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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2005.9
- 出版社: ハーパーコリンズ・ジャパン
- レーベル: ハーレクイン・ヒストリカル
- サイズ:17cm/292p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-596-32229-5
華麗なる一手 (ハーレクイン・ヒストリカル 放蕩貴族の素顔)
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紙の本
ギャンブル大嫌い娘と名うてギャンブラーの伯爵。19世紀初頭のロンドンを舞台としたロマンス。
2006/03/06 20:48
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:三度目の正直 - この投稿者のレビュー一覧を見る
二コラ・コーニックの作品はとにかく巧い。登場人物らの細かい表情や仕草にもこだわって書かれてあり、映画でも観ているように頭の中で映像として浮かんでくる。ミニシリーズ「放蕩貴族の素顔」の一作目である本書は、著者曰く、19世紀初頭の英国摂政期にも宝くじがあったことを知ったことがきっかけで思いついたストーリーなんだとか。
舞台は1814年のイギリス。
主人公は、ギャンブルで身を滅ぼした父親に次いで、兄までもギャンブラーとなり、少女時代から貧乏暮らしを余儀なくされてきた貴族の娘エイミー。まずは、彼女のつましい生活を見てやってください!と声高に言いたい。食事も満足に食べられないその日暮らし。何年も新しい服を買えず古い服を繕って着、食料のりんごさえちょっと虫が食っているような安いものしか買えない。ろうそくは溶けて流れ残ったろうを再び集めて新しいろうそくを作る・・・涙がちょちょぎれそうなほどの節約貧乏生活なのある。
彼女がこんな酷い生活をおくっているのに、兄はあっけらかんとして、残されたわずかな遺産を賭博で食い潰していく始末。もう、このダメ兄ちゃんどうかして〜!と何度こめかみがぴくぴくしたことか。
だけどある日、一枚の宝くじ札を拾ったことで、エイミーの運命の輪は回り始めるのである。しかもそれは高額賞金の当選くじだったから大変。強盗、誘拐、殺人・・・当たりくじを持っていることを人に気づかれることはとても危険な状態だった。抽選会場からどうやって無事に帰ろうかと悩んでいるところへ、兄の友人である伯爵ジョス(放蕩者で名うてのギャンブラー)が声をかけてきて馬車で送ってくれることに。
けれど、この宝くじが原因で、ストーリーはぐんと面白さを増すことになる。そういう展開の持っていき方があったか!と思わず指をパチンと鳴らしたくなったほどだ。さすが二コラ・コーニックだとしか言えない。ちなみに、拾ったくじをそのままくすねようとするようなヒロインではないのでご安心を。
ギャンブル嫌いなエイミーはジョスを軽蔑しながらも、心のどこかで惹かれるものも感じていて、そこらへんの複雑な胸中がよく伝わってくる。二人の会話(言い合い?)も二人とも頭の回転が良いだけに切り返し方などがとても面白い。ストーリーのボリューム満点さと、恥ずかしがりやなのに時には大胆だったりするヒロインの可愛いらしさが際立った一冊だった。
ちなみに、本書では嫌な女全開だったジョスの妹ジュリアナは、ミニシリーズ三作目(ラスト)『不道徳な淑女』のヒロインとして描かれているので、併せて読むのもいいと思う。