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商品説明
空っぽの獏が食べる空爆の夢はあまりにも空漠としているけど、そこに広がる空は泣きたいほどきれいで…。10の掌篇と9つの短篇が織りなす、不条理で優しい戦争。北野版「スローターハウス5」。書き下ろし。【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧
世界のはじまりの話 | 7-14 | |
---|---|---|
商店街で待ち伏せ | 15-44 | |
大きな船の話 | 45-48 |
著者紹介
北野 勇作
- 略歴
- 〈北野勇作〉1962年兵庫県生まれ。92年「昔、火星のあった場所」で日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞してデビュー。「かめくん」で第22回日本SF大賞を受賞。
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紙の本
このスイカの話は、コワイゾー、ぼうや、夜中にオシッコ行けなくなっちゃうからね、いたずらやめようね、はい
2005/11/05 12:45
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
Cover Direction & Design 岩郷重力+Y.S、Cover Illustration 佐久間真人
掌編と短篇が交互に並ぶ構成で、話はとっても紹介しにくいものなので、カバーの引用でお茶を濁しておいて、私は「もくじ」とひらかなで表記されたものを丹念に書き写しておきます。分りやすく、掌編は「 」、短篇は〈 〉で括っておきます。まず、『空獏』という珍妙なタイトルが生まれた経緯を示すのであろう話が「世界のはじまりの話」。
次が〈商店街で待ち伏せ〉、「大きな船の話」、〈溝の中でリレー〉、「恐い西瓜畑の話」、〈西方浄土〉、「大きなヒトと薄っぺらなヒトの話」、〈お馴染みの天井〉、「砂に埋もれたパズルの話」、〈西瓜割り世界大会スイカップ〉、「穴の中の兵隊たちの話」、〈宇宙の戦士〉、「拾った星の話」、〈月世界公園にて〉、「素適なオマケの話」、〈夢の会社〉、「獏のいる劇場の話」、〈蟻の行進〉、「天井から観ていたヤモリの話」、あとがき、以上です。
カバーの引用ですが
「昔々のこと。世界が古くなったので、えらい人たちは獏を創って、新しい世界を夢見てもらうことにしました。みんなは安心して獏のなかで眠りにつきました。でも、やがて獏は不安に囚われてしまったのです。自分のなかの人たちは実は死んでいるのではないか、と・・・・・・まあ、そんなこんなで私は、戦いつづけているわけだ。商店街で敵を待ち伏せしたり、ヒト型戦闘機械に乗り込んだり、西瓜太郎の指揮で悪の王国に奇襲をかけたり。でも肝心の私とは誰か、まったく思い出せないのだけれどね、あの夕陽のきれいな街の風景以外は 9つの短篇と10の掌編が織りなす、不条理で情けなく、けれどヒトに優しい戦争の話。」
なんだか最後の「ヒトに優しい」は、魅力のない言葉ですが、その前の要約は、上手いですねえ。私もこれ以上は書けません。いや、ここまで読みとることが、恥ずかしいけれど出来ませんでした。無論、なぜ獏が創られたか、は分ります。でも、それ以上になるともう不条理ですね。分らないから楽しくないか、というと北野の場合はそれが当て嵌まりません。だって、文章はとてもわかりやすいんです。
で、今回の話も今までのものと共通する部分はあります。まず、戦闘マシンですね。人が入っちゃうと言うか、同調してるっていうか。だから、っていうか戦争をしているわけです。でも、今回オリジナル、っていうか、これは怖いなっていうのが、西瓜です。けっこう、グロ。でも、全体を通していうと、わかりにくい。それを著者は、あとがきで「またあいかわらずのすっきりしない話」と言っています。
ついでに著者略歴のなかから肯ける部分
「理系的なアイデアを叙情性に満ちた日常描写でつつんだ独特の作風が人気を集めている」
ということなんですが、
で、私が読んだ彼の本は(何だか、三浦しをんの小説のタイトル風ですが)、SF大賞を受賞した『かめくん』を皮切りに『どーなつ』『ザリガニマン』『昔、火星のあった場所』『イカ星人』で、今回をいれて5作。うーむ、まだまだファンへの道は遠いイカ、なんちゃって。
紙の本
夢の中で戦われる、ちょっとおとぼけの戦争
2005/12/26 18:31
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:読み人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
みんなで、よりよい世界を構築するために、色々やったのですが、面倒だと、いうことで、みんなの共有する夢の中に、構築することになりました。
しかし、悪夢を食べてくれる、獏が不安がるようになり、
この世界のシステムが、、、
と、いう世界観で書かれた、連作の短編集です。
この世界観は、兎に角、バーチャルでも、仮想空間でも、夢でも
なんと、呼んでもいいから、なんでもありの小説だけが、持つ空想空間
だと、いうことです。
で、この世界では、少し、のんびりした戦争をしているのですが、
なんで、戦争をしているのかは、小説中の当事者も含めて、
私の理解力不足の所為か、わかりませんでした。
(獏の不安がどうかかわっているのかも)
あとがきで、北野氏も書かれているように、
セコイ日常のみみっちさを戦争を通して、書きたかったみたいです。
連作と書きましたが、短編と更に短い掌編
(そう呼ぶみたい、今回このブログを書いて学習)
が、お互い挟み込むように交互に登場します。
出来の良いのは、圧倒的に、掌編のほう。
”怖い西瓜畑の話”は、本当に怖いですよ、、。
あと、もう一遍あげるなら、”穴のなかの兵隊たちの話”
正に、北野さんが、描きたかった
せこくみみっちく生きる、兵隊たちのお話しです。
どんどん空想が広がっていって、現実なんてものは、危い
ものですよ、、みたいな浮遊感が、北野さんの作風ですが、
今回は、最初から、なんでもありの世界観と冒頭に宣言して
書かれているだけに、ちょっとその辺の扱いが難しかった
みたいで、「かめくん」や「どーなつ」にあった、
感覚は、今一感じられませんでした。
私の変な期待が悪かったのかも、しれませんが。