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商品説明
都合の悪いデータは隠蔽、間引いて印象を変える…。新聞などから様々なグラフを集め、いかに見る側をだましているのか、ごまかしのテクニックを明らかに。また、グラフを作る際に自分の主張を効果的に見せる方法もアドバイス。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
牧野 武文
- 略歴
- 〈牧野武文〉作家。著書に「横井軍平ゲーム館」「インターネット社会の幻想」「Macの知恵の実」「大失言」など。
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紙の本
中学生に教えてもいいのかな・・・だますテクニックは,だまされないための知識でもある
2005/11/17 11:56
11人中、11人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:南亭骨怠 - この投稿者のレビュー一覧を見る
技術・家庭科『情報とコンピュータ』の中で,エクセルを使い,データをグラフ化する方法を教えている。
「データによっては,円グラフを使うのが良かったり,折れ線グラフにするのが良かったりするよ」・・・そういう内容の授業だ。
さて,一歩踏み込んで,グラフによる情報操作の授業をしてみようと思った。そんなときに手にしたのがこの本である。
棒グラフのごまかし方・・・・・7
折れ線グラフのごまかし方・・・8
円グラフのごまかし方・・・・・3
帯グラフのごまかし方・・・・・3
絵グラフのごまかし方・・・・・3
地図グラフのごまかし方・・・・2
ここに載っている26の「悪魔の技法」まったく気が付いていなかったものもある。
例えば・・・・・・
棒グラフのごまかし
悪魔の技法001『都合の悪いデータは隠蔽しろ!』を読んだだけでも,この本を買ってよかったと,しみじみ思ってしまう。
少年による殺人・強盗は増加している。過去10年間のグラフを見ると,殺人は1.5倍,強盗は3倍に増えた。これは,職業柄何度も目にしているグラフなのだ。
ところが,このグラフにもごまかし(というよりも誤解を招く部分かな)がある。意図的にデータを隠蔽しているわけではないと思うけれど,必要な情報が全て与えられていなかったのだ。
情報を増やすだけで,少年の凶悪犯罪件数は大きく減ってきていることを主張するグラフにもなるのだ。(結構単純なことだけれど,これは隠されたデータを見なければ気が付かない)
自分でグラフを作るときには,提示する情報や,視覚的効果を考えている。でも,何気なく目にしているグラフについては,注意を払うことも無く,無意識のうちに相手の意図するイメージを植えつけられている恐れもある。
ごまかされないためにも,「悪魔の技法」を知っておいたほうがいいな。
紙の本
メディア・リテラシーとしてグラフの見方を身につけることが必要
2006/01/04 09:50
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:yukkiebeer - この投稿者のレビュー一覧を見る
統計結果を視覚的に提示するためのグラフ類が、いかに実体と異なる「イメージ」を人々に植えつけかねないかについて平易に綴った一冊です。
例えば、円グラフを縦長の楕円形で示すと、上下の位置にくる項目が実際よりも小さく見えるのです。ですから他よりも多く見せたい項目は左右の位置にくるようにすればよいというのです。
また折れ線グラフの背景を下から上にかけて色が徐々に淡くなっていくグラデーションをかけてやると、例えば景気の回復を示すようなグラフの場合は、重たい印象の下部から線が勢いよく抜け出しているように見えて、上昇具合が強調されるとあります。
本書に掲示されている操作されたグラフがすべて新聞紙上に掲載されたものだと聞かされると、メディア・リテラシーの一環としてグラフの読み方を学ぶ必要は大いにあるという気がします。
ただし、一点だけ気になったグラフがあります。少年による殺人事件の検挙数が増加傾向にあるというのは、ここ十年だけをグラフ化した場合のイメージでしかなく、終戦直後からその件数をグラフ化して見せると、むしろ大幅に減少しているのだと本書は指摘しています。ですが私はこの主張に与しません。
この話はパオロ・マッツァリーノ著「反社会学講座」(イースト・プレス刊)でも取り上げていますが、終戦直後と現在との間で全人口に占める少年人口がそもそも違うわけですし、犯罪件数全体に占める少年犯罪の割合といった統計も援用してみないことには、「少年犯罪は戦後一貫して減っている、だからかつてよりも今のほうが深刻だというのはあたらない」とは言い切れないと思うのです。
戦後の貧しい社会と現在の物質的には恵まれているはずの今の社会。「衣食足りて礼節を知る」を信じてきたはずの日本で、少年犯罪がまだまだ続いているということは、やはり問題として認識してしかるべきで、グラフのごまかしだとは言い切れないと考えるのです。