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紙の本
共視論 母子像の心理学 (講談社選書メチエ)
著者 北山 修 (編)
蛍、花火、しゃぼん玉。輝いて、そして消えていく対象を眺める母子。象徴を共有し、言語を使用するための基盤となるこの構図を日本人はなぜ好むのか? さまざまな分野の新しい知見を...
共視論 母子像の心理学 (講談社選書メチエ)
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商品説明
蛍、花火、しゃぼん玉。輝いて、そして消えていく対象を眺める母子。象徴を共有し、言語を使用するための基盤となるこの構図を日本人はなぜ好むのか? さまざまな分野の新しい知見をもとに考察する、視線をめぐる人間論。【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧
共視母子像からの問いかけ | 北山修 著 | 7-46 |
---|---|---|
場の江戸文化 | 田中優子 著 | 47-71 |
共に見ること語ること | やまだようこ 著 | 73-87 |
著者紹介
北山 修
- 略歴
- 〈北山修〉1946年淡路島生まれ。ロンドン・モーズレイ病院およびロンドン大学精神医学研究所で卒業研修後、北山医院院長を経て、九州大学大学院人間環境学研究院・医学研究院教授。精神分析医。
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紙の本
浮世絵で精神分析する
2012/07/16 23:14
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投稿者:みなとかずあき - この投稿者のレビュー一覧を見る
絵画の鑑賞というと単なる印象を語るものから技法論、作家論となっていくのだろうが、ここにそれらとは異なる絵画の見方(と言うより、読み込み方というべきか)を提示してくれる本が現れた。浮世絵を題材とし、そこに特徴的に表れる母子像を手がかりとして主に心理学分野の人たちが語るというものだ。
浮世絵に表される母子像は、言われてみれば確かに興味深い構図を見せている。そこをどう読み解くのかということに始まり、そこからみられる日本人の母子関係や人間関係がいちいち納得いくものに思えてしまう。
個人的には編者である北山修の名前に惹かれて読みだしたものなので、精神分析的解釈になじみがあるが、発達心理学、社会心理学など心理学関係の著者の文章からも教えられるものが多かった。だが、実はけっこう難解な部分もあった。そう、ここに収められている文章は、精神分析学や心理学関係の学会の成果であり、科学研究費の成果でもあるという、極めて学問しているものばかりなのだ。
収められているのは8つの論文。「共視」をキーワードにして、母子関係の成立から、視線を媒介とした人間関係や人間発達について述べられている。特に、遠藤利彦氏の「発達心理学から見た共視現象」は本当に専門の論文であり、人の発達をこのようにして見ることができるのかと圧倒されてしまうものでもあった。また、山口裕幸氏の「タテ社会における視線」では、E.H.エリクソンが提唱したアイデンティティを日本人に当てはめる時の視点を提供してくれるように思えた。
全体を通しても、浮世絵という非言語的表現を論文という形に言語化する試みが並べられていて、極めて精神分析的にも思えた。
これで改めて、北山修のアカデミック・シアターを見聞きすると、また何か発見があるのかもしれない。