- カテゴリ:一般
- 発行年月:2005.9
- 出版社: 徳間書店
- レーベル: TOKUMA NOVELS(トクマノベルズ)
- サイズ:18cm/203p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-19-850676-0
紙の本
黄泉路の犬 (Tokuma novels 南方署強行犯係)
著者 近藤 史恵 (著)
パシリでヘタレな新米刑事・圭司と、唐突で愛想なしの女性刑事・黒岩のコンビが、今度は愛犬誘拐の犯人に迫る。アニマル・ホーダーの心の闇。犬と猫たちを必要以上に愛してしまった人...
黄泉路の犬 (Tokuma novels 南方署強行犯係)
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商品説明
パシリでヘタレな新米刑事・圭司と、唐突で愛想なしの女性刑事・黒岩のコンビが、今度は愛犬誘拐の犯人に迫る。アニマル・ホーダーの心の闇。犬と猫たちを必要以上に愛してしまった人たちの悲劇とは…。シリーズ第2弾。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
近藤 史恵
- 略歴
- 〈近藤史恵〉1969年生まれ。大阪芸術大学文芸学科卒業。「凍える島」で鮎川哲也賞を受賞し、作家デビュー。主な著書に「モップの精は深夜に現れる」「賢者はベンチで思索する」など。
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紙の本
あまりにも悲しい、ペット絡みの犯罪。
2005/09/20 17:06
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:カルバドス - この投稿者のレビュー一覧を見る
ペットが絡んだ犯罪というのは、どうしてこうも悲しいのだろう。言語を使用する会話は成り立たず、行動でしか自らを表せないペットに対し、人間は大概にして生殺与奪権を持っていると思い込む。だが、ペットの命はペットのものであり、人間がどうこうしてよいものではない。家族同然との考えを“人間と同じように”と勘違いするのもどうかと思うが、命あるものである以上、真剣に付き合わなければならない。
新米刑事と女性刑事がコンビを組む第二弾は、窃盗と殺人とペットを取り巻く状況とが複雑に絡み合う。二人が足を踏み入れた現場の描写には、思わず目をそらしたくなってしまうだろう。何匹もの犬や猫が一カ所に閉じ込められ、ひどい怪我や病気もほったらかしで、更に、どうしようもない飢えから共食いまでしているというのだから。正視に耐えない惨状というのは、こうした状況を指すに違いない。
一作目ではクールビューティーとの印象が強かった女性刑事の黒岩は、本書でも期待を裏切らずに格好イイ。今回はプライベートで少々特殊な状況に我が身をおくことになり、その際に見せる女性的な母性愛が男心をくすぐる。前作から引き続き登場する新米刑事の兄が、相変わらず彼女に恋し続けているというのも、十分に頷けるというものだ。
ペットが絡んだ犯罪を描いた本編もさることながら、作者と愛犬の関係から現在のペット事情にまで言及しているあとがきも、不況の割には飽食の現代日本を象徴しているようで興味深い。徹頭徹尾“ペット”がテーマの、悲しいミステリである。
紙の本
普通だったら★★★★です。悪くありません。でも、感動がないんですね。私なら最後に救いを置きます。それがない。近藤ならもっと書ける、そういう思いを込めて★三つ
2005/12/09 19:50
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
ともかく、イラストが可愛い。表のカバーでは、黒岩の前に少年と犬が置かれていて分り難いけれど、裏のカバーイラストでは、黒岩がいなくなって極めてシンプルな構図。こうやってみると少年・犬図の素晴らしさがヒシヒシと伝わってきます。でも、犬の右にいる少年は誰でしょう。いや、この犬はなに?もしかして雄哉くんとハリー?それって、アリエネーでしょう。それとねえ、本名だったらゴメンサナサイ!なんだけど、あるま・じろう、と百足屋ユウコ(ムシカゴグラフィクス)ってのもねえ・・・
カバー折り返しの内容紹介は
「どんな職場にも忙しい時期と暇な時期がある。珍しいことに南方署は暇だった。圭司がここに配属されてから既に三ヶ月。同僚の黒岩から、いきなり文庫本を渡されページを開けという。真中あたりを開くと83ページ、八+三でインケツ、會川君の負けといわれてしまう。なんとオイチョで四人分のジュースを買いに行かされるはめに。いまやヘタレだけではなく、パシリにされてしまう。そんなときに事件は起こった。東中島で強盗、家にいた姉妹に刃物をつきつけて脅し、二万円を奪取。でも、それだけじゃない。可愛がっていたチワワも取られたという。事件はそのままになったかと思われたが、二ヵ月後、思わぬところから顔を出したのだった!」
主人公は黒岩といいたいですが、會川圭司でしょうね。南方署勤務で、刑事課に配属されて三ヶ月、一応新米刑事と書いてあるせいか、仕事よりは私事優先、頭の中は恋愛以外殆ど空っぽ。で、人がいいのか捨ててある猫などを見ると可哀想で、家のことなど考えずに自分の所に連れて行ってしまう、そういう性格、ヘタレです。
近藤はそう描いていないつもりかもしれませんが、私にはそうとしか思えません。で、その相棒というのが黒岩。名前や年齢が書かれていないのは、前作『南方署強行犯係 狼の寓話』(2003)を読め、ということなんでしょうか。でも、そちらにも容姿を含めて詳細は描かれていません。なぜでしょうね?その黒岩には優しい恋人がいて、名前は智久。それから雄哉という少年も絡んできます。
後先になりますが、圭司は同じ警察官で淡路中央交番勤務の巡査である兄・宗司と猫の太郎の二人と一匹暮しをしています。で、この兄は弟の相棒である黒岩のことが好きという設定です。母親は43歳の美紀、女手一つで男の子二人を育て上げた、今でも30代で通りそうな女性ですが活躍の度合いは前作に比べて少ないです。
で、出版は前作から二年経っていますが、時間的には三ヶ月も経っていません。ですから、近藤の頭には「読者には余分な解説は不要」という判断があるのかもしれません。でも、繰り返しますが二年ていうのは、私には傑作以外は殆ど忘れ去るのに十分な時間なんですね。ですから、もう少しお浚い部分があってもいいかな、って思いますね。
しかもです、この本のカバー折り返しにある著者略歴には前作『南方署強行犯係 狼の寓話』の記載がないんですね。本の巻末についているノベルズ一覧の一番最初に書いてあるんですが、マニアでないかぎり読みませんよ、そんなところ。となると、初めてこの本で近藤史恵作品を読み始める人には、この作品は極めて不親切、ってことになります。
聡明な近藤にそれがわからないはずがありません。となると、この前作に触れることすらしないカバー案内や著者紹介は、ヒデーなあ、徳間書店よ、カバーしろよ!って思うんですね、ワタシ。お話は、途中で、こうならなければいいなあと思っていた展開になっちゃって、すこし残念ですが社会に対する視線などはいかにも現代的。
最後に、構成ですが序章、第一章 地獄、疑惑、迷走、停滞、嗚咽、終章、あとがき、となってますけど、あとがきは最後に読んだほうがいいですね、このお話のバヤイ。
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