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収録作品一覧
襲撃 | 5-160 | |
---|---|---|
諸子ノ行動 | 161-327 | |
占拠と戒厳令 | 329-436 |
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紙の本
吉良邸討ち入りのごとく、塀を乗り越えてみたものの梯子を外された青年将校たち。
2009/03/13 04:01
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:浦辺 登 - この投稿者のレビュー一覧を見る
この一冊には二・二六事件の渦中を下記の三章に分け、松本清張の視点で解説が加えられている。
・襲撃
・「諸子ノ行動」
・占拠と戒厳令
赤穂浪士が吉良邸に討ち入る前から江戸の庶民は討ち入りがあることを事前に知っていたという話を耳にしたことがある。庶民が知っていたということは治安維持のための役人も知っているはずだが、吉良邸の警備や市中見回りが厳重であったという風でもなく、逆に、今か今かと事件を待ち望んでいる様子がうかがえたという。
この巻を読みながら、降りしきる雪という舞台設定も似ていて、二・二六事件という陸軍青年将校の決起でありながら、「ついにやったか」という空気は江戸時代に逆戻りしたかのような感覚だった。
ただ、「やった」という事までは周囲のお膳立ても良かったから計画的に進んだが、その後の政府をどのように改造するかという計画が真崎、荒木の両大将任せでは心もとない。本書の中でも述べられているが、クーデターを決行した主犯が内閣を組閣する意志が無かったことで義軍なのか賊軍なのかの分かれ目になったのでは。とはいいながら、青年将校たちを賊軍と決めつけた天皇の意思が分かった途端、掌を返した真崎、荒木の両名の態度に青年将校たちに対して同情を禁じ得なかった。
このことは、文久三年の公武合体のクーデター、続く元治元年の尊皇攘夷派が京の都に攻め入った蛤御門(禁門)の変の結末にも似ている気がした。
この青年将校の重臣襲撃事件のなかで、歴史は皮肉なことが繰り返されるのだなあと思ったのは渡辺錠太郎教育総監邸のところだった。まだ十歳にも満たない時に目の前で父親が殺される現場にいなければならなかった渡辺和子氏(ノートルダム清心学園理事長)の心の傷はどれほどだったろうか。まるで、法然上人が幼小の頃、目前で父親が殺される場面と同じことが繰り返されている。
それにしても、重臣たちの夫人の胆の据わり方には驚くというか、感心するばかり。武器を持った青年将校相手に帝国軍人としてのプライドは無いのかと文句を言う、虫の息の主人の最期のとどめは私がしますと申し出る、ともに殺してくださいなど、政治家の妻が命を懸けていることに直面して、青年将校たちも言葉を失ったのではないだろうか。
「私利私慾がないというだけであって」行動も精神も許せない「兇暴の将校」と天皇が青年将校を断定したが、それだけの権力が天皇にありながら、なぜにあの世界大戦に突き進んだのか。その解答は、この昭和史発掘シリーズでも取り上げられ続ける「天皇機関説」の限界を超えたところにあったのだろうか。
この二・二六事件は多方面に渡って軍事政権成立のポイントだったのだと考えさせられます。
紙の本
緊迫感
2022/09/12 09:33
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:令和4年・寅年 - この投稿者のレビュー一覧を見る
加害者側・被害者側、双方の証言を元に事件の現場が浮かび上がってくる。軍隊が武装して行動した時の動きとその迫真性。東京の都市の中を軍隊が占拠している非常事態の様相。