紙の本
妖しい雰囲気を持つ古都で語られる恐ろしい三つの物語
2010/02/05 18:38
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:toku - この投稿者のレビュー一覧を見る
同じ森山東氏の作品「デス・ネイル」と同様、おどろおどろしい表紙のイラストがたまらない。
本書は3編の短編小説を収録しており、どれも京都を舞台に3人の語り手が自身が体験した物語を語っていくという形式で書かれている。
古都の持つ妖しい雰囲気を存分に取り込んだ物語が魅力的である。
『お見世出し』
夢にまで見た舞妓となった少女綾乃は、店を訪れた客にお見世出しまでに体験した恐ろしい話を語り出した。
綾乃は30年前に死んだ舞妓見習い「幸恵」と瓜二つだったのだ。
ホラー定番の結末ではあるが、語り手の体験を第三者が聞く形式で進められる物語は、読者を怪談を聞いている立場に置き、通常のホラー小説よりも物語を楽しむことができた。稲川淳二の怪談を聞いているような心境である。
自分が体験しているような直接的な怖さはないので、好みが別れるだろう。
『お化け』
京都の節分に花街で行われる芸舞妓の「お化け」を題材にした物語。
主人公の芸妓が体験した、「鬼」のように意地悪な芸妓の話を語っていく。
節分に欠かせない鬼が物語を作り、京都という土地の妖しさと、芸妓(女)のドロドロとした部分が描かれている。
しかしあっけらかんとした芸妓の締めくくりで、怪しい雰囲気とドロドロしたものが消えてしまっているのが残念。
『呪扇』
扇子屋の主人が語る「呪扇」の物語。
呪扇とは文字通り呪いの扇子。「祝い」の人を幸福にする扇子の力を生かすために、「呪い」の扇子を作るのだが、祝いの度に対で呪いの扇子を作っていたらキリがない。
そこでまとめて100年に一度、大きな呪いの扇子を作り供養して燃やす。しかし呪扇は開いても、見ても、使ってもいけないのだ。
そんな呪扇の作り方が異常に細かく書かれているのだが、分かりづらく映像が浮かんでこない。
しかし呪扇製作はグロテスクなので、映像が浮かばなくて良かったかもしれない。それでも気分が悪くなりそうだった。
しかも大呪扇、小呪扇、2つの呪扇の作り方が丹念に書かれているので、もうマイッタという感じだ。
電子書籍
怖い。。
2016/10/15 01:46
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投稿者:プロビデンス - この投稿者のレビュー一覧を見る
う、もう怖い、うへー、やめて、というのがジュセンです。お見世出しもお化けも異次元京都の雰囲気がよく出てました。
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3編入っているどの作品も妖しく、哀しく。京言葉で、耳元で
囁かれているような。是非次も祇園を舞台にした作品読みたいです。
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ハリウッド進出も噂される森山東第一作。
ただひたすら「呪扇」を読むためだけに買え。
この水準を常に超える作品を作り続けるのなら、ハリウッドなんて目じゃないと思いますが>スケキンさんにいさん
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京都祇園を舞台にした舞妓さんのホラー。中でも『呪扇』がものすごく残酷というか想像してて鳥肌がたつような描写の連続ですごかった。
第11回ホラー大賞短編賞受賞
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※お見世出しとは、京都の花街で修業を積んできた少女が、
舞妓としてデビューする、晴れ舞台のこと。
表紙が怖そう。。。だったので、読んでみました。
出張で京都にきたサラリーマンが、
ホームバースタイルの「お茶屋」で、
舞妓から聞かされた不思議な話とは。。。
酔いの回り始めたサラリーマン2人を前に、
舞妓が、ひとり語りを始めると言う設定がいい。
じわりじわりと彼女の話に引き込まれ、
華やかで、怪しい世界を堪能することができました。
ちょっぴり怖くて、京都の雰囲気を楽しめる物語。
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舞妓さんが主人公の和風ホラー。これは怖かった。人の暗いとこを上手く見せつつ、理解できない(得体の知れない)領域に持って行ってる。つまり、怪談してた。ホラー好きなら買って損しないと思う。
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ホラー小説大賞短篇賞受賞作品。
京都の花街を舞台とした、和風ホラー。「怪談話」と言ったほうがしっくりくるかな。京ことばが妙に耳(目?)に馴染む感覚で、雰囲気にするすると浸りこめる。で、浸りこんだところでじわりと恐怖が……巧いなあ。しかしそのわりに高い評価を得られなかったのは、この上を行く過去の某作品の存在があったからだそうで……なるほど。連想しますね。
ゆったりと静かな恐怖の表題作から、少し怪物的ホラーの要素を持つ「お化け」、そして凄惨な「呪扇」、というこの構成も見事。恐怖が加速する感じだなあ。
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面白かった!
私はそんなにぼっけえ、きょうてえ思い出さなかったけどなぁ。
惜しい作品でしたねホラ大。
最後の呪扇が私の大好きなエログロホラーで本当に面白かった!
舞妓さんと京都とホラーという素敵な組み合わせの素敵なホラー小説でした。
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「芸妓さんと遊びたいなあ」
ぼってえ、きょうてえとかぶってる感じした。
ホラー大賞ってそういうの多い。
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短編三品。
『お見世出し』:「ほほう」。
『お化け』:「ふーん」。
『呪扇』:「へ? う、うわあああああああやめてやめてやめてぎゃあああああああぁあああああああああああああああぁあああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
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『お見世出し』『お化け』『呪扇』の3篇からなる京都花街ホラーは思った以上に楽しめた。舞妓、芸妓、扇子職人がそれぞれの篇で淡々と恐怖譚を語るのだがパターンが一緒なのでやや面白味に欠ける。しかしそれ以上にはんなりとした京言葉や花街の世界観が魅力的で、その雰囲気にグッと引き込まれた。登場人物の悲しい過去の件でちょっとホロっと来たかと思えばラストで切れ味のある怖さで落とすパターンも気に入った。『呪扇』の残虐的な展開も予想外で、さらりと語る怖さが余韻を引く。
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・お見世出し ★★★
現実にありそうなゾクゾクするようなホラーかと思ったら途中から非現実的でちょっと残念。
舞妓さんの言葉が読みにくい。
・お化け ★★★★
芸者さんの言葉に慣れてきたぞ。
前半は小母ちゃんの話で、後半は真奈ちゃんの話。
鬼が出てきて少し置いてけぼり感はあったが、普段読まないジャンルなので少し新鮮。
・呪扇 ★★★★
呪扇を作る過程がいい感じのグロさ!
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京都を舞台にした不気味な話の短編集。話の気持ち悪さもさることながら、舞妓さんや六道参りの話などが詳しくかかれていて勉強になる。両方とも決定的な言葉でオチは書かれていないが、それぞれそういう意味だろう。京扇子の話はあまりの惨さに戦いた。覚悟して読むべし。京扇子の話は本当に惨い。職人の残酷さというのか(その一言では表せないほど常軌を逸していた)、人間を人間と思ってないところがゾッとする。読了後の後味はあまりよくない。しばらく扇子は買いたくない。