紙の本
マンガより面白い、か?
2006/02/14 14:06
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:羊男 - この投稿者のレビュー一覧を見る
初っぱなから黒の革手袋で有名な京極夏彦やミステリとは思えない様なミステリ作家の山口雅也と一緒に江戸川乱歩邸を探検しに行く「夢の蔵」ではまってしまった。
この喜国雅彦という漫画家は雑誌かなんかで読んだときは単なるスケベな漫画を描いているだけの人だと思っていたので、あまり期待などせずに読み始めたら、めちゃくちゃ面白い古本エッセイなのであった。
古本マニアの性としての角川文庫版横溝正史全89冊を揃えるまでを綴ったそれは、古本好きには涙無くしては読めない、壮絶な物語であったり、「マニアの部屋」ではあのM君程度!のビデオやマンガが詰め込まれている部屋で世の中は大騒ぎしているのに、彩古さんという筋金入りま古本マニアの部屋が公開されたらいったいどうなるのだ、とマジに心配したり、東北までミステリ作家の山口雅也と「僕らはお菓子の家ならぬ古本の家を目指すヘンゼルとグレーテルだ!」と旅に出たはいいが、玉砕する話などなど、古本好きの喜怒哀楽が満載なのであった。
いやはや。この続編の古本談議も出るようで、次作が楽しみである。
紙の本
愛すべきマニアに乾杯
2005/01/20 16:23
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:PB - この投稿者のレビュー一覧を見る
「まだ読んでない本がこんなにあるのに!」
などと、本を買うたび家人にチクチク言われる本好き人間。そんなアナタがこの本を手に取れば、あら不思議。たちまち普通人に逆戻り。
コレクターの“集める”という行為の行き着く果ては…。作ってしまうんです。何をって、文字通りすべてを。やたらと古い函なしの裸本を買い、カバーを作り、函まで作る。家人の隙を突いて本箱まで作る。重い本は携帯用として豆本を作り、怪しげな探偵小説の表紙をスキャナーで取り込んでトレーディング・カードまで作る。
とにかく作りまくる!
こんなエピソードはまだまだ序の口。
−プロの作家すら狂わせる魔性の乱歩邸。
−アメリカ旅行でも古本屋へ。
−朝っぱらから殺気立つデパート古本市。
現役の漫画家にして日本有数の探偵小説蒐集家でもある著者が描きだすマニア達の奇怪な行動の数々。それが呆れるほど熱心で、つい吹き出してしまうほど可笑しい。その根底に流れるのはマニアの業。彼らは本気も本気、二重丸の大本気なのだ。純粋で、熱心で、とにかく一生懸命だから、ちょっとだけ他人と変わった行動をとってしまうのだ。
まさに抱腹絶倒。
思わず頷いている自分に気づき、ちょっとだけ危機感をおぼえながら。
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これは、喜国氏が出会った本棚や古本や古本屋についてのエピソードと、著者自身が古本のために色々なものを作り出してしまった結果などが面白おかしく書かれた本です。
ミステリ好きならニヤリとするような友人たちも登場して、楽しく読むことができました。
一日でポケミスをどれだけ探せるか(「鉄腕DASH」喜国版)での奮闘は凄まじいものがありました。
わたし自身はあまり古本には興味なかったのですが、これを読んで古本屋巡りをしたくなりました。ただでさえ読んでない本がたくさんあるのにこれ以上本を増やす気か、と怒られそうな気がしますが。
ちなみに家では文庫は出版社別、ノベルス・ハードカバーは著者別に分けています。
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「今日はこの本棚、そして明日はまたどこかの本棚の前で」(137p)
こういう人の存在を知ると、自分は本好きとは言えないかも、と思わされます。こんなに本が好きな人がいるかと思うと、うれしくなってしまうような、そんな本。
隙間のない本棚、うらやましい!本棚業者で作ったら売れるんじゃないかな?少なくても私はほしいけど…
わざわざ自分でお気に入りの本の箱を作っちゃうとかの「本莫迦」っぷりが大好きです。
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読み終わると、むしょうに古本屋巡りがしたくなる。あぁ、私も本が欲しい!
図書館で見かけて(もともと彼の漫画は好き)余りの面白さに文庫で買いました。即、読んだ本って久しぶり。本当は、単行本のがよかったけど・・・キクニさん、私・・・差額で古本、買います!
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喜国さんがこんなに本好きだなんて知らなかった。古書好きの世界はディープなのを知りました。あと、京極先生もちらっと出てきます。同業者から見ても謎の人なんですね。
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古本マニアの世界。
実践できるかどうかはさておき、理解できちゃう自分が怖い。
本来なら初版で買わなきゃなぁ……。
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お友達に頂いた本。予想を大幅に上回る面白さだった!!
本好きに読んで欲しい、って貰った理由がよくわかる。節々にたまらないフレーズがあったりして…。
突き詰めるものや深さが違うと、着目点がこうも変わるのか…と、笑いが抑えられない。
とりあえず、横溝正史をコンプリートしたくなりました。また本が増える…
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きこう良いなぁ、古書好きの人。
本は読むためよりも集めるものになってしまう、なんてあたりはついつい共感してしまいます。
貴重な初版本はあくまで保管用で、読む場合は復刻本を読むとかも。
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失礼ながら喜国氏のマンガはやらしいのしか知らずに、まったくキライでした。すいません。
で、その喜国氏の本ってんで最初はかなり信用していなかった。
でも、タイトルとカバーに惹かれて手に取る。中をチラ見する。
ちょっとだけ立ち読み・・のつもりがかなり進んでしまい、これならと、
今度は自信を持って手に取ってレジへ。
そうして、がん読み。面白い!
あたしも本が好きという点ではかなり胸を張れるけど、マニアになにかに凝るわけではないので、
この一種偏執狂のような熱気が面白くてしかたなかった。
へぇ、そうなんだ、横溝正史の文庫本、確かにいろいろなバージョンがあるけど、
それをわざわざ集めようと思う人なんているんだ!
本をきちんと収めたい、だいたいでいいじゃん・・えっ、ゼッタイいやなの?なにその心理?
ハヤカワ・ポケットミステリってそんなに出ているの?
コレクターってそんなとこまで気にするの?
自分がスルーしていることを大事だと思う人もいるってのが最高に面白い。
いや、いい本だった。
かるーく向こうの世界を見たい本好きのあなた、必見です。
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函作っちゃったり豆本作っちゃったり本棚作っちゃったり、本というものに対する著者の姿勢が好きなものに熱中している男の子みたいで、なんだか読みながらにこにこしてしまいます。
とにかく読み終わると無性に本屋に行きたくなる1冊。
ああ、早く私だけの運命のお方(もちろん本ですが)に会いにいかねば…
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漫画家の喜国雅彦さんのエッセイ。探偵系ミステリー小説の蒐集にかける情熱が綴られています。
古書展でのマニア同士の戦いやら、豆本を作るなどのひそやかな楽しみの数々。知られざる古書ファンの実態(生態?)を知ることができて興味深々。今回読んだのは文庫版ですが、単行本だとこだわりの装填がほどこされているらしいので、機会があれば見つけてみたい。
個人的には喜国さんの徐々に脱線していく暴走ネタがツボだったりします。喜国さんの漫画が好きな方もそうでない方も読んでおいて損はないと思います。
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収集癖のある人にはたまらないエッセイ。本棚のパンクが時間の問題と言うのが最近の悩みの人間にとってはとても楽しめた。兄嫁の部屋と言うこの本唯一の小説のオチが理解できるし、我が家の本棚は出版社別に並んでいる。同感が嬉しい。ちなみに我が家の少ないコレクションも老後に向けての準備である。読むスピードを考えるとまだまだ足りない・・・と主張したら「じゃあ引っ越すしかないわね」と冷たくいい放たれた。悩みは尽きない。
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80年代後半まぁ青春真っ只中の頃、まったく勉強などせず(それでも体育会運動部にいたのでスポーツはしてました)グランドにいない時はもっぱら雀荘にいりびたって仲間とチーだ、リーチだ!メンタンピンドラドラ~などと無為な時間を過ごしていた頃…
巷では麻雀マンガも流行っておりました。『哭きの竜』などという麻雀劇画も流行っていて、得意気にリーチなんぞをかける奴にはこう言ったもんです。
「アンタ、背中が煤けてるぜ…」
麻雀マンガ数ある中でも一際異才を放っていたのが『まぁじゃんマンガ王』有名マンガを麻雀的にパロディー化して、シュールな笑いを誘っておりました。特に覚えてるのが、北島マヤ(言うまでもなくガラスの仮面のヒロイン)が一人四役で東南西北荘をキャラを変えて演じ分け雀卓を完成させてたのとか…
この作者が喜国雅彦氏でした、その後も「傷だらけの天使」「日本一の男の魂」等のギャグマンガ、奥深いテーマを孕む「月光の囁き」(これは映画化されていてかなりの見応えあります)などで親しんできました。
その喜国氏がこんなにもミステリー通だとは全く知りませんでした、驚きです!
今作はミステリ、特に日本の探偵小説の古書を愛する著者の抱腹絶倒、感心至極のエッセイです。古書収集の哀切、我孫子武丸氏、二階堂犁人氏、有栖川有栖氏など有名作家との交流、古書を自分流にアレンジしたり、他人の本棚を垣間見る背徳感、様々な分野で氏の活躍が楽しめます。
知識も豊富でミステリの専門書としても役立ちます。ミステリ通なら絶対楽しめます、オススメですよ!
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4
「小説推理」連載のエッセイを纏めたものの第1集。読むと古本屋巡りしたくなる悪魔の本。滝涙が止まらない。
「傷だらけの天使たち」で出会って以来(もう20年以上か…)、著者は私が新たな趣味を持つと何故か必ずそこにいる。「BURRN!」「笑う婦警さんパチスロハンター」そして探偵小説。何の関連もないというのに。奇妙な縁を感じている。