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紙の本
帰ってきたもてない男 女性嫌悪を超えて (ちくま新書)
著者 小谷野 敦 (著)
「もてない男」が、もっともてなくなって再登場! とくに今度は「男のセカンドヴァージン」「30代美人どもの高飛車ぶり」などの観点から、恋愛、結婚、負け犬、出会い系サイト、女...
帰ってきたもてない男 女性嫌悪を超えて (ちくま新書)
帰ってきたもてない男 ──女性嫌悪を超えて
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商品説明
「もてない男」が、もっともてなくなって再登場! とくに今度は「男のセカンドヴァージン」「30代美人どもの高飛車ぶり」などの観点から、恋愛、結婚、負け犬、出会い系サイト、女性嫌悪等々の男女関連諸問題を斬ってゆく。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
小谷野 敦
- 略歴
- 〈小谷野敦〉1962年茨城県生まれ。東京大学大学院比較文学比較文化専攻博士課程修了。学術博士(超域文化科学)。国際日本文化研究センター客員助教授。「聖母のいない国」でサントリー学芸賞受賞。
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紙の本
前作ほどの迫力はないが、読者サービスは用意されている
2005/07/07 19:01
14人中、14人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:越知 - この投稿者のレビュー一覧を見る
99年初頭に発売され、新書としては異例の10万部を記録した『もてない男』の続編である。最初のあたりを読むと、ヒットしたために続編をという依頼がすぐにあったのだけれど、柳の下のドジョウを狙うのが嫌で書かないでいたのだという。しかし、その後小谷野氏は結婚して「裏切り者」呼ばわりされ、それから離婚したりして、様々な経験を積んできた。また、著書が多いのに賞に縁のないことに恨みを抱いて悶々としていたのが、『聖母のいない国』でサントリー学芸賞を受賞したこともあり、心に余裕が出てきたらしい。
/閑話休題。まずタイトルを見ると、「お前はウルトラマンかっ!」と茶々を入れたくなる。ところが、さすがは小谷野氏、タイトルは伊達ではない。「帰ってきたウルトラマン」への言及がちゃんとなされている。おまけに、ウルトラマンと帰ってきたウルトラマンの写真まで入っているのである。
/このような遊び心が随所に見られ、前著でもユーモアはそれなりにあったとはいえ(例えば「俺は東大卒なのになんでもてないんだっ」などという一節)、どこかせっぱ詰まって余裕がない印象がつきまとっていたのに比べると、本書ではかなり達観した様子がうかがわれる。
/しかし、それが災いしてか、また映画がヒットして続編が作られると第一作に劣ったものにならざるを得ないというような事情のためか、『もてない男』ほどの鋭さや、強烈に迫ってくるやるせなさと不条理感のようなものがない。多くの人間が漠然と感じていながら、はっきりと定式化・言語化できなかった事柄にあえて手をつけ、「ここまで書くのか」という驚きの声を読者にあげさせた前作の迫力が感じられないのである。
/とはいえ、小谷野氏のことだけあって、それなりの読者サービスは用意している。第一に、出会い系のサイトにアクセスした体験譚である。無料でお金持ちの美女にすぐ会えるような宣伝をしているサイトが多数あるが、言うまでもなく詐欺に近いものであり、実際は会うように見せかけてじらし、アクセス料を稼ぐような仕組みになっているという。
/第二は、結婚相談所へ行ってみた体験譚である。この箇所は抱腹絶倒ものだから是非本書を買って(著者に印税が入るように、ということです)読んで欲しいが、相談所勤務の女性が小谷野氏の名を知らなかったというのには、唸らされる。『もてない男』10万部のヒットも、所詮は少数の知識人世界(?)のなかの出来事に過ぎなかったのだな、としみじみ思ったことであった。
紙の本
「もてない男」シリーズ,待望の第二弾?
2011/01/25 11:20
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:SnakeHole - この投稿者のレビュー一覧を見る
数年前に前作「もてない男」(これシリーズなのか?)を読んだ時には知らなかったのだが,著者の小谷野クン,あの本を出してすぐ結婚し周囲に裏切り者呼ばわりされながらそれなりにシアワセだったらしいのだが3年後に離婚。しかもその結婚生活と離婚の顛末については相手側から「書くな,書いたら訴える」と言われているので書けない,と。とにかくそんなわけでいろいろありましたが「もてない男」のコヤノ,はずかしながら帰って参りました……これぢゃ横井さんか,という本である。いや,本人はそうではないと書いてますが。
内容はまぁ例によって八面六臂というか縦横無尽というか満身創痍というか神経過敏というか,つまりは自分の書いた「もてない男」という本に対する異論反論オブジェクションに対し,いかにも小谷野クン的なコマゴマネチネチと再反論を書き連ねるというもんなんだが,なかでも「コミュニケーション・スキルをみがけ」という上野千鶴子の批判に対する反撃,それから「もてないのは身の程知らず(そういう言葉はつかってないが)だから」という石井政之のからの批判に対する反論はどちらもなかなかの正論だし読ませる,ちと悲しい風が吹くけど……。
あと読み物は出会い系サイトに手を出すくだりかな。プロフィールに出身大学名を書くところがないと言って怒るあたりがこのヒトの真骨頂で笑える。いろいろコ難しい理屈を振り回してみせるものの「ボクは東大の大学院まで出ているのになぜもてない?」というのがこのヒトの基本的な怨念,ぢゃなかった問題意識なんだよね。
いや東大と言えばこの本,実は目黒・権之助坂途中にある古本屋で見つけて買ったのだが(BK1のレビューに書くことぢゃないか),読んでたら2005年8月9日付け「東大生協本郷書籍部」のレシートが挟まってたんだよね。この書名「帰ってきたウルトラマン」を意識してつけたらしいんだが,そのうち「もてない男A(エース)」とか「もてない男タロウ」とか「もてない男レオ」とかわんさか出て来る予感が(笑)……。
紙の本
根本は、普遍的な悩みなのか
2005/07/24 19:23
7人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:にんぎょ - この投稿者のレビュー一覧を見る
「もてない男」の小谷野敦が結婚離婚経験を経てあらわした「帰ってきたもてない男」
タイトルからしてお遊びが入ってますが、ちょっと奇妙な感触の本でした。私は、「もてない男」は著者が非モテ系の自分をサカナに、恋愛と孤独についての本を紹介しているブックガイドみたいな読み方をしていました。この本は、さすがにこの著者らしく引用は多いけどブックガイドには使えません。
恋愛の才能の有無とか、セックスが遠い苦しみとか、負け犬女性の高飛車などいろいろ言ってはいるんだけど、なんか論が滑っていく感があります。あくまで私に迫ってこない、という意味なのではきちんと読み解いている方はいらっしゃると思います。
ただ、著者の言う「もてない」というのは、
・自分の好きな女性に好いてもらえない
・自分が恋愛感情を存分に捧げて悔いない人に出会えない
ということであって、不特定多数に騒がれたいことではないというのですから、もうこれは未来永劫存在する人間の悩みではないですか。
そもそも、人間関係って不条理なものだというのが、私の認識の出発点ですので、東大大学院修了、ブリティッシュコロンビア大留学経験あり、サントリー学芸賞受賞暦ありのカタログデータ的にとても優良な男性の小谷野氏が、「なぜ俺がもてないんだ!」と叫んだところで(もちろんこれは著者のギャグでしょうが)そうなんだから仕方がないんですね、としか思えない。恋愛できる能力の優劣、というか人付き合いが得意でも苦手でも、本気の恋愛だったら苦しみはさして違わないのではないでしょうか。だって問題は「その一人」に好かれるかどうかなのですから。愛別離苦、怨憎会苦の理不尽は永遠です。
男女を問わず、もてないことを認識してしまったら、それぞれ自分を道化にしたり、異性嫌悪になったり、とりあえずお金で解決方向へ走ったり、あくまで赤い糸の人を待ち続けたり、人はいろいろな行動を選択します。そういう事を描いた小説なら、古今東西、それこそ山のようにありますよね!その先に幸せがあるかどうかは運しだいですが。
私が真には沁みない議論だと感じるのも、男と女の、また個人的な性と性行為に対する欲求度の違いに起因するのかもしれないな、と思います。でも、もてないのはやっぱり自分で対処というかジタバタすることで、そこで求めるものも人それぞれです。
だから「もてない男」への批判・批評、「もてなければああして、こうしろ」的な反応にも違和感がありますが、著者の文章の書きぶりも、前作よりかなり挑発的に感じます。
いや、今度も掘り出し物の本を紹介してもらえるかと思ったので、ちょっと僻目な感想になったかも。