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商品説明
【アジア・太平洋賞(第18回)】「イスラーム世界」とは何か。「イスラーム世界」史が生まれた歴史的背景と過程を明らかにし、創られた概念が生み出す認識に挑み、「世界史」のあり方を根底から問う。〔「〈イスラーム世界〉とは何か」(講談社学術文庫 2021年刊)に改題,加筆〕【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
羽田 正
- 略歴
- 〈羽田正〉1953年生まれ。京都大学文学部史学科卒業。イラン学第3期博士(パリ第3大学)。京都橘女子大学文学部助教授等を経て、現在、東京大学東洋文化研究所教授。
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著者/著名人のレビュー
「イスラーム世界」が...
ジュンク堂
「イスラーム世界」が地理上にどこにあるかを示すことは難しい。なぜなら東南アジアからヨーロッパ、北アフリカまでイスラーム教徒が住む地域は広大なうえに、誰がいつどのような文脈で使うかによって、指し示す地域は異なるからである。
こうした事態になる理由として、「イスラーム世界」という概念がヨーロッパにおいて近代になってから必要があって創られ、それが現代に受容されていることにある、として本書は歴史的にその成立と受容の流れをたどっている。この概念がさまざまにとらえられるので現代の諸問題を解決する上での困難さにもつながるのである。いま、我々にとって必要とされる世界の認識はどのようなものか、あらためて考えなければならないと知るのである。
[主要目次]序章 「イスラーム世界」という語のあいまいさ/I 前近代ムスリムの世界像と世界史認識/II 近代ヨーロッパと「イスラーム世界」/III 日本における「イスラーム世界」概念の受容と展開/終章 「イスラーム世界」史との訣別
出版ダイジェスト:2006年11月
テーマ『となりのイスラーム ムスリムのありのままを知る』より
書店員レビュー
暗黙の、しかし曖昧な前提に対する問題提起
ジュンク堂書店ロフト名古屋店さん
昨今、メディアなどでIS(いわゆる「イスラム国」)の話題があがると識者やコメンテーターが「イスラーム世界」という括りをもって語ることがままみられる。「」イスラーム世界」という言葉は疑問を呈されることなく受容されている。
ところが「イスラーム世界」という言葉には明確な定義が見当たらず、実は曖昧な表現である。そも
そも「イスラーム世界」というものは存在するのであろうか?存在するのであれば一体どのようなも
のなのか?これこそが本書が投げかけた問題提起である。
本書では古代から中世のアラビア語圏、ペルシア語圏の地理書文献をはじめとして、ヨーロッパの文献史料も駆使しながら「イスラーム世界」という概念が生まれた過程を追う。その誕生は比較的新しく、19世紀以降であることを明らかにし、同時にポジティブ(自由、民主、政治の世俗化など)な「ヨーロ
ッパ世界」の対概念としてネガティブ(抑圧、専制、政教一体など)な「イスラーム世界」という概念が作り上げられた。一方で「ヨーロッパ世界」に対抗するイスラーム主義者もイスラームの結集の大義として「イスラーム世界」像を創り上げていく。どちら側の「イスラーム世界」もイデオロギーのために、実態とは乖離したまま強引に形成されていった。
こうして「創造」された「イスラーム世界」の存在という暗黙の、しかし曖昧な前提は現代まで引き継がれている。無意識・無自覚に受容されてきたこの前提に今一度、自覚的に問いを発し、見直しを図
ることは「イスラーム世界」像の再考に止まらず、これからの世界史像を築き上げるための重要な示唆
を与えてくれるであろう。
本書が発するこの問いの意義は大きい。