに収められた高さ30センチの円柱形ダイヤモンド製の“エンブレム・ブック”。それを読み解くことで何が起こるのか…
ああ、なんてときめく設定!
それこそ(綴り違いだけれど)万華鏡のようにきらめく文様に翻弄されるようだった。

「デュオ」はSF的でもあるが、ミステリやホラーっぽくもあり、張りつめられた緊張感を楽しんだ。

2009/03/22 16:12

投稿元:ブクログ

飛浩隆パート2。
つらい現実から逃げるためには、描写力に優れた作家の作品って、雅に良薬。
私は、それほど文章を映像化して読むタイプの読み手ってわけではないのだが、否応無しに映像が流れ込んでくる、作家という人たちがいる。
まさに希有な才能の持ち主。

秋山瑞人と、この飛浩隆は二大描写力作家。もちろん文章力も半端無い。
山尾悠子も似てるんだけど、彼女は一瞬焼き付いたような絵が浮かぶことがあるんだけど、なかなか動き出さないんだよな〜

このタイプとは別に「文章」「情報」が頭に流れ込んでくるというタイプの作家もいて、冲方丁がその筆頭だし五代ゆうもそのタイプな気がする。

どちらも好きなんだけどね〜

2006/06/15 21:56

投稿元:ブクログ

90年代から長く絶筆し、はや伝説になりかかっていた作家の短編集。早川書房ベストSF2004のベスト1。話題になるだけの理由を持っている本です。アイディアも秀逸ですし、人物描写もなかなか、なによりこれだけ予測のつかない小説を読むのは久しぶりでした!どの作品も甲乙付けがたいけれど、一番好きなのは割とお気楽めな「呪界のほとり」かな。神林っぽいイメージかも。

2007/02/26 03:04

投稿元:ブクログ

「デュオ」はSF幻想怪奇小説とでも呼ぶべきか。私には一番しっくり来た作品で、その末尾に提示されている世界観は、やがて『グラン・ヴァカンス』を産むことになる胎盤ではないかと思われた。表題作も、いったん精緻に築き上げた世界を、圧倒的な無残さで崩壊させていくところが、『グラン・ヴァカンス』と通じるのではないかと思った。もちろん、こうした想像力の「核」のようなものこそ、作品の(作家の)力の源泉なのだろう。「夜と泥の」は、宇宙進出に伴う人類の希釈化という概念ないしテーマを据えつつ、地霊めいた沼・泥・有機体の世界が不思議な美しさを放つ。植民地主義批判という政治的な側面もあるのかもしれない(中国系の人物が主要人物であることとも、関係ありそう)。「呪界のほとり」は、そういう理屈をあまり感じさせない、ユーモラスな作。書き手にとっての息抜き、という気がして、それはそれで、のびのびした読み心地が悪くはない。

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