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グランド・フィナーレ
  • みんなの評価 5つ星のうち 3.1 95件
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  • カテゴリ:一般
  • 発行年月:2005.2
  • 出版社: 講談社
  • サイズ:20cm/200p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:978-4-06-212793-6

紙の本

グランド・フィナーレ

著者 阿部 和重 (著)

【芥川賞(132(2004下半期))】「神町」そして、ふたたび…。土地の因縁がつなぐ物語。終わりという名のはじまり。第132回芥川賞受賞作「グランド・フィナーレ」ほか、「...

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商品説明

【芥川賞(132(2004下半期))】「神町」そして、ふたたび…。土地の因縁がつなぐ物語。終わりという名のはじまり。第132回芥川賞受賞作「グランド・フィナーレ」ほか、「馬小屋の乙女」「新宿ヨドバシカメラ」「20世紀」を収録。【「TRC MARC」の商品解説】

収録作品一覧

グランド・フィナーレ 5-139
馬小屋の乙女 141-157
新宿ヨドバシカメラ 159-170

著者紹介

阿部 和重

略歴
〈阿部和重〉1968年生まれ。小説家。「アメリカの夜」で群像新人文学賞を受賞しデビュー。「無情の世界」で野間文芸新人賞、「シンセミア」で伊藤整文学賞、毎日出版文化賞を受賞。

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みんなのレビュー95件

みんなの評価3.1

評価内訳

紙の本

さよならだけが人生だ

2005/02/02 13:10

3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ナカムラマサル - この投稿者のレビュー一覧を見る

本作品が、芥川賞に決定した日のNHK夜のニュースで、「ロリコンが原因で妻に離婚を言い渡された男が、故郷の村で女子児童に演技指導をするうちに立ち直っていく」と、アナウンサーが鹿爪らしく本書の内容を説明しているのを聞いて、吹き出してしまった。
いや、笑ってはいけない。的を射た内容紹介なのだから。

主人公である37歳の男は、女児の裸体写真をコレクションしていることを妻に見つかり、離婚された上、8歳になる娘とも二度と会わせてもらえなくなり、勤めていた教育映画製作会社もクビになる。
故郷「神町」に戻り、鬱々と暮らしていたが、かつて同級生だった小学校教師からの依頼で、女子小学生2人が芸能祭で行う演劇の指導をすることになる。
彼女たちの演目「勿忘草」の内容を初めて聞いたときの主人公の心内描写が秀逸なので、是非ご一読いただきたい。
胸に響く人生論と言ってもいいだろう。

それにしても、著者の言語感覚には惚れ惚れする。
読者の中に眠る、最も鮮やかな想像力を喚起させるような言葉を、巧みに取捨選択しているのだ。
一例だが、
「わたしの心は遊園地にある振り子の海賊船みたいに大きく揺れ動いていた」。
凡庸な作家なら、「私の心は振り子のように大きく揺れ動いていた」とするところだろう。
本作では、ロリコン趣味の反動や娘に対する思慕の情を際立たせる装置として、メルヘンチックな比喩が多用されているのだろうが、それが見事なまでに功を奏している。

デジカメを捨てた男が、言葉のみを使いこなして意思伝達することの難しさを再認識するとともに、そのことに希望を見出す物語。
この著者によって書かれたことに、何より説得力がある。

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紙の本

僕にはちょっと合わないなぁ

2005/05/14 22:35

3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:たけくん - この投稿者のレビュー一覧を見る

もっと素直に書いて欲しいというのが率直な感想。終わり方もすごく意味深で、小説としては高い価値があるんでしょうが、文学という世界から程遠い私には、もう少し分かりやすい文章が良いって感じでした。
比喩的な表現が自分とは合わない感じがしました。歳をとったって言う事かな??
賞を獲る作品っていうのは、こんな感じなのでしょうかね?

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紙の本

LaDolceVita!!

2005/02/19 03:14

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Straight No Chaser - この投稿者のレビュー一覧を見る

“Grand Finale”----そんな言葉で、Marcello (Mastroianni)は夜を徹しての享楽パーティの幕を降ろす。夜明けの砂浜に打ち上げられたグロテスクな魚の屍骸、虚空を見上げる空虚な眼差し。少女(天使)の言葉は届かない。

『アメリカの夜』というトリュフォーの映画(映画撮影現場が舞台)と同じ名をもつ小説からはじめた阿部和重は、『グランド・フィナーレ』ではフェリーニの『甘い生活(ドルチェ・ヴィータ)』の幕引き(の始まり)の台詞を小説のタイトルにもってきている、と思い込んでしまったのは、一昨日TVでやっていた『甘い生活』を堪能したからにすぎないのだろう。(思い込みが激しく、思い付きで喋る僕)

『シンセミア』がこれまでのものとはかなり違うヴィークル(vehicle)であったことは確かだ。ウェブ(的)小説。徹底的にメディア(媒介)への違和感を掘り下げまくる。屈曲の深み。ウェブといえば『電車男』ブームが気になりだしたので、はじめて2チャンネルにアクセスしていくつかのスレッドを覗いてみると、そこに、今自分が利用しているメディアに対する違和感(懐疑)をあけすけに表明する言葉が数多存在していることに驚くとともに、可能性(シンパシー)らしきものまで感じてしまい、やばいかもこの自分……そんな悩みが深まりゆく気配であった矢先だからこそ『ドルチェ・ヴィータ』&『グランド・フィナーレ』に感動したような気もする。「死んじゃだめだ(ぜ)」という魂の叫びがフル・オーケストラの圧倒的な音楽にのって、身体のなかから衝き上げてきそうだった……

「わたしは世に言うロリコンであり、今現在は露悪趣味に走って自身をあえて貶めることにより逆説的に自らを際立たせた気になって悦に入っている、古くさくて凡庸な下衆野郎」(51頁)ではないつもりだけれど、いやまったく違うのだが、この37歳のトーキョーから撤退した沢見という男が“動”き始めた時点で、蜘蛛の巣(ウェブ)にかかってしまった僕は完全に。

これは僕の体質のせいかもしれないが、阿部和重の小説が動き始めるとき、きっかけはきまって「顔色の悪さ」なのだ。『アメリカの夜』と『グランド・フィナーレ』にどこか反復的な印象(むろん悪い意味ではない)があるのは、つまり「顔色の悪さ」だ。“鏡”を通さなければ絶対に見れない(自分の)“顔”という“メディア”?

>(37頁)

『アメリカの夜』とはちがって、『グランド・フィナーレ』の沢見は「そうかな、気のせいだろ」とか「嘘つけよ。ここが暗いせいだろ」とか、執拗に反論する点が気に入ったわけだが、そもそも先ごろ宮沢章夫の『不在』を読み進めながら、どうにも『シンセミア』が重なってきて仕様がなく(文章の感じは少し『千年の愉楽』ふう)、「『シンセミア』→(『不在』(←『千年の愉楽』←『豊饒の海』))→『グランド・フィナーレ』→?」という図式が浮んでは消え、さらに阿部和重はフェリーニを宮沢章夫はシェイクスピアを“遊”んでみたのでは、と考えを進めるのは楽しく素敵だ。“不在”の観客を前にしてさえも。

*「馬小屋の乙女」というふたつめの短篇の主人公「トーマス井口」は「機関車トーマス」と「トータス松本」を思わせる。「驚いたことに、そこいら中にエロスの芳香がむんむんと漂っているみたいな東洋的風情のある、抒情的な町並みだな」とはじまる、なんだか坪内逍遥訳『ハムレット』のごとき彼の独白には笑いを堪えきれなかった……最近なんだか顔色の悪い人間としては、「電車のなかで読むなよ『馬小屋の乙女』は」とアドバイスを残して“Grand Finale”、かな。

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紙の本

小説の評価が「感動」でされるならば、この本の評価はもっと低いかもしれません。長女は読み終わってすぐ「わたしには早いや」と降参、わたしも話としてはイマイチかな、でも感覚がね

2005/08/18 21:02

5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

変な拘りかもしれませんが、私は受賞作というものを原則読みません。読書家としての意地があります。自分で発見できなかったものを、おめおめと、といったバカなものですが。そのため、いい作品を読み逃しているかな、と思うこともあります。川上弘美さんや小川洋子さんなどは、その代表例ですね。
でも、その姿勢を変えようとは思いません。虚仮の一念、です。それに、既に自分が読んだ本が受賞することは、わたし的にはOKというか、やったー、ですから直木、谷崎、山本、三島、日本SF、日本推理、読売、毎日、野間なんていうのは問題無しなわけです。
その伝でいえば、雑誌掲載の作品が対象になることが多い芥川賞作品は、殆ど読むことがなく、むしろ受賞作家はそれ以降にいい作品を書きますから、焦る必要はないわけです。ということで、今回の本は、わたしが読むはずのものではなかったわけです。ではなぜ、読んだのか、この変節漢め!ということになります。
まず、たまたま図書館の書架を覗いていたら、この本がありました。しかも、大して読まれた形跡もないきれいな状態で、です。綺麗な状態、これはわたし的に好感度アップですね。しかも私は伊藤整文学賞と毎日出版文化賞をダブル受賞した『シンセミア』を受賞前に読んで、褒めちぎっているのです。私は評の最後をこう括っています。
「いやはや、おっそろしい、しかし、もしかすると自分たちの住む町も、一皮向けばこんなものかもしれない、そんなことを思わせる小説である。性の場面は、官能的というよりはスカトロジック。カバーの清々しさは、まさに詐欺かペテン。娘に読ませるわけにはいかない傑作。」
ですから、読む権利あり、ですね。それにカバーデザイン、さわのりょーたの装画がちょっと木版画風で、出版当時から気になっていましたし。ちなみに、装幀はstudio S&Dだそうです。
この本は、芥川賞を受賞した中篇と三つの短篇からなる作品集です。各々の分量とタイトルをあげておけば140頁弱の「グランド・フィナーレ」(群像)、20頁弱の「馬小屋の乙女」(新潮)、ほぼ10頁「新宿ヨドバシカメラ」(コヨーテ no.1)、同じく20頁「20世紀」(Sony Style)。全体で200頁のお手頃感。
で、中心はどうしても表題作になります。主人公は37歳になる私こと沢見で、彼は家庭内暴力がもとで二年前に妻のほうから離婚されています。DVということで、元妻は勿論、今年八歳になる娘の近くに寄ることも出来ません。田舎に戻り、母親の経営する文房具店の手伝いをしながら暮らす沢見は、事件が起きるまでは教育映画の製作会社で助監督をしていました。人目でもいいから娘に会いたいと思う私の愛と混乱の日々を描くのが「グランド・フィナーレ」。正直言って、芥川賞というよりはメフィスト賞のほうがお似合いではないかという面白さです。
寝過ごして、予定の駅で下車することの出来なかった男の「馬小屋の乙女」、なんというか、男性の体を東京に、山手線を下腹部に見立ててヨドバシカメラを特定すると、なんとも淫靡な「新宿ヨドバシカメラ」、Future、Traditional、Form、Arrangement、Feminineの五篇からなる、説明がしがたい「20世紀」。
特徴は、閉じないというか、暴力的なまでに唐突に終る話でしょうか。鉈でぶった切ったような、ズドンと切り離された物語の断面。余韻、というのは話が99%くらいまで終って、それでも閉じない場合をいうのでしょうが、阿倍の場合は75%、場合によっては60%くらいまで話が進んで、ドス。もっと長生きできたのにと、若死にをした人の未来を思うような理不尽さを感じます。それで納得させる、それがこの作家の力、と言っておきましょう。少なくとも、纏められなかった、といった印象は皆無、面白いです。

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紙の本

自己批評としてのステレオタイプ

2005/02/02 09:46

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:けんいち - この投稿者のレビュー一覧を見る

 阿部和重『グランド・フィナーレ』は、芥川賞受賞の際、某県幼女殺人事件との関連がメディアで報道されたが、まず確認しておきたいのは本作が間違いなく「小説」であり、現実の事件や文学賞とは離れたところで読むのがこの「小説」にふさわしい「読み方」だということだ。

 『グランド・フィナーレ』では、唐突に描き出される「わたし」の現状に続き、次第になぜそのような事態に至ったかが(事件のスキャンダラスさとは一線を画した)冷徹な自己反省の筆致で、時には暴力的なまでに理性的な他者の言葉によって、綴られていく。「わたしは自分自身がどんどん加速度的にクズになっているのがよく判った。」という一節に明らかなように、文字通り「最低」である「わたし」は、事態の推移や自分の言動・心理の酷さと凡庸さを十分すぎるほどに自覚し、その自覚を周囲の社会的・倫理的なまなざしの関係性の中に置き、その上で単なる「ダメな自分の垂れ流し」に陥ることなく小説世界の現実に耐え続けていくだろう。特に、長い台詞の圧倒的なまでの密度、「小説」としてのリアリティは、読んでいるこちらが熱くなっていくほどの迫力をもって書かれており、一見、今風のチャライ口語を織り交ぜたかに見える「1」の終わりのIの台詞(これは「2」にも作品全体にもこだましていく)などは、その最たるものである。文章全体としても、文法的な乱れと思われもする箇所がありながら、そうした文体の屈曲それ自体が緊張感をいや増しに増し、「わたし」の現状を浮かび上がらせつつ、小説世界を形作っていくだろう。

 『グランド・フィナーレ』の舞台は明らかに日本なのだが、時折差し挟まれる歴史意識は、本作あるいは作家阿部和重の位置を指し示しているだろう。「9・11」「ロシア」「バリ島」「ウガンダ」といった世界的な事件が、およそそれを口にするのがふさわしくないような人々によって、アルコールと薬の混交する場で語られていく。もちろん、これらは目立たない点景として書き込まれたものだが、ここに「現在」という歴史意識が垣間見られようし、「世界システム」の網目のなかで、テロも「わたし」の犯した事々も、スケールこそ異なれども、地続きの出来事して「小説」に併置されることで、「現在」を生きることの困難さえもが浮き彫りにされるかのようだ。

「去年のクリスマスからまる一年が経った今、カメラを手にしなくなったわたしは、言葉のみを使いこなして現実に介入しなくてはならない難儀な場所へ辿り着いてしまった。」

 こうして、ある意味でループを描いて辿り着いた「場所」で、「わたし」はやはりヒロイズムに溺れることなく冷静に事態を自覚し、言語化している。つまり、『グランド・フィナーレ』とは、「わたし」の「自己再生への(現代風)成長譚」として読まれるべき小説ではなく、むしろ、「カメラ」(=映像)から「言葉」へと、その現実との関わり方をスライドしていく物語なのだ。従って『グランド・フィナーレ』それ自体が言葉で書かれた「小説」として、この世界の「現在」と何らかの形で関わっていくのは当然である。そしてそれは、単に幼女殺人事件との関連を云々することではない。そうではなく、『グランド・フィナーレ』の読者もまた、「現在」という歴史的地平において、自らの「場所」を自覚し言語化できるかを問われているのではないだろうか?

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紙の本

哀しみと、おかしみと

2005/04/01 00:24

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ツキ カオリ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 この作者の処女作、『アメリカの夜』は、あの作品の語り手である「わたし」によると、哀しい話のはずだった。確かに、あの作品の主人公、中山唯生は、アルバイト先の唯一の楽しみともいえた「読書」を禁止され、恋をした「ツユミ」ともうまくいかず、映画学校の同級生が監督した映画に「ツユミ」と共に出演するという口約束も反故にされ、散々な目に遭うのだった。だが、中山唯生のふるまいには、時折、ある種の「おかしみ」が、感じられはしなかっただろうか。ツユミとの共演に備えて、公園で、ひたすら体力づくりに励む中山唯生。その様(さま)が真剣であればあるほど、公園でラジオ体操をしながら、彼を見ていた人達がきっとそうであったように(?)、読んでいる我々も、思わず頬が弛(ゆる)んでしまったのではなかっただろうか。

 さて、この『グランド・フィナーレ』には、作者のそれまでの作品の「キーワード」が数多く見受けられる。例えば「神町」ということであれば、『シンセミア』もそうだし、『ニッポニア・ニッポン』の鴇谷(とうや)少年も、かなり端役ではあるが、作中に登場している。そのような直接的な関わりもさることながら、私には、本作からは、前述の、『アメリカの夜』的匂い、が漂ってきたように感じられたのだった。

 この作品の主人公、沢見=わたしは、東京で教育映画の製作に携わっていたが、知人の影響で、少女のヌードに、趣味をもつようになった。「わたし」は、そのことを妻に知られてしまったため、離婚せざるを得なくなったばかりか、職も失ってしまう。故郷の山形・神町へ帰った「わたし」は、友人を通じて、せめて娘の誕生日には一目会いたいと上京するが、その願いは叶わなかった。打ちひしがれて故郷に戻った「わたし」に、小学校の体育館で開かれる芸能祭で、演劇発表する小学6年生・女児2人の、「演出」をしてほしいという話が浮上する。

 『シンセミア』ほど陰惨な話ではないにしても、本作は、まさに「哀しい話」である。いや、「哀しい話」というよりも「ひどい話」だと言えよう。「わたし」は、周囲の人達から、沢山「ひどい」ことを言われたりされたりするが、それは、「わたし」が、周囲の人達に対して、沢山「ひどい」ことをした報い、だとも受け取れるのだ。だがこの話は「ひどい話」であると同時に、『アメリカの夜』がそうであったように、ある種の「おかしみ」も伴っているのだ。例えば、娘の名前は千春というのだが、本作で「わたし」は、会える可能性が皆無に近い、目の前に居ない娘に向かって(心の中で)「ちーちゃん」「ちーちゃん」と呼び続け、切ない心情を吐露するのである。「わたし」の心情を聞くのは「ちーちゃん」だけではない。ぬいぐるみの「ジンジャーマン」も貴重な話し相手の一人だ。この、ぬいぐるみは、かつて「ちーちゃん」にプレゼントしたものだった。「ジンジャーマン」は、「わたし」の質問に即さないとはいえ、「やあ、綺麗なお星さまだね」などと、粋な答えを返すのである。「少女のヌード撮影」という暗い要素を引きずった話は、「女児たち」を取り巻くファンシーな小道具たちによって、深刻すぎ、にはならず、むしろ「奥行き」を生んだ、のである。

 タイトルは『グランド・フィナーレ』だが、この「フィナーレ」には、沢山の意味合いがあるであろうが、大筋で、2つの「フィナーレ」が含まれているように思う。1つの「フィナーレ」は、「女児2人の、小学校生活最後の、芸能祭の演劇発表」である。2つ目のフィナーレの意味は、ぜひ、読んで確かめていただきたい。

 『シンセミア』を再読した直後だけに、「重苦しい話」は覚悟していたのだが、いい意味で裏切られた、本書だった。

 芥川賞受賞を機に、この作者は、どこへ向かうのだろうか。

 
  

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紙の本

フィナーレには程遠い

2005/03/03 20:55

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:soramove - この投稿者のレビュー一覧を見る

話題の芥川賞受賞作。
この人の作品は初めて読む。
これも芥川賞効果だ。

文章は新人の持つ緊張感はなく、
独特の世界があり、リズムがある。
ストーリーは今日的で、そういう切り込みは
時に普通じゃなさ過ぎる世界を書く
文学において、ちゃんと日常を書くのは
好感がもてる。

ただ内容はとても好感がもてない主人公が
うつむき加減に、後ろ向きに後ろ向きに
生きているお話。

ラストの物足りなさ加減は、作者の意図か。
好きな人にはこの余韻が楽しめるのかもしれない。

いつも本を読んだときに自分に聞く。
「ここに文学はあるのか」

すでに新人とはいえない作家の作品ながら、
この一作を読んだ限りでは、残念ながら
「文学」を感じられなかった。
「とんでもないもの」を読んでいるという
予感も緊張感も味わえなかったのが本音。

@@
書いた後で、ネットでしばらく情報を拾うと
ひとつの町、そしてトキという鳥のキーワードと
彼の本の読者は、この新作からも「大きな」物語の
断片を見つけることができるようで、
村上春樹のファンに似た、深読みの楽しみが
既にあるようだ、こうなるとホント新人?という
感じで、芥川賞は不向きじゃないかな。
本人的にはどうなんだろう。

他の彼の本も読みたいと思った。
soramove ← クリック!

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紙の本

昨年末に奈良で小学1年生の女児が36歳の男に殺害される事件があり、その男が幼児性愛者という生々しい事実抜きには語れないテーマのはずなのだが。作者の顔が見えない、薄気味悪さが残る芥川賞受賞作

2005/03/10 01:09

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:よっちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

社会との関わりというか自分以外の人と関わることがどうにも煩わしくて我慢ができない人間が増えているんだな。そういう人が逃避する場はいくつかあって、それが風俗化して、顰蹙ものだと思うのだけれど、ものわかりのよい人種も増えているために一種の居直りである本人たちの「自我主張」と重なっていつのまにかに認知されているようなところがあるのかもしれない。

「かわいらしいピンク色のウサギと青色の子グマが手を繋いで横に並び、眼前に立ちはだかっている」
で始まるこの小説はそのあともバニラ風の甘い香り、ベビーボーロとかミルクプリン、キャンデー、チョコレート、お星さまや虹の彩り等々が続き、それが37歳のいい年をした大人の心象風景らしいのだが、おもちゃ箱の世界に閉じこもっている男なのだろう。自分もお人形さんだからか、8歳になるち一ちゃん(自分の娘)を裸にしてデジカメで撮ることはお人形さんのように可愛らしいと思う心の現れなのかもしれない。だからよその可愛らしい幼児たちのヌードを撮りまくり、たまにはセックスしても、それはおもちゃの世界で、心からの愛情表現なのでしょう。決してけがわらしい気持ちからではありません。
この小説の主人公のような性癖の持ち主は広く存在するようだ。

現実からの逃避したものが群れるアジトがあってそこで酒とクスリに浸かりながら一方通行のわめき合いをしている。ひとりがロシアやチェチェンとテロ、ウガンダ内戦などのしゃべくりをしても、かみ合う議論をするつもりもなく、感情移入がありそうでいて実はまるで映画の解説であり全くの他人事で、声がでかいばかりである。
こういう人種もまた増加しているようだ。

ちーちゃんのお父さんのまえには演劇指導を希望するこれも可愛いらしい女の子が二人登場する。このふたりは、童話の悲恋の主人公にひたすらなりきっていて、自分の生活と童話世界の区別がつかず、美しいお話どおりに心中することを決めているようだ。
理解をこえた心中事件が頻発しているのが最近であるからやはりこんなこともあるのだろうと驚きはしない。

主人公の性癖は妻の知るところになり離縁され、ち一ちやんとも会うことかなわず、でも逢いたい逢いたいといてもたってもいられない。更生の気持ちが芽生えたのかおもちや箱の世界から田舎町へと逃避する。しかし田舎町は変貌していてなじめず、鬱々としながらも閉じこもりの生活に甘んじている。童話世界に生きる二人の女の子は心中をするのか、あるいは主人公が、幼児性愛癖というのはなかなか直らないものだそうだから、再び裸にして愛でることになるのか、そうではなく大団円なのか、そんなことはどうでもいいらしい。

………
ちーちゃんのお父さんもお父さんの仲間も童話の女の子たちもそれぞれの自分なりを求めているところがあるんだよね。世のため人のためなんてものじゃないけれど、ちっぽけでもなにかを求め続けるっていいことでしょう。それで自分を実現するっつーか、とっても満たされるしね。だれに迷惑をかけるわけじゃぁないんだから、やってることにあれこれ横槍を入れないでほしいんだけど、実際は周囲からいやな目で見られたりつまはじきにされたりしてホント居心地悪いんだ。ワルイことだなんて指摘されても、ナニオーって反論しようなんてつもりはなくて、それは言われてもしょうがないところがあるってわかっているから、ますます居心地悪くって。でもすっごくカッコよく見えている人の方がよっぽど汚いことや悪いことやってるはずなんだよね……そんなこといってもしょうがないっか。
………

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2005/09/28 07:47

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2005/10/25 15:15

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2005/03/01 12:44

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2005/03/24 11:38

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2005/02/27 01:36

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