クッキング・ママの鎮魂歌 （集英社文庫）

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投稿者：ｋｔ　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

元亭主が殺されて、げす野郎から開放かと思ったのもつかの間。被疑者にされたゴルディ。しかし、頼りの夫トムは近頃浮かない様子。息子のアーチーは、15歳になってややこしい。今回は思ったより早く出所した元亭主の派手な女性関係が続々出てくるけれど、元妻仲間のマーラーが相変わらずド派手に調べまわってくれる。ジュリアンは頼れるスタッフ以上になって、いつでもゴルディを助けてくれるけれど身近に居ないことが残念。今回は、ゴルディの癇癪にびっくり。ケータリング業の聖域キッチンをめちゃくちゃにされたら怒り心頭だろうけれど…まだ30歳半ばのゴルディのシリーズは等身大に描かれていてアーチーの成長も楽しみ。レシピはおいしそうで、大きな冷蔵庫があったらいい。と思うことしきり。
それにしてもアメリカのボランティア活動は懐が深い。

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投稿者：りっちゃん　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

　廃業になったレストランを借り受け、ケータリング・イベント・センターに改装したというのに、イベント当日に悪臭が立ち込め、おまけに頭も殴られて・・・
ゲス野郎の元職場の同僚アルバート・カーの未亡人、ホリー・カーの主催する昼食会のケータリングは、何とか間に合わせたものの、セクシーなサンディーといちゃいちゃするゲス野郎、それをにらみつけている前恋人のコートニー、なにやら不穏な空気が・・・
ゴルフの練習のため、アーチをゲス野郎の家に送っていったら、彼の死体を発見。ゴルディの銃がのちに発見され、殺人容疑をかけられる。

とうとうゲス野郎が死んだ。女性に暴力を振るう男、おカネにも汚いから、動機のある人がいっぱい。アーチのためにも自分の潔白を晴らしたいけど、多すぎてこんがらかって、そんな時こそ、料理をして・・・料理をしながらもついそっちに頭がいって、だから、交互に料理と推理の文章が連なる。その分、緊迫感が生じる。この書き方がいい。

ゲス野郎のことが理解できなかったゴルディ。彼がやったことはすべて嘘で塗り固められていた。彼が気にかけるのは自分のことだけ。他人がどうなろうと知ったこっちゃない。死んでわかったのは、反社会性人格障害だったってこと。なんかそういうタイプ、日本にも増えているような・・・

マーラに雇われたゴルディの弁護士。趣味はサーフとスノーボード。アーチが「クール」と讃える。警察とのやり取りに喜びを感じるタイプのようだ。トム・シュルツが、ゴルディに「ぞっこん」で、自分が失敗した事件に落ち込みながらも、ゴルディに花を贈ったり、アーチの相手をして慰めたり、おいしい料理を作ったり、と心細やかな大人の雰囲気とはまた違った、“いい男”が登場して楽しみが増えた。もちろんマーラも大活躍。

アーチが転校してから、友だちづきあいが増え、「あれ買え！」がなくなり、ボランティアをするようになったとか。成長したねぇ。父親からの悪い影響も、これから減るしね。どんな男性に育つのか、それも楽しみ。

レシピが後ろにまとめられたのが、なんだか、淋しい。作りはしないけれど、料理と一緒にあってほしかった。