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商品説明
権力の暴走、組織の腐敗、社会の歪み、教育問題、災害支援…。重要な論点を次々と明らかにする、批判精神を刺激する時評エッセイ集。『信濃毎日新聞』連載「今日の視覚」をまとめた、2003年刊「背後にある思考」の続編。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
野田 正彰
- 略歴
- 〈野田正彰〉1944年高知県生まれ。北海道大学医学部卒業。関西学院大学教授。「喪の途上にて」で講談社ノンフィクション賞、「コンピュータ新人類の研究」で大宅壮一ノンフィクション賞受賞。
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紙の本
怒りを忘れた人々に
2005/11/19 06:13
9人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:良泉 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は精神科医でありながら、ジャーナリスティックな物の見方で数々の著作活動を続ける著者の新聞連載を基にしたエッセイ集である。
本書のタイトルともなっている「なぜ怒らないのか」の回で、著者は次のように言う。
台風や地震による風水害被害で多数の死者が出ているニュースに接し筆者は考える。被害に会った人々またはその家族の多くが自分達の被った悲劇をどう受け止めているか。多くの日本人が、“異常な自然現象”が原因であったとし、自分の不運を嘆き、仕方ないとあきらめてしまうというのである。そして、その態度に筆者は大いに失望し、そういった人々に対し檄を飛ばすのである。
災害は、被害者が「土砂崩れになりやすい所、浸水しやすい低地、壊れやすい家に住んでいたために起こった」と考えるべきではないか。
被害者及びその家族達は、なぜ、「樹木を伐り、山を荒らし、山野の貯水力をなくしてきた政府や企業」を怒らないのか。
「崩れやすい所、地盤の弱い所に家を建てさせてきた行政」に対し怒らないのか。
そして「真新しい作業服と長靴で現地を視察する政治家」を怒らないのか。
表面的な物質的充足に満足し、積極的に自分の身を体制に組込ませることで保身をはかる人々。強い者に隷従し、飼い慣らされた犬ほども反抗のそぶりを見せない人々。現状の生活を保守することのみに専心し、理想も希望も持てない持とうとしない人々。
人々は、怒ること、声をあげることができないのか、それともただ単にしないのか。もしかしたら、「今こそが自分が本来、怒るべき時である」というそのことに、気付くことさえできなくなっているのか。
人間が自分のアイデンティティを大切にし、人間らしく生きるためには、もっともっと感覚を磨き上げる必要があるのではないか。怒るべきこと、声を上げていくべきことは、身の回りにいくらでもある。それに気付き、それに対し反応することができなくなった時、人々は、全体主義にも、管理体制にも、そして戦争に対してさえも無抵抗となる。
紙の本
怒るコツ。
2006/02/21 00:19
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:aiai - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本については未読ですが、おとつい野田氏から直接「怒りつづけるコツ」をお聞きしたので、とりあえず書いておきますね。
ひとつは、怒りや疑問を共有し、深め合うことが出来る仲間を持つこと。一人では大変。仲間がいるからこそ怒ることができるということだそうです。
そしてもう一つは、自分の中で考えを深め、怒りを持ちつづけるために、メモを書き、文章を書き、カタチにしながら何かを残していくということが大事だということ。
「怒り」という感情が、ポジティブに作用していくテクニックということで。