紙の本
深海掘削と地球科学の歴史
2011/11/14 23:03
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:king - この投稿者のレビュー一覧を見る
海洋研究開発機構関係者を中心とした共著による地球科学入門、と同時に地球深部探査船「ちきゅう」の意義を広報する一冊。
本書では深海掘削計画を軸にして、これまでの世界の深海掘削計画の歴史と、プレートテクトニクス等の地球科学の発見の歴史をたどった本になっている。「ちきゅう」の運用開始を目前にして、なぜこれが必要なのか、ということを説明するために、これまでの掘削と地学の歴史を振り返ることで「ちきゅう」の重要性がわかるようになっている、という本。
なので、気候変動、白亜紀の絶滅等にも触れられているけれども、地球科学といっても、プレートテクトニクスや地震関係等、深海掘削と関係のある部分を中心にまとめられたものになっている。
さまざまな研究について触れられているのだけれど、ひとつびっくりしたのは、全国的なGPS観測網の展開により、日本全体の地殻変動が探知されるようになったんだけれど、その地殻の上下運動に季節変動があり、たとえば冬の東北は10mm沈降し、これは雪の重さのせいではないかと考えられているというところだ。あんだけ積もったら、そりゃあ、沈むか。と驚いたけど納得感がすごい。
それと、モホロビチッチ不連続面、とかミランコビッチサイクルとか、ユーゴスラヴィアの科学者の名前が付いた用語が複数あったのがなかなか感慨深い。
ちょっと古くなってしまったけれども、用語解説やジャンルごとの丁寧な参考文献の案内等が充実しているのは非常によい。
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伊豆−小笠原−マリアナ島弧、これらの島々はプレートの沈み込みによって作られた火山列島。(ホットスポット)
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とりあえず読んでみたけど,今の俺が興味あることはあまり無かった感じ.
レバレッジ・リーディングの読み方で読んでみた.
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これは非常に良書。
適度なボリュームといい、内容の簡潔さ。
わかりやすさ。昨今の温暖化現象の別の見方も
みえてきます。
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地球の海底掘削の科学史みたいな本。宇宙に並び地球内部の探査が困難かつ謎が多いことを教えてくれる本。
日本はこの分野でまさにリードしているのだが、あまりにそのことが知られていない。専門に近いこともあり、頑張らないと、って思わせてくれる。全体的にどろどろした話がカットされているのが個人的には残念だったが、地球の歴史を知るという意味でも是非一読することをお薦めしたい。
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海底掘削の歴史と「ちきゅう」が出来るまでの話がコンパクトにまとまっていて、これまでのことを軽くおさらいするのに非常に参考になりました。今ではもうこの本が出てから3年以上経ちますが、現状を追いかける前段階としては非常によい本だと思います。
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なぜ巨大地震は起こるのか?地球だけにみられる花崗岩質地殻はどのようにしてできたのか?地下微生物は地球環境でどのような役割を果たしているのか?地球の生命はどのように誕生したのか?次世代の重要な資源といわれるメタンハイドレートと、地球温暖化の関わりは?われわれの住むアジアの風土はどのようにつくられ、人々はどこからやってきたのか?大陸移動説、海洋底拡大説、プレートテクトニクス、地球システム科学、マントルトモグラフィー、プルームテクトニクス、全地球史解読などをふまえ、地球科学の最先端の見取り図を示す。地球科学入門書としても最適。
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[ 内容 ]
なぜ巨大地震は起こるのか?
地球だけにみられる花崗岩質地殻はどのようにしてできたのか?
地下微生物は地球環境でどのような役割を果たしているのか?
地球の生命はどのように誕生したのか?
次世代の重要な資源といわれるメタンハイドレートと、地球温暖化の関わりは?
われわれの住むアジアの風土はどのようにつくられ、人々はどこからやってきたのか?
大陸移動説、海洋底拡大説、プレートテクトニクス、地球システム科学、マントルトモグラフィー、プルームテクトニクス、全地球史解読などをふまえ、地球科学の最先端の見取り図を示す。
地球科学入門書としても最適。
[ 目次 ]
第1章 プレートテクトニクスの創造?深海掘削計画の働き
第2章 日本列島とプレートの沈み込み
第3章 激変した地球環境
第4章 新しい地球観の構築
第5章 「ちきゅう」の建造と運用
第6章 未踏の地球深部へ
第7章 地球の発見
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
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☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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2011/7月
大地は常に大きく動いてる。静かな大地でなくエネルギーの塊のマントルから脈動するもの。地場がひっくり返ったり、何千メートルも突き上がったり、水が全部凍ったり、今までそんなことを繰り返してきてるんだ。地震、火山、津波、長い歴史で見れば起きて当然なのかも。むしろ起こらずに暮らせている瞬間が絶妙なバランスな奇跡な瞬間なのだ。
研究内容は日々変わっていくと思うが、本として分かりやすく良書だと思う。
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最先端の学者が問いかける問題である以上、読み終えた後も地球の内部で何が起こっているのかはやっぱり分からない。
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―――巨大地震、生命誕生、気候変動。地球科学の歩みと現在がすっきりわかる入門書。
地球を卵に例えたとき、殻にあたるプレートが年間数cmの速さで動き、様々な現象を起こすプレートテクトニクス。
それを更に進めたプルームテクトニクスや、地下3000m以下に生息する微生物、海底をマントルまで掘り抜き地球の歴史を解明する壮大な計画まで
ものすごく楽しめました
人類は、宇宙と同じぐらい地球内部の事を知らないのです。色んな人に読んでもらいたいです
誰も知らないと思いますが俺は、宇宙の果てや地球の内部にロマンを感じる男なので笑”
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テレビやネットの画面に映し出される緊急地震速報。2011年3月11日に起こった東日本大震災以降、日本中が改めて地震の脅威に震撼し、恐怖を抱いている。本書は、なぜ巨大地震が起こるかを地震のみならず、地球の構造や地球生命科学という新たな学問の存在、そしてまだまだ未開の地球深部の探求について述べている。私自身、文系の出であるため、出てくる言葉や表現に難しさや理解度を超える箇所が所々あったが、全体として構成や話題の流れがよく、入門書としては良かったと思う。
テーマとして、「巨大地震」「花崗岩地質地殻」「地下微生物」「地球の生命」「メタンハイドレード」「地球温暖化」「気候と人類」「大陸移動説」「海洋地底拡大説」「プレートテクトニクス」「ちきゅう」など、地球科学の最先端を説明している。
中でも、地球深部探査船「ちきゅう」の話が面白かった。深海部の下で起こっている現象を観測し、そして分析することで、地球システム科学を押し進めることができる。地球の深部を海底から掘り下げていくことで、地球の歴史を詳細に紐解くことができ、災害対策や環境の問題、資源対策、生命種の起源など様々な分野に活かされていくことができるという。そして、その中心的なプロジェクトを主導しているのは日本である。海洋国家である日本は、海への恩恵や恐怖を先祖代々体感してきた民族であり、科学技術立国を明言する国として申し分ない。毛利さんの言葉を借りれば、宇宙がアメリカなら、深海は日本、「スペースシャトル」に対して、「ちきゅう」なのである。
未来予測として、「ちきゅう」により、①巨大地震メカニズムの解明 ②メタンハイドレート生成メカニズムの解明 ③地下微生物の実態とその利用 ④海洋地殻とマントルの掘削 ⑤気候予測モデルの精緻化とその検証 ⑥地球システム変動に関する基本理解 ⑦地下利用に関する様々な方法の確立ができると予測されている。しかし、それは現在進行中であり、10年20年かかるプロジェクトである。資源の乏しい日本が、科学技術立国として世界に認められるには日本主導で行うべきプロジェクトであるし、今後の研究者の育成にも力を入れていくべきであろう。ともすると、某議員の「2番じゃダメなのですか?」と言った発言は間違いであり、その部分だけを暗に促すマスコミの報道もおかしいと言える。
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◆「ちきゅう」完成により深海底掘削調査が新たなステージに入る中、現代までの地質学的知見の形成、変貌する地球史・地球環境史と共に、その基礎となる全地球システム観の概要を解説◆
2005年刊行。
著者平朝彦は、独立行政法人海洋研究開発機構地球深部探査長(地質学)。
同徐垣は、同機構地球内部変動研究センタープログラム・ディレクター(地質学)。
同末廣潔は、同機構理事(地球物理学)。
同木下肇は、同機構理事(地球物理学)。
地球深部掘削探査船「ちきゅう」の稼働に伴い、深海底掘削調査は新たな段階を迎えた。アポロ計画に匹敵するものと目される「マントルへの到達」も夢ではなくなってきている中、深海底掘削調査に先立つ地質学的知見の歴史的積み上げ、その経過で判明したこと、一変した地球史、あるいは地球環境史の理解。
さらには、表層のみならず、地球の内部と連関した全地球システム観の成立と、全地球システムの時期的変動、そのメカニズムへの言及という地球という単位で地質学的に、また地球史的に巨視的な研究成果を開陳する。
プレートテクトニクスの理解がかかる研究の嚆矢とはいえ、それが非常に限定的な狭い領域であり、研究分野としては遥かに豊かな内実を備えていることが、本書から伝わってくる。
もとより、一見すると地味な分野とも。しかし、
➀ 例えば、深海底掘削による地震のメカニズム解明は、プレート要因である東日本大震災的な地震に有益である。のみならず、阪神淡路大震災や奥尻島沖地震、新潟中越あるいは同中越沖地震のメカニズムとも関わる。
また、
➁ 未来のエネルギー源とも、悪魔の温室効果ガス源とも目されるメタンハイドレードへの理解、
➂ 地下微生物の理解と利用法の進展。生命誕生の実像の解明。
➃ プレートテクトニクスなど、地球システムの理解亢進と全地球史・地球環境史の解明とともに、気象メカニズムの解明と予測の精度化に寄与する。
という意味で軽視すべき研究テーマではない。
個人的には丸山茂徳氏ら著「生命と地球の歴史」読破、放送大学の丸山氏の講義も無料視聴済み。あるいは、本書の著者の一人平氏著「日本列島の誕生」も既読であり、重なり合う部分も多い。
とはいえ、
⑴ 地下流体の機能。
⑵ 地殻上下動の季節変化に、例えば積雪が絡んでいるとの知見。
⑶ あのバイオスフィアⅡ計画の頓挫の原因はCO₂の増大ではなく、それは周囲の壁面コンクリートがCO₂を吸収したことにある。
⑷ 島弧が大陸形成の種であるとする説が有力だが、日本列島はまさにその島弧形成の最前線である点。
⑸ インド亜大陸の衝突が齎したヒマラヤ造山と共に、当該地域の熱吸収を高め、結果、上昇気流を招来。それが周囲の環境に影響。
すなわち、インド亜大陸のモンスーン、雨季形成や、雲南に発する水源の形成(長江やインダス川他)のみならず、東アフリカの西風(海向きの乾燥した大気の流れ)を生み、ヒマラヤ地域の上昇気流を生み出すに至った時期に鑑みると、500万年前の人類創成に関��している可能性も示唆される。
など何とも興味深い内容である。
他方、気になるのはもかかる研究機関が独法化している点。高額な研究費用は、「ちきゅう」建造、アポロ計画に匹敵する計画との言だけでも容易に推知できる。
現代日本の、人にも研究にも金を掛けない様が想起でき、何とも…。
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少々内容がハイレベルだけど
中学程度の地学系でもなんとか読めます。
まあ私は生物系だけど高校の科目に
こいつが文系になければこっち取ってたぐらいだから!!
超大陸の説は当初は相手にされなかったけど
ある説が出てきたことによりスポットが当たり
やがてその説の証明のために本格的な
掘削技術ができ、船までも作られたわけで。
面白かったのはその当時の技術で
なぜ途中であきらめなければいけなかったかの理由
なかなかカオスな状態ですし
その孔は船を壊したということで
不名誉な称号までついています(笑)
この本はちきゅうが稼働する前の本なので
今はいろいろ変わっているんだろうな。
ちょっとその後も知りたいかも…