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紙の本
スーパーヒーロー達の壮大な活劇に圧倒されました。
2016/11/30 10:13
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投稿者:ナミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
スーパーヒーロー達の壮大な活劇に圧倒されました。幼少時に、誰なのか良く知らないながらもその記念石碑に馴染んできた新選組副長であるあの“土方歳三”を主役とした、幕末から戊辰戦争・箱館戦争に至る一大時代活劇なのだから面白くない訳がない。前半は、京都を中心とした勤王佐幕の対立中心であり、それだけで十分に面白いのだが、既に様々な本で描かれており歴史的な研究も良くされているため、それ程大きく飛躍したストーリー展開は難しいであろう。とは言え、前半で既に、勝海舟・小栗忠順(1827~1868)・坂本龍馬などと土方歳三との交流を緻密に描くことで、後半での土方歳三の考え方・行動の布石をしっかりと置いている。その基本は、幕藩体制に見切りをつけつつも、新たな国の姿を見通すことが出来ないために苦悩し、植民地化を狙う欧米諸列強の侵略政策をかわしつつ新しい国を作っていくかという視点であり、そこに坂本龍馬が思い描いていたと謂われる「蝦夷地移住計画」を絡めることで、“朝廷を中心とした日本=本州・四国・九州”と、“幕府=徳川家を中心とした日本=蝦夷地”という2つの独立国を建設するという壮大な発想である。実際に旧幕府軍は箱館に榎本武揚(釜次郎)を代表とする独立国を建設し、一時は欧米諸国にも認められているのだから、全くの絵空事とは言えないのである。このように、歴史的事実を要所では押さえつつ、そんこ空隙に土方はじめ様々な人物を微妙に脚色して構成していく緻密さは、確かに10年かけて構想を練ったというだけある。
前半は、京都を中心とした展開で新選組との関係が濃厚なため、発想の飛躍的面白さはそれ程でもないが、坂本龍馬が構想する新しい日本の姿・それを実現するための方策とは何かという謎解きの面白さで圧倒的に読み進めさせる。そして、坂本龍馬の暗殺で平和裡での政権交代の道が暗礁に乗り上げた後を描いた後半は、正にフィクション小説の醍醐味である。官軍との戦いの中で、新選組との関係がある程度曖昧となったことを上手く活用し、新選組副長でありつつも、ある意味では“別働隊”的な自由な立場で土方歳三を動かすことで、縦横無尽のスーパースターとういうか“龍”が暴れ回るという感じの超迫力の活劇を創り上げている。まあ、ちょっと格好良すぎる点は大目に見ておきましょう。なお、ラストは、自ら土方の影武者となることで“死期”を得た“久兵衛”(新選組の料理人として京都からずっと後を追ってきた謎の浪人。完全に土方に見せるため愛刀“兼定も与える)の死を見届けた上で北へ向かって去っていくのであるが、この終わり方が良いかどうかは微妙である。余韻があるといえばそうだが、”夢“破れた土方歳三のその後をの生き方を考えると、やはり史実通り死んだ方がすっきりした気もしないではない。やはり微妙ですなあ―――。