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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2005.1
- 出版社: 筑摩書房
- サイズ:20cm/238p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-480-81641-0
紙の本
脳と魂
ゆるやかに曖昧で、精緻な自然をそのまま受け容れる仏教的な科学者。悟りを論じるのに脳科学を援用し、死後の世界を量子論から透徹する禅僧。二人のねじれが螺旋のようにからみ合い共...
脳と魂
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商品説明
ゆるやかに曖昧で、精緻な自然をそのまま受け容れる仏教的な科学者。悟りを論じるのに脳科学を援用し、死後の世界を量子論から透徹する禅僧。二人のねじれが螺旋のようにからみ合い共振する。智慧と勇気のダブル・スパイラル。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
養老 孟司
- 略歴
- 〈養老孟司〉1937年神奈川県生まれ。北里大学教授、東京大学名誉教授。解剖学者。
〈玄侑宗久〉1956年福島県生まれ。臨済宗妙心寺派福聚寺副住職。「中陰の花」で芥川賞を受賞。
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紙の本
脳の束縛から離れて…
2005/01/25 05:06
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:碑文谷 次郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
解剖学者の「未来がどうこうなんて、そんな知恵みたいなものは屁みたいなもんだ」という発言を受けて、禅僧は答える「ええ。不安だとか悩みだとか言っても、それはすべて、結局その人の心がつくり出すもの」だ、と(第1章 観念と身体)。この共鳴が、知的興奮にみちた本対談集の主調低音のように思われる。
脳のつくり出す「こうしたらああなる」「ああすればこうなる」という幻想で自分を窮屈にしている現代人に対して、解剖学者は「どん底に落ちて底を掘れ!」と励まし、禅僧は「犬の糞と思ったら踏むな」と現実的に突っ放す。なるほどと思って読みすすむと、「人生半分寝てるんで、頭で考えることは半分しか権利ねえだろう」という養老節が飛んでくる(第2章 都市と自然)。
そして「近代の日本は個というものを妙に立てたから、心は共通で、個性の根本は身体だってこと忘れられていく」「見て区別が出来るんだから、逆に言えば個性ってその程度のもんだよ」と続く(第3章 世間と個人)。
最終章(第4章 脳と魂)では、チリの神経生物学者(ヴァレラ)、ドイツの理論物理学者(ハイゼンベルグ)、古代ギリシャの哲学者(デモクリトス)、更には荘子や天台宗源信まで登場させて、量子論、オートボイエーシス(自己創出)、ユングの「共時性」原理など多岐に脳と魂の相関性を探り、「脳というシステムは、あらかじめある立場を取っちゃう、そういう立場を取っちゃうと、当然見えるものが見えなくなるんです」と“バカの壁”の作者は再び吐息を漏らしながら、又、「いやなことは判断を保留するってことは大事だよ」と"中陰の花"の芥川賞作家は現世生身の人間として、生きる知恵を随所に与えてくれている。
---成田・シカゴ間の往復の機中で、何度も反芻しながら読みすすむうちにフライト時間を忘れさせてくれた、不思議な魅力に満ちた対談集。
もしもあなたが生きる不安を抱えているならば、例えば機内の薄暗がりの中で独りそっと開くことをおすすめしたい一冊である。