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商品説明
漆椀で食べるご飯のおいしいことと言ったら…。急須、白磁のコーヒーカップ、茶碗籠、花の里で漉く桜紙など、毎日使いたくなる心地いい日本の道具51点を紹介。【「TRC MARC」の商品解説】
おいしくてつい食べ過ぎてしまう漆の飯椀、焼酎がとろりと旨くなるデキャンタ、黒髪に映えるガラスのかんざし、使うほどにツヤが出るあけびの籠—。日本各地の手仕事を取材し、「もの」と人との出会い、作り手と使い手との心温まる交流や今の暮らしに合う使い方などを写真とともに綴る。【商品解説】
目次
- 1章 「なに飲む?」—ほっとするお茶の時間
- ○急須○湯のみ茶碗○茶托○漆のコーヒーカップ○白磁のコーヒーカップ
- ○ガラスのコップ○漆のぐいのみ
- 2章 「この椀で食べるとおいしくって、肥えるよ」—私の台所
- ○竹の茶碗かご○マタタビの米とぎざる○鉄瓶○銅やかん
- ○秋田のおひつ○あおもりひばのままへら/まな板○白い琺瑯容器
- 3章 心地よい食卓—なじんだ道具と
- ○テーブルマット○漆の飯椀・汁椀○愉快な土鍋○白い陶磁器
著者紹介
高森 寛子
- 略歴
- 〈高森寛子〉婦人雑誌の編集者を経て、エッセイストに。20年来、伝統的な生活工芸品の作り手と使い手をつなぐ作業にたずさわる。イベントや展示会もプロデュースしている。著書に「漆器の再発見」など。
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紙の本
急須の蓋の位置に決まりがあるとは、知りませんでした。
2009/03/22 13:53
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:浦辺 登 - この投稿者のレビュー一覧を見る
社会人一年生となって最初の飲み会で感心されたのは、上司、先輩に対しての酒の注ぎ方だった。学生時代、ある武道の道場に通っていたが、そこでの打ち上げでビールの注ぎ方を教わり、大学の先生のお宅に招かれて燗酒の注ぎ方、受け方を教わった。
しかしながら、その酒席における作法ともいうべき所作の意味までは教わらなかったが、やはり社会人になった時に名刺の出し方、受け方に「心をこめる」という意味を加えて教えていただいたことで、酒杯のやり取りにも意味があることに気付かされた。
そんな遠い昔のことを思い出させてくれたのが、本書の一番最初に登場する「急須」のページでした。沸騰したお湯のあら熱をとって急須に注ぐという茶の淹れ方の手順を知っていても、まさか急須の蓋の位置にも決まり事があるとは、知りませんでした。
世界の長い長い歴史のなかで、ちょうど平成20年は西洋と東洋の転換年にあたる、世界を主導する文明の役割が入れ換わる年といた。驚くことに、昨年はアメリカで起きた金融不況が世界に波及し、世界をリードしてきた西洋に対する不信の目が注がれることとなり、これがまさに転換年なのかと一人合点している。
そんななか、再び、日本という国、日本人が守ってきた文化を見直す兆しが出てきている。安い、早い、便利、合理的と西洋、とりわけアメリカ文化を無条件に受け入れてきたものの、それが長い目で見れば地球環境を汚染するもととなり、人々を苦しめる要因にもなってきた。国益という大義のもと、世界との協調を忘れた結果が、100年に一度といわれる金融不況を招いた。
この一冊には、決して、安くもなく、早くもなく、使い捨てという便利もない。しかしながら、長期間にわたっての合理性を道具という形に変えたものが詰まっている。さらには、地球環境を著しく狂わせるものでもなく、なによりも職人という作り手の人間味があふれていることだろうか。これは、金銭という尺度では推し量れない、使い手にしか理解できない価値である。
この本には登場していないが、我が家では木製のバターナイフを使っている。職人さんが一本、一本を削ったものだが、軽くて、柔らかく手になじみ、バターが塗りやすい。どこか遊び心を漂わせながら、「心をこめた」職人たちの手仕事というのは日本人が長い年数をかけて引き継いできた合理性なのだと道具から教わっています。