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ヴィーナス・プラスX
  • みんなの評価 5つ星のうち 4.2 13件
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  • カテゴリ:一般
  • 発行年月:2005.4
  • 出版社: 国書刊行会
  • サイズ:20cm/305p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-336-04568-2
  • 国内送料無料

紙の本

ヴィーナス・プラスX (未来の文学)

著者 シオドア・スタージョン (著),大久保 譲 (訳)

男が目を覚ましたのは、謎の世界レダム。そこでは荒唐無稽な建物がそびえ立ち、奇天烈な服を着た「男でも女でもない」人々が闊歩していた…。再評価著しい異色作家スタージョンによる...

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ヴィーナス・プラスX (未来の文学)

2,376(税込)

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商品説明

男が目を覚ましたのは、謎の世界レダム。そこでは荒唐無稽な建物がそびえ立ち、奇天烈な服を着た「男でも女でもない」人々が闊歩していた…。再評価著しい異色作家スタージョンによる幻のジェンダー/ユートピアSFの傑作。【「TRC MARC」の商品解説】

著者紹介

シオドア・スタージョン

略歴
〈スタージョン〉1918〜85年。ニューヨーク生まれ。SF・幻想小説家。「人間以上」で国際幻想文学賞を受賞。世界幻想文学大賞・生涯功労賞を受賞。著書に「一角獣・多角獣」など。

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みんなのレビュー13件

みんなの評価4.2

評価内訳

  • 星 5 (4件)
  • 星 4 (8件)
  • 星 3 (0件)
  • 星 2 (0件)
  • 星 1 (0件)

紙の本

内容紹介

2005/04/28 14:15

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:国書刊行会 - この投稿者のレビュー一覧を見る

チャーリー・ジョンズが目を覚ましたのは、謎の世界レダム。そこは、銀色の空に覆われ、荒唐無稽な建物がそびえ立ち、奇天烈な服を着た<男でもなく女でもない>住人たちが闊歩している世界だった! 故郷に戻りたがるチャーリーに、レダム人たちは交換条件を持ち出した。「あなたの目で私たちの文明を評価して下さい」。彼は承諾した、自分の本当の運命も知らずに——異空間での冒険とアメリカの平凡な家庭生活の情景を絶妙に交錯させながら、ジェンダーの枠組みをラディカルに問い直す。孤高にして最高のSF作家、シオドア・スタージョンが放つ幻のジェンダー/ユートピアSFの傑作がついに登場!

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紙の本

確固たる「美」のイメージを、強力な言語の構築力で体系ある「世界」として現出させたのち、それを絶対視しない勇気と英断。

2005/06/23 23:35

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:中村びわ - この投稿者のレビュー一覧を見る

奇想で滑らかにまとめられる短篇群では、物語の背景に、大きな体系で完結する「世界」の存在を感じ取りながらも、その断片にしか触れることができない。こうして初めて長篇を読んで深く感じ入ったのは、「何て美しい全体を書けるのだろう、この作家は……」ということ。
一目見て「美しい」と反応できる視覚芸術、ささいな和音やフレーズで同様に反応できる音楽芸術などと違い、言葉を積み重ねイメージを現出させる文芸の場合、「美しい」と響くには、読み手の想像力に頼らねばならない困難がつきまとう。また、創作と読む行為の双方に、辛抱強い時間の経過も必要であろう。題名だけで十分美しい作品もあるし、詩や俳句の形式で、詩情のエッセンスを捉える方法もあるけれども……。
そうした詩情を取り込めるものなら、小説のわずか1行、2行で泣きたくなるほど切ない文を書くことも可能。実際、『不思議のひと触れ』所収「雷と薔薇」中にあった「人間のすべての手をポケットに深く突き入れると〜」という部分など、どうしてこうも美しいイメージを結晶させられるのかと忘れ難い。ただ、この一節とて、主人公の追い込まれた情況と彼が下した判断が言葉として先に積み重ねられていたからこそ、波紋のように打ち寄せてきたものなのである。
人間が住んでいたのと同じ地球上にある「レダム」という世界——昼夜の区別なく、睡眠が要らず男女の区別もない人びとが暮らす謎の閉鎖的ユートピアをスタージョンは現出させた。
皆が争いもなく友好的に暮らし、揃って幸福感に満たされるユートピアがSF小説のなかで最後までつづくわけがないと、どこか心に留めて読んでいく。だが、スタージョンの魔術的な言葉の構築力は強力で、めくるめく表現に心躍り、いつしか疑念は薄らいでいく。
たとえば、謎の世界レダムで目覚めた男性主人公が案内される、衣装の詰まったクロゼット。横棒もハンガーもないそこには、多種多様の服が吊るされている。懐かしいピエール・カルダンやサン・ローランの近未来的モードを思わせるキュートな型、鮮やかな色のイメージも楽しいが、それらが意志があるように自然にフィットしてくる着衣の様子が何とも面白い。人体にとって服がどうあるべきかの人類学的考察も経ているからこそ書ける、美しいイメージではないかと推察する。
もう1箇所、レダムの子どもたちの遊びの場面も印象的だ。水遊びやらボール遊びやらグループごとに違うことをしていても、常に皆一緒に歌を歌っている。音楽に集中することなく……。規則的に発せられた和音は空にたゆたい、子どもたちに一体感を与える。これも単に歌が美しい、遊ぶ子が美しいというのではなく、子どもの集団の在り方の理想が、美しいものとして作家の意識の根底に横たわっているためだ。
当たり前のことだが、言語で「美」を構築していけるのは、対象とすべき確固とした美のイメージがそこにあるから。スチールや動画の美しい場面を単に言葉で転写しようという作法ではなく、「愛」「幸福」についての深い思索あってこそ成功するのが小説という言葉による「美」の創造である。その意味では、服や遊びより、レダムを成立させている「Aフィールド」「セレブロスタイル」という2つのシステムを美しい概念の例として取り上げるべきなのかもしれない。
レダムという世界の各種断片から見事に全体を立ち上がらせたあと、スタージョンはユートピアそのものの在り方に問いを投げる。1つの大きな価値体系に構成員全員が価値を認め、幸福を感じる世界。逆に言えば、その体系から外れる個性や異種が存在しない、認められない、そのような世界は果たして人類にとって真のユートピア足り得るのか。
そこを読み取るとき改めて、スタージョンが私の頭に描いてくれたレダムという世界、それを構築する彼の想像力の元にある、意志と姿勢の美しさに気づかされる。

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紙の本

目が覚めると、一面銀色の空が…

2005/06/24 16:58

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:PNU - この投稿者のレビュー一覧を見る

目覚めたそこは、奇妙な人々のいる異世界「レダム」だった。
チャーリー・ジョンズはレダム人から彼らのことを学ぶよう
たのまれるが…。

導入がいい。
現代人チャーリー・ジョンズがいきなり目を覚ましたら
奇怪な世界にいるのである。直線ではなく曲線で構成された建物、
そして銀色の空。
その世界レダムで、レダム人からレダムを学んでくれるよう
お願いされたチャーリー・ジョンズとともに読者はレダム世界を
見学して歩くことになる。
SFは現実とは異なる世界観を飲み込むまでに時間を要することが
多いが、本書でははじめからチャーリー・ジョンズは異分子なので、
彼と一緒にまっさらな気持ちでレダムを学べるところが巧い。

男女性別なき人々が住む「レダム」の世界と、
ごくふつうの男女が暮らす「ベゴニア通り」の物語が
交互に展開していく。性別が存在しないレダム、
そして男女の性別が存在し、それによって差別や倒錯や葛藤が起きる
我々の世界との対比が面白い。

特筆すべきは「ベゴニア通り」の世界で、ごく普通の中流家庭の
生活を淡々と書いているのに、妙に惹きつけられる。
それは善き父であるハーブ・レイルと妻子、隣人のスミティたちの
描写がリアルで真に迫っているせいか。
レダムの習俗よりも、ベゴニア通りの方が面白く思えたほど
だった。レダムが抽象的すぎて、レダム世界の説明に
想像力が追いつかぬところもあったしな…。

そしてただでは終わらないのが本作。ミステリーと言ってしまっても、
良いかもしれない。このラスト、謎が解けるところ…
そしてそれによって一変する世界、
我ら現代人ののど元に突きつけられた剣、
それはSFを読み慣れた方には古くさいモチーフであろうが、
私は眩暈に襲われるほどの衝撃を受けた。

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紙の本

社会科学+物語のSFの傑作

2005/11/20 13:12

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:萬寿生 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 SFは、自然科学+物語で構成されるものである。一時期、社会科学+物語のSFが、流行したことがある。この作品が書かれ、出版されたのも、1960年であるという。社会科学という意味は、ウーマン・リブに象徴される、性差の概念見直しの意味である。日本語で性差と言っても、生物学的性差(sex)と社会学的性差(gender)の、二重の意味合いがある。SFのテーマになるのは、genderの方である。その背後にsexがあるのは、当然だが。この作品では、両性具有の人類による社会と文化が、描写されている。それが何時の時代であるか、我々正常人類との関係や、正常人の反応は如何なるものか、最後のどんでん返しがみごとである。それまでは、新人類の社会や文化が良く描かれている、と思いはするが、特別印象深いとも思わず、読んできた。が、最後の衝撃がすごい。傑作である。

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紙の本

歪んだ絶景

2008/07/15 18:01

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:kokusuda - この投稿者のレビュー一覧を見る

1985年に亡くなりましたが独特の作風で知られる
スタージョン氏の数少ない長編の一冊です。
波瀾に富んだ人生を送り辛口の発言でも知られる彼ですが
歪んだガラスの向こうに美しい風景が垣間見えるような作品を
発表していました。
本作は東西冷戦、人種差別、女性の人権など60年代の
様々な問題を背景に異世界を描いた問題作です。
 
彼は曲面で構成された小部屋で目覚めた。
彼は必死に思い出す。
チャーリー・ジョンズという自分の名前。
自宅、少年時代、愛する女性、、、。
「ここはどこなんだ?なぜ、ここにいる?」
それだけが思い出せない。
そして、彼の前に現れたのは奇妙な服を着た男女とも
しれない人間に良く似た見知らぬ生物だった。
 
チャーリーは、その生物に案内され異世界「レダム」を
見て回ることになった。
常に銀色の空に包まれた人工的にも見える風景。
人知を超えたテクノロジー。男女とも知れないレダム人。
陶酔の宗教と調和を基調にした不思議な文化、、、。
やがて、彼はレダム人の文化に共感を覚えていく。
そして、チャーリーの前に異世界レダムの最後のそして
最大の秘密が明らかになっていく。
その結末とは、、、。
 
後年のウーマン・リブ(女性解放運動)やキューバ問題、
ベトナム戦争、民族や宗教、教育や貧富の格差など
様々な問題を先取りしたような作品です。
小説には珍しく巻末に参考文献リストが記されています。
SFでありながら現実の問題に密接に関連しています。
ちなみに同様な主題の作品を発表しているル=グイン女史の
父親と同門の文化人類学者の著書も参考文献にあります。
「闇の左手」などと本書を読み比べるのも面白いかもしれませんね。
 
発表から翻訳まで年月が開いていますが、当時の日本では
理解されにくいと判断されたのかもしれません。
個人的には文化人類学的な興味で読み始めましたが、
様々な問題に関心を持ったり異世界の美しさを感じたり、
様々な楽しみ方が可能な作品でもあります。
ちなみに女性服飾の古典用語なども登場しますので、
論文のように調べて考える楽しみもあります(笑

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2006/05/07 13:44

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2008/04/19 12:27

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2006/01/28 22:05

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2010/04/03 14:36

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2009/11/19 13:48

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2010/06/13 07:36

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2015/03/29 21:29

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2014/11/23 20:01

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