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商品説明
人間の脳は、その主たる機能は−人間に対して事実を隠蔽することにある。そう、「神」を隠すために…。日本SFを代表する「神狩り」の続編が、30年ぶりに登場。『SF Japan』掲載をベースにした書き下ろし作品。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
山田 正紀
- 略歴
- 〈山田正紀〉1950年生まれ。明治大学政経学部卒。74年「神狩り」でデビュー。「ミステリ・オペラ」で本格ミステリ大賞と日本推理作家協会賞を受賞。ほかに「地球・精神分析記録」など。
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紙の本
ちょっとがっかりの凡作か、長い間待たされた読み手の期待過剰か。
2005/09/01 10:38
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:書子司 - この投稿者のレビュー一覧を見る
えっ?!あの「神狩り」の続編がでたの?!うれしい驚きで本作を手に取って、読み出したが……。前作から30年、主人公であった島津圭介は年老い、十三重の関係代名詞、二つだけしかない論理記号によって記された文字の解読というテーマはなおざりにされ、新しい展開はなかった。そのかわりに語られていたのは脳神経学への言及と、神の存在と脳の関係であった。こんな話を読みたかったのではない。あの「神狩り1」の神の文字の解読をもっと読みたかったのに!こう願うのは読者のわがままであろうか。
「神狩り1」が発表された当時と比べ、この30年間は神をテーマにした作品がたくさん発表されてきたように思う。アニメでさえも神を描いたりしている。作者がそれらを参考とするつもりは無くとも、目にし、一読すれば影響されるのは止むを得ないのではないだろうか。それが悪いとは一概には言えないが、本作については悪い結果になっているのではないだろうか。あの「神狩り」の続編なのに、エヴァンゲリオンの使徒みたいなのが襲ってくるのはあまりじゃないか(もちろんエヴァンゲリオンを批判しているわけではないし、すごく面白い優れた作品だと思うが)。でも、「神狩り1」のもっていた世界とはあまりに違うように思える。
とは言え、「神狩り1」を読まずに本作だけを読めば面白いと思えるかもしれない。アクションあり、蘊蓄あり、天使が襲ってくるスペクタクルありで、ストーリーとしては派手で、今風で、読ませる。30年ぶりの続編への期待が大きすぎたのであろうか。
紙の本
あの天才が原点に戻ってきた、それだけでも凄いというのに、このパワーアップぶりは。それにしても30年ぶりというのは、ご立派
2005/06/25 22:31
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
変な始まり方で恐縮だけれど、最初に、山田正紀のあとがきから引用しよう。
「その結果、自分では「カッコいい」SFに回帰できた、と思います。(中略)どうやらブーメランは三十年かかって、またぼくのもとに戻ってきたようです。もうぼくにはあまり時間がない。戻ってきたブーメランをすぐに投げ返したいと思います。SFに、ミステリーに、時代小説に、そのほかありとあらゆる素晴らしい小説に向かって・・・・・・行ってこい、そして帰ってこい、僕のブーメラン」
そう、私が山田の天才ぶりに驚いたのは、彼に『神狩り』という作品があることを知ったときである。その作品は、1974年、24歳の山田のデビュー作として出版されたという。私がそれを読んだのは何時のことか、内容ともども忘れてはしまったけれど、ここに天才がいる、という衝撃だけは頭の中に残った。何といっても『神狩り』である。これほどに挑戦的なタイトルを思いつくだけでも、エライ。
その作者が自身をもって、自信の天才振りを初めて人前に見せた世界に戻ってきたと宣言する作品。SF japan vol.4掲載の「神狩り2 リッパー 第一部」約200枚をベースに書き下ろし、1600枚は書いたという原稿を1100枚まで削った作品で、3年をかけてしまったという。しかも、カバーは「あの」生頼範義「我々の所産」である。期待するな、というほうが無理だろう。
で、目次の前に、前作『神狩り』あらすじ、というのがあって、私はこれを読み過ごしてしまったけれど、できれば読んでおいたほうがいいかもしれない。勿論、ベストは前作を読んで、今回の作品と言うことになるけれど、なんと言っても30年である。取り巻く世界も、私たちの認識も変わった。(ま、相変わらず日本は神国、天皇は神、という明治期に生まれた根拠薄弱な認識を変えずに、私たちを戦争に狩り立てようという頑迷な人たちも、それに影響されている人たちも健在だけれど)。気にせず、独立した作品として読んでもいい気がする。はい、私、前作を読み返さなかったけれどお釣が繰るくらいに楽しみましたです。
プロローグで早速、凄い光景が読者を待っている。沖縄の宮古島のレーダーサイトが捉えた未確認飛行物体の知らせに、日本側への情報提供をしないままに緊急発進をした二機のF-2戦闘機が見たのは、長いサフラン色の髪の毛と、軽やかな純白の衣をなびかせ、四枚の翼を優雅に波うたせて飛んでいる・・・・・・
ということになる。でタイトルの『神狩り2』の横に小さく書かれた「リッパー」だけれど、それは「赤い色」ということになる。
話は大きく三つ。一つは、高速道路でワゴン車と銃撃戦を繰り広げることになる安永学と江藤貴史。一つは、連続する一家殺人事件を担当する西村希久男、警視庁・第二強行犯捜査三係所属の警部補。最後が、その現場で西村が見かけた27歳の女、理亜であり、彼女と13歳違いの牧師・富樫ということになる。
勿論、これらは最初からまったく独立した流れではなく、安永学たちと西村、西村と理亜、理亜と江藤、と言った具合に繋がっている。で、ちょっと短絡的に言えば、その要の位置にいるのが島津圭介ということになる。S大学大学院の情報工学科に属し、天才と呼ばれながら、あまりに人々の先を歩んだために理解されず、《古代文字》の研究に打ち込み、そして忘れ去られた男である。
ハードな活劇が壮大なイメージとともに、展開する。決して観念論的なSFではない。まさに冒険SF小説である。しかも、重厚。扱うのは最新の脳科学に裏付けられたヴァーチャルな、人類史の謎に迫る、ある意味、宗教的な香すらする世界なのだ。まさにパワーアップ。それは主人公の一人が最後に発する絶叫に繋がる。
山田の歩みは、もう一人の天才神林長平を思わせずにはいない。あと十年でこの二人が何を生み出すか、楽しみである。
紙の本
面白いことは、面白いけど…
2005/03/26 21:28
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:toto - この投稿者のレビュー一覧を見る
山田正紀の衝撃のデビュー作である「神狩り」の続編。ただし、作風は、
前作とは、似て非なるもの。
作品のレベルについても、決して高いとは言えない。神が人類を操っているという前作のアイデアを、この作品ではこなしきれていない。主人公の扱い(そもそも主人公がいない? 最後まで主人公がわからないから、感情移入もできない)からして、その場しのぎのもので、前作にあったような人間についての深い洞察のようなものはない。一種のアイデア小説であり、せいぜい短編か中篇の中身である。
金銭や時間に余裕がある人には、それなりには面白いのでよいと思うが、無理に高い単行本を買って読むほどのものでもないような気がする。