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山田風太郎忍法帖短篇全集 9 忍法聖千姫 (ちくま文庫)
忍法聖千姫 ――山田風太郎忍法帖短篇全集(9)
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収録作品一覧
忍法聖千姫 | 7-59 | |
---|---|---|
忍法ガラシヤの棺 | 61-100 | |
忍法とりかえばや | 101-153 |
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紙の本
能ある姫は爪わたす
2005/03/13 16:21
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投稿者:星落秋風五丈原 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「あの人物が、実は忍者だった! 」という衝撃の事実を、次々と山風が暴き、明智光秀、石川五右衛門等歴史上の有名人が、我々の前に忍者として登場した。しかし、史上最強の忍者とは、文句なしにこの方だ。徳川家康の孫にして、豊臣秀頼の妻・千姫。
千姫は、彼女を崇拝する忍者達に唾、爪、髪を与える事によって、彼等を無敵にするのだ。
忍法や忍術というのは、人の考えたものであるから、やはり同じ人が考えた対抗手段によって必ず破れる。しかし千姫の場合、無敵になった者の術を破るのがせいぜいで、千姫自身を無力化する方法は、ない。つけ入る隙が全くないのだ。おまけに彼女の使うものは、恒常的に発生するので補充する必要がなく、かつ本人には不要となったものなので、ちっとも無駄がない。くノ一のように色仕掛けを使わなくても、忍者達は喜んで命を張ってくれる。こんな効率のよい忍法を持ち、かつ凄いカリスマを持った忍者が、他にいただろうか。
「敵をすくめずして働かせて勝つ」柳生の活人剣の奥義を、知らずして究めている千姫と、柳生のホープ・童馬の勝負は、初めからついていたのである。
「日の落ちた千姫屋敷の大屋根の上に、じっと一羽の白鷺みたいに佇んでいた女の頬に、涙が静かにつたい落ちたのを、柳生童馬は永遠に知らない。」
一人の健気な女から、一人の妖艶な美女へ、ある男の心が移った瞬間を描く、こんな美しい文章で、『忍法聖千姫』は寂しく幕を閉じる。
こちらもまた、歴史上よく知られた女性の二面性が露になる『忍法ガラシャの棺』、項目が「武技」「頭脳」「容貌」「体格」「男根」「根性」という爆笑ものの忍者の採点票が出て来る『忍法とりかえばや』他、『忍法幻羅吊り』『忍法穴ひとつ』『忍法瞳録』『忍法阿呆宮』収録。