紙の本
魔の山 上
2022/01/21 20:19
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投稿者:雄ヤギ - この投稿者のレビュー一覧を見る
平凡な小市民ハンス・カストルプ青年が従兄への見舞いがてらスイスの高山に療養に行き、療養所で体調を崩して他の患者たちと交流する。山の上の文化は「低地」とは異なり、他の患者や医師たちと議論を交わし、思索を深める事で時間や愛、生体としての人間などについて認識を新たにしていく。
教養小説ということで主人公は成長しているのだろうし、いつだったかこの小説を「世俗としての低地を下に見て芸術的・哲学的高みへとのぼっていく小説」という評価を見たことがあった気がするが、なんとなく療養所もハンス・カストルプの思索もうさんくさく感じる。これは私が世俗にまみれたからなのだろうか。
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私はこの療養所に入院するのは嫌だな
2019/01/26 21:59
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投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
この療養所での主人公・カストロプの生活を描いたこの作品のタイトルが、なぜ「魔の山」なのか。読んでみてわかった。出ようとしても出られない、出ようと思うと主人公のいとこヨーアヒムのように送還されてきて死を待つしかない体になるか、主人このように出兵するしかない。もちろん、無事に退院できた人もいることにはいるのだが、ほとんどの人には死神しか退院を待っている人がいない。会えばいつも論戦するセテムプリーニとナフタ、人間ができているペーペルコルンもこの療養所で体を悪化させている。WW1前の話だから死ぬと決まっているものは必ず死ぬものかもしれないが、何かこの山の療養所は不気味だ
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読みとおすことで見えてくるもの
2015/09/26 10:09
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:naritaya - この投稿者のレビュー一覧を見る
作者が最初に断っているように、「単純」で、さほど魅力的でもない青年、ハンス カストルプの平凡な人生が、延々と描かれる。決して何も起こらないわけではない。彼は、さまざまな興味深い人と出会い、さまざまな出来事にも遭遇する。それらに彼なりに真剣に向き合っていく。中には心打たれるエピソードもあるのだが、なぜか、彼がその経験から学び、成長していったとは感じられない。どこか中途半端で場当たり的であり、どこまでも「単純」かつ凡庸なままなのである。彼の進歩のなさのせいか、一つのエピソードが終わる度ごとに、私はこの本を投げ出しそうになった。しかし、一度読み始めた方には、少々つらくても是非最後まで読み通すようお勧めしたい。読み終わってこの本を閉じた時、なぜ、この青年の取るに足らない人生に長々とつきあわされたのか?その意味が理解できるにちがいない。
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形容に形容を重ねる描写はヨーロッパ的。論理的過ぎる描写には情緒に欠けるという批評もあるが、このガチャガチャ感に独特の情緒を感じる。
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中学の時、友人から誕生日プレゼントに頂きました。一言で語りつくすことが出来ません…。マンの作品は人物表現も秀逸だが、『ベニスに死す』にしろ情景描写とそこへの投影が素晴らしい。セテムブリーニやらに流されつつ一読しましたが、一冊の本として大きな模様が完成されていて一つ一つの文がこれほどまで完璧に精微に編込まれている作品はこれ以上には存在しないと思います。ただ読んでいると少し息が詰まります。マンなどのドイツ文学を読んでいるとフランス文学のエロティックな抜け落ち感が恋しくなりますよね…。
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上下巻。
ハンス・カストルプとは、真夏のマンションの屋上で邂逅した。うだる熱気に晒されながら魔の山を彷徨したものだった。
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ドイツ文学の三大名作の一つ。他の二つ、『ファウスト』、『ツァラトストラ』はもう読んでいたので、最後の砦です。文庫本でもかなりの重さですww
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思ってたよりガチガチの内容じゃなかったです。上巻は気軽に読めます。でも下巻はちょっとハードだったかな。脳みそが沸騰して何度か挫折しそうになりましたが、不思議と時々読み返したくなります(初めて読んだのは高校生の時。そして一度処分して、やっぱり読みたくなって買い直した)。スケールの大きい討論が繰り返されているのと、「死」が色濃く出ているので、小さなことで悩んでいる時に読むと効きます。でも、あのラストには納得がいかない…。あまりにもあっけなくて…いや、でも、あっけないから「こそ」ってことなのかな。
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古典は難しい。というのはその時代背景が分かっていないとキャラクターの性格や行動に共感しにくいことがあるからだ。主人公のハンス・カストルプはハンブルグ出身の無垢で「単純な」青年であり、その性向は当時の比較的裕福な階層の若者としては平凡なものなのだろう。物語は彼が「魔の山」と呼ばれるスイス高原ダヴォスのサナトリウムで療養中のいとこを尋ねると頃から始まる。そこで出会う患者たちとの関係を深めていくうちに、彼も(おそらく肺病に)罹患し、生活を共にすることになる。理性と道徳という視点から人間のあるべき姿を説くセテムプリーニとの対話ややせ細ったロシア人のショーシャ婦人への仄かな思いなどが延々と語られるのだが、やはり素直に共感は生まれなかった。下巻ではどのような展開になるのだろう。
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10年以上前に読んだのですが、難しいことはわからなくても雰囲気が大好きで、何度も読み返した記憶があります。おそらく私にとって読みやすい文体だったのと、当時自分が療養生活を経験していたので共感する部分も多く、退屈しないで読めたのだと思います。サナトリウムでの療養生活の細かな描写や、そこに集う人々の人物描写が面白いと同時に興味深かったです。今読み返すと全く違った感想を持つかもしれません。ちょっと気力が持たなそうですが…
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時間とは何であるか?
生命とは?有機体とは?
人類、人種とは?病、死とは?
愛とは???
人文の総体みたいな本だな。面白い。そして長大!下巻が待ってる…
シリアスがコメディで、コメディがシリアスっていうね、表裏一体。悲劇も遠くから見ると喜劇ってやつですか。
話の舞台が舞台なだけに、ブラックユーモアもちらほら。痛快ですらある。
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上巻だけで700ページ。なかなか読み応えある。
小説の形をしていながら、思想を語る哲学書。
死が日常にあるサナトリウムで、生と死と恋愛と嫉妬の感情が描かれる。はしゃいだり、調子に乗ったりするシーンは若い恋を思い出させられてなんとも恥ずかしい。
学校のようでもあり、ムーミン谷のようでもある。
われわれ人文主義者は、みな誰も教育者的素質を持っているのです。
しかし人生が美しいのは、女が魅惑的な装いをするという当然のことによってなのだ。
そうですね、生とは死ですよ。
もしこういう言葉が許されるものなら、あなたは人生の厄介息子だーあなたは眼が離せない。
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第一次世界大戦が勃発する数年前、スイスのダボスという町のサナトリウムにいとこを見舞うために訪れた青年、ハンス・カストルプ。ところが彼も肺を病んでいることがわかり、いとこといっしょにこのアルプス山中の療養所「ベルク・ホーフ」で過ごすこととなります。第一次世界大戦が始まるまでの7年の間、療養所で出会うさまざまな人間、事件、思想に影響を受けながら、ハンスは自己を形成していきます。哲学的でありながらユーモアもある、教養小説の傑作です。
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大学に入ったばかりの自分の写し絵を見ているようでしんどい、とだけ。
知性に囚われて肥大化した自己? 他者の不在? みたいに読んでしまう。
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ずっと前に購入しながら、数回はチャレンジしましたが途中で挫折しっぱなしでツンドク状態でした。それがふと急に今度こそ読破しようという気になり、ブクログ登録第一号となりました。未だスタートしたばかりです。応援してください。