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紙の本
「資本」論 取引する身体/取引される身体 (ちくま新書)
著者 稲葉 振一郎 (著)
資本主義の秩序が支配する世界は、不平等や労働疎外をも生みだす。それでもなお、私たちはこの世界に踏み留まるべきであり、所有も市場も捨て去ってはならない。その根拠を示し、所有...
「資本」論 取引する身体/取引される身体 (ちくま新書)
「資本」論 ――取引する身体/取引される身体
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商品説明
資本主義の秩序が支配する世界は、不平等や労働疎外をも生みだす。それでもなお、私たちはこの世界に踏み留まるべきであり、所有も市場も捨て去ってはならない。その根拠を示し、所有・市場・資本等の重要概念を根本から考察。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
稲葉 振一郎
- 略歴
- 〈稲葉振一郎〉1963年東京都生まれ。東京大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。現在、明治学院大学社会学部教授。著書に「リベラリズムの存在証明」「経済学という教養」「オタクの遺伝子」など。
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良い社会思想史の教科書・導入書
2005/12/17 22:00
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:まさぴゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
とても良い社会思想史の教科書・導入書だ。「私たちの生きる基盤である資本制を軸とした文明社会の仕組みを明らかにしよう」という欧州古典社会思想家たちの野望を、わかりやすくとても上手く整理しているとおもう。稲葉振一郎さんは、『ナウシカ読解』とワイアードでのコラム『地図と磁石』などで、超難解な世界で『わかりやすく全体を俯瞰』できており注目していた。僕の好きな「世界の終末を描く物語」の謎解きを読んでいるような、スリリングな展開であった。なぜならば欧州社会思想は、『この世界がどうなっているのか?、どのように作られたか?の謎を解く』物語だからだ。そして、こういうふうに物語のように読みやすいのは、筆者が、抽象概念を噛み砕き血となり肉として、「自分の言葉で」表現できているからなんだと思う。「いま僕たちが住む『この世界』とはどんな世界なのか?」や「この世界はどのような仕組みとルールでできているのか?」というとても大きな枠での問いかけは、とても興味深い。ちなみに、この問題意識から派生した疑問が、17世紀から誕生するホッブス、ジョン・ロック、ルソーら「社会契約論」の論者たちです。またそれに続いて登場したスミス、リカードウ、フィジオクラットそして、マルクス、エンゲルスたちの「資本制の社会仕組みを明らかにする」という問題意識です。社会は、資本主義という仕組みで覆われてしまい、このシステムの『外』に行くことはもうできない時代になっています。だから、この資本制の近代文明社会が、どのように組みあがっているか?という「謎」を解き明かせば、僕たちがどういう世界にいるのかががわかるはずなのです。
ちなみに、最終的な結論・本書の目的は、経済学の新古典派の「人的資本」の理論の正当性の再主張だと思う。それが成功しているかどうかは不明だが、「そこ」に至るまでのアプローチを、欧州古典の社会思想や自然状態の概念から丁寧に再構築・見直しをする姿勢には、敬服した。むしろ結論よりも、その論の過程にこそ価値があると思わせた。