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紙の本
昭和のきな臭い空気
2006/03/25 00:22
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:hamster078 - この投稿者のレビュー一覧を見る
昭和初期、岡山県の旧制中学に通っていた南部麒六は、ひょんなことから空手の技を教わり、ケンカ修業にあけくれるようになる。通っていた中学は勿論退学となり、会津に転校になるが、そこでも昭和白虎隊を気どる連中と対決するはめになる・・・ 鈴木清順監督、高橋英樹主演で有名になった日活映画の原作小説である。鈴木監督の映画もそれなりによく出来ていたが、もとの小説は作者鈴木隆の自伝的色彩が強いためか、昭和初期という時代の空気をより濃厚に伝えている。特筆すべきは、田舎の中学生や教員たちにも見られる武断性とロマンチシズムである。中学生のケンカに下駄やバットのみならず、日本刀やダイナマイトまで飛び出してくる。そのくせ、彼らは憧れるマドンナには指一本触れられないのである。この時代の空気のはてに2・26事件があり、主人公麒六も「今度はもっとでっかいケンカだ!」と夜汽車で東京へ旅立っていくのである。小説の第二部は日中戦争を舞台にした実録調の戦陣物語。何度か出版されては絶版になり、しばらくすると必ず復刊されてくる不思議な魅力をもつ小説である。