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紙の本
オスとメスと男と女 サルとヒトの生と性 (寺子屋新書)
著者 和 秀雄 (著)
本能だけで生きているように見えるサルたちも、自分の行為や体の変化に驚いたり、うろたえたり、様々な反応を見せる。サルたちの様子から、わが身をふり返ってヒトの「生と性」を考え...
オスとメスと男と女 サルとヒトの生と性 (寺子屋新書)
オスとメスと男と女 ─サルとヒトの生と性
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商品説明
本能だけで生きているように見えるサルたちも、自分の行為や体の変化に驚いたり、うろたえたり、様々な反応を見せる。サルたちの様子から、わが身をふり返ってヒトの「生と性」を考える、サル研究者のユーモアあふれる報告書。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
和 秀雄
- 略歴
- 〈和秀雄〉1939年鹿児島県生まれ。北海道大学獣医学部卒業。獣医学博士。現在、広島国際大学社会環境科学部教授。著書「ゴンはオスでノンはメス」で、第39回毎日出版文化賞を受賞。
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紙の本
激しい恋も数年で落ち着くのは本能か?
2004/11/13 18:53
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:未来自由 - この投稿者のレビュー一覧を見る
共通の祖先から枝分かれした「ヒト」と「サル」。多くの人が誤解しているのは、「ヒト」は「サル」から進化したというもの。これは正しくはない。「ヒト」と「サル」は、共通の祖先から、それぞれに進化したというのが正しい。
さて、著者は日本モンキーセンター研究員などを経たサル研究家。サルの生態や成長、性や学習能力などの実態をユーモアをもって報告する。
そして、サルに関する世間の常識とされる話には間違いが多く、本能が強調されている実態をわかりやすく報告していて、楽しみながら読める本である。
サルの子育ては「本能」によるものか? 子育てをする親子ザルに接していないサルは、子育てができないそうである。サルは、子育ての姿を見て育つ過程で学習しているというのが実態であり、生まれながらにもった「本能」ではけっしてない。人間も同じだろう。
性の話がいろいろ書かれていて、えー、ホントー、と新発見もあり、興味のある人は一度読むことをお薦めする。
特に興味深かったのは、「ニホンザルをふくめた多くのサル類において、オスが生まれた群れを離れてしまうという事実」で、約4年くらいで群れを離れるのには重要な意味が含まれている、という。
それはなぜか? サルの社会では、オスにとって生まれた赤ん坊が誰の子かわからないため(人間もそんなことがある、という議論はここでは無視)、成長したメスとの近親交配を回避するために、本能的に群れを離れるのではないか、ということである。
ヒトも、四・五年も経つと「激しい恋」も冷めるのは、この本能によるものなのか、と考える人もいるだろう。著者は、言葉を濁しているが…。
興味深い話である。人間もこの本能によって、目移りがするのか…。「ヒト」になってからも、この本能は引き継がれているのか…。
あと、人間特有の女性の大きな乳房はどんな役割を果たしているのか、ダイエットによる体脂肪率の減少と妊娠との関係、人間が成長する途中で生えてくる毛はどんな役割を果たしているのか、など解決していない問題も含めて興味深く語っている。楽しい読み物であった。そして、またひとつ物知りになったかも知れない…。
サルの生態を知ることにより、ヒトを考える。これも必要なことかもしれない。