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戦争で読む「ローマ帝国史」 建国から滅亡に至る63の戦い (PHP文庫)
戦争で読む「ローマ帝国史」
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紙の本
古代ローマが経験した戦争を、ピックアップ形式で詳細に解説
2008/02/12 05:17
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:いえぽん - この投稿者のレビュー一覧を見る
古代ローマは、無数の戦争によって空前の世界帝国を作り上げ、また、「蛮族」たちと闘うことによって領土を保ってきました。あの大変な年月を誇るローマの繁栄は、常に戦争と隣り合わせだったと言ってもいいかも知れません。現代でも語り草になっている大将軍ハンニバルとの死闘や、剣闘士スパルタクスの反乱などは、その中でも代表的な事例と言えます。
本書は、古代ローマ史の「戦争」に焦点を当て、各事例を年代順に、ピックアップ形式でまとめ上げたものです。必然的に、文化や外交などの記述は少なく、故に、「戦争の根本」にあるものがやや分かり辛いという弱点はあるものの、その分、戦争そのものの推移については極めて詳細で、極めて緻密な構成になっています。傭兵経験があり、作家、戦史研究家として活躍している柘植氏の手腕がいかんなく発揮された一冊と言えるかも知れません。
「ローマは最強であったが不敗ではなく、苦闘も珍しくなかった」という事実が、本書から見えてきます。侵略される側から見れば圧倒的に映るローマ軍も、政治的・経済的側面において、弱点を抱えていることも少なくなく、前線に指揮官が立つという当時の戦争のスタイルでは、いくら必死に努力し、総司令官の座を射止めたとしても、たった一つの敗戦で、名誉はおろか命までも失う結果になりかねなかったのです。小説ではなくノンフィクションであるため、演出的な描写はありませんが、淡々とした記述から、「世界帝国ローマ」を維持することの苦しさが伝わってきます。
平易な文章で綴られてはいますが、戦争をピックアップするというスタイルのため、間に挟まれる歴史についての描写が少ないため、通史的な本を読み説いておくか、傍らに置いておくなどの配慮がないと、全体像を掴むのが、多少難しいかも知れません。ただ、知識と同時にローマがいかに戦ってきたか、そして、それがいかに辛く苦しい道のりだったかを、知ることができる好著なのは確かだと思います。「強く巨大なローマ」を多角的に見る助けになる好著だと言えるでしょう。