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  • カテゴリ:一般
  • 発売日:2005/03/16
  • 出版社: 岩波書店
  • レーベル: 岩波現代文庫
  • サイズ:15cm/598p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-00-602089-9
文庫

紙の本

人間の條件 下 (岩波現代文庫 文芸)

著者 五味川 純平 (著)

人間の條件 下 (岩波現代文庫 文芸)

税込 1,760 16pt

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みんなのレビュー8件

みんなの評価4.6

評価内訳

  • 星 5 (5件)
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  • 星 3 (1件)
  • 星 2 (0件)
  • 星 1 (0件)

紙の本

人間を極限の状態におかないために、いますべきことを考えさせてくれる

2006/06/03 09:05

8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:未来自由 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 1945年8月13日、ソ連軍と戦闘。梶の部隊は全滅し4名だけが生残る。ここからの描写はすさまじい。社会主義の理念を支持しながらも、スターリンに懐疑心をもつ梶は、降伏することをためらうばかりか、信じることができない。
 戦争という極限の中で、理念だけでは解決できないものがある。それを本能的に感じた梶の行動は、ただ生きるだけに集中される。読むのが辛くなるほど、生きることに執着する梶の姿に翻弄される。愛する人のもとに帰るため、ただその一念で殺人さえ犯す人間へと変貌する。
 日本軍敗残兵の掠奪、強姦。そしてソ連軍の略奪、強姦。戦争という状態のなかで、いずれの兵の行動も、人間の最低限の条件さえ奪っていく。この下巻は、あまりにも辛い。戦争がもたらす人間性の喪失を余すところなく描き出している。
 それでも、人間として生きようとする人々も描かれる。しかし、多くの矛盾ある現実に翻弄される。人間らしく生きようとすればするほど、矛盾が激化する。何がそうさせるのか。それは戦争である。戦争を正当化しようとする驕りから、人間性が奪われていく。
 戦争によって、人間らしく生きることはできない。それをとことんまで突き詰めた小説。下巻の梶の行動には賛否両論あるかもしれない。それでも、戦争と人間を描いた本小説から考えさせられることが沢山ある。そして、人間を極限の状態におかないための、日頃の努力こそが大切なことを考えさせてくれる。
 その大切な時は今だろう。憲法を変え、人権と自由を奪い、戦争のできる「普通の国」になったとき、普通の生き方はできなくなる。生きるとは何か!普通に生きるために最低限しなければならないことは何か!そんなことを考えさせてくれる。

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2010/03/22 05:02

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2011/11/21 03:35

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2014/11/02 22:45

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2016/06/13 14:50

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2020/06/09 15:06

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2023/06/27 11:33

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