紙の本
最初から最後までページを捲る手が止まらない面白さ。読んでいて自分も激流に巻き込まれていくような感覚に陥った作品です。
2005/12/12 16:13
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:エルフ - この投稿者のレビュー一覧を見る
序章、中3の修学旅行のグループ行動の最中に一人の少女が消えてしまいます。
人で乗ったバスは混み合っていて、ふと気がつくと一人の少女の姿が見えないことに気付くメンバー、間違えて他のバス停で降りてしまったのだろうか?と探してみたもののそれ以降少女を見た者は誰おらず、そのまま帰ってくることもなかった。
少女の名前は冬葉。彼女に一体何があったのか?
残りのメンバー6人は冬葉がいなくなった事により誹謗中傷を受けてしまいます。
いじめていたのでは?何故6人もいて冬葉がいなくなった事に気付かなかったのか?と。
6人はその傷を負いながらそれぞれの道へ進むことに。
それから20年後、一通のメールが届いたことから6人の人生は大きな渦に巻き込まれ押し流されていきます。
殺人容疑をかけられる者、仕事のミスを押付けられる者、付き合っていた女性にストーカー行為の末殺されそうになる者などなど。
彼女達の元へは冬葉からのメールが届きその後に必ず不幸や罠に陥れられていく、もしかして冬葉の復讐なのだろうか?でも一体何故彼女が?
生きているのかどうかも分からぬ級友の存在と、15歳の少年・少女だった彼らが生きてきた20年分の人生の重さが絡み合い読んでいて一体今後どのように進んでいくのか全く予測のつかない一冊でした。
久々にページを捲るのも惜しいと思うくらい没頭して読んだ作品です。
最終的に事件の真相は人の悪意から生まれたものなんですよね。
それぞれの人の中に溜まっていた悪意を、ある人物がほんの少し軽〜く背中を押しただけで勢いを増し攻撃していったのです。
行方不明の少女からの20年ぶりのメールという非現実的なものに対し、事件そのものはかなり現実的。
だからこそ皆一体後ろに何が絡んでいるのか分からず不安になり、そして「もしかして」と思いながらも冬葉との再会を望んでいる。
きっと死んでしまっているだろうと思いつつも生きて会いたいと願う級友達。
一体どこに辿り着くのか最後の最後まで分からずに大きな流れに流されたような一冊でした。
この本のタイトル「激流」は中身と本当合っているのですよね。
本書の半ばで登場人物の一人・美弥の心の内からも激流という言葉が出ているのですが読んでいる側もその流れの中に知らず知らずに入ってしまうのです。
P268
「運命の流れ。激流が迫っている。その音が、気配が聞こえる。冬葉が失踪したあの日に、その流れはわたしに向かって、いや、あの時冬葉を見失った仲間たちすべてに向かって、スタートしたのだ。そして二十年の歳月をかけて、今、それが届こうとしている。」
分厚いことも忘れさせてくれるくらい没頭する本。オススメです
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同僚の薦めで読んだ。激流‥‥ううむ確かに激流だ。人は誰しもあの時こうしていれば良かった、と後悔していることがひとつやふたつあるはずだ。それを汚点ととらえ消し去りたいと思うか、絶対に忘れないと背負っていく覚悟を決めるかはその人次第なんだなとつくづく思う。後悔しない生き方をする、というのは理想だけど、例え後悔する事があったとして、その時は背負うには重すぎる事も、何年か後にはちゃんと背負って歩いていける、そんな時間の重ね方をしたいな。
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柴田よしきさんの本は大好きなんだけど、この本は今まで読んだ本とテイストが少し違う気がしました。子供の頃感じたことと大人になってから思い返して感じることの違いとか、人を羨ましく思っていたのに、実態は異なっていることがあったりとか、色々あるんだなあと読んでて思いました。
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柴田よしきさんのミステリーは読んでる時は面白いのですが、読み終わった後が物足りません。
でもいつも最後まであっというまに読んでしまいます。
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20年も前に修学旅行中に失踪した1人の少女から、メールが届く。“わたしを憶えていますか?”。人はそれぞれ、事情を抱えて、今を生きている。読み終えて、こんな事が、、と愕然とさせられる。小説としては、面白いのではないだろうか。
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修学旅行中に突然失踪してしまった少女。
その少女から20年後突然メールが届いたら、あなたはどうしますか?
とにかく分厚かった〜。
結末がとにかく気になった読み続けたんだけど、なんだかあっけない感じ。
「え?そんな事だったの?」っていうか。
面白いんだけど、ここまで分厚くすることはなかったのではないかな?!
でもこの人の作品やっぱり面白い。
自分が知らない所で憎まれていたりするネタとか多いです。
やはりこの人の作品はこれからも読み続けていきたいです。
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中学の修学旅行でバスの中から失踪した冬葉という1人の少女。その後行方の知れない彼女の存在は、同じ班で動いていた6人の存在にも影を落とす。20年後、級友たちに彼女からメールが届けられる。周囲に頻発するトラブル。最後の方バタバタと話が進むので、これ誰だっけー?とか思わないでもないのですが、20年後の級友たちがほぼ同世代ということで、彼らの抱える葛藤にはうなずける。★4つ。
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柴田よしきさんの本は大好きなんだけど、この本は今まで読んだ本とテイストが少し違う気がしました。子供の頃感じたことと大人になってから思い返して感じることの違いとか、人を羨ましく思っていたのに、実態は異なっていることがあったりとか、色々あるんだなあと読んでて思いました。
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久しぶりのド長編。
ドラマや映画に出来そうな感じ。
登場人物は多いが、一人一人の個性や背景がわかりやすい。
結末が気になって、引き込まれたのに
ラストが物足りず残念かなぁ。。。
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かなりのボリュームがある本だったけど、内容の面白さで一気に読むことが出来た。
柴田ファンになりそうな作品だった。
欲を言えば、貴子がなぜ主婦売春をしなければならなかったのか?もっと根本の理由がありそうなのにそれが分からないのが、もどかしかった。
《あらすじ》
中学の修学旅行中小野寺冬葉という少女が行方不明となってしまった。
彼女は自ら班行動をしていたバスから下りてしまったのだ。
20年後、その冬葉と名乗るメールが同じ班で行動していた2人に届く。
『私をおぼえていますか? 冬葉』
このメールがきっかけで、当時のメンバーが集まった。
そして、そのメンバーに次々と災難が訪れる。
班長だった三隅圭子。今は出版社の文芸部の副編集長を務めるバリバリのキャリアウーマン。
作家から預かった生原稿が編集部から紛失、その原稿は赤マジックで×がされ、彼女の署名入りで作家の元に送り返される。
副班長だった長門悠樹は、行方不明。
秋芳美弥は、歌手であり、小説家でもあったが、コカイン所持で逮捕され、現在、自分の小説の映画化の主人公と主題歌を担当することで再起をかけている。
御堂原貴子は、人目を引く美人でありながら、平凡なサラリーマンの夫と一人娘との生活を送る専業主婦。
しかし、彼女は一人娘を私学へ通わせるために、主婦売春の手を染めている。
一人の客に対しては一度限りという会の方針に逆らい、リストラされた夫の再就職のため、客であったIT企業の若手社長とホテルで密会。
その社長が、ホテルで殺されてしまうという殺人事件に巻き込まれる。
鯖島豊は、一浪して東大に合格。卒業後D電機に勤めたが、派閥争いに巻き込まれ、窓際へと追いやられていた。
彼にも、不幸が訪れる。
手を切ったはずの女が、彼に付きまとい、ナイフで刺され、重傷を負う。
鯖島と仲が良かった東萩耕司は、本庁刑事で、世田谷で起きた主婦殺害事件を追っている。
その事件がらみで、美弥に会い、行方不明だった長門の情報を得る。
20年前には思い出さなかった数々の事柄が、大人になった今だからいろいろの可能性を発見でき、つなぎ合わせることが出来るのだ。
真相は・・・・
担任の旭村は音楽の教師毛利と恋人同士で、結婚の約束まで出来ていた。
しかし、クラス替えで小野寺冬葉の母親と知り合い、不倫関係を持つ。旭村は冬葉の母親に夢中になり、毛利とも疎遠になる。
修学旅行のとき、旭村は冬葉の母親に京都に来なければ二人の関係を冬葉にバラすと脅しをかける。冬葉は修学旅行の前に彼女の音楽的才能を見出した毛利に母親の様子がおかしいと相談する。毛利は母親の様子は自分が注意しているから、安心して修学旅行に行くように説得。
冬葉の母親は京都まで行くが待ち合わせの場所まで行かずに東京に戻る。旭村の様子を京都まで行って見張っていた毛利は旭村のあとをつけ、彼が振られたことを知る。
旭村の後をつけている毛利をたまたまバスで移動していた冬葉が彼女を見かけ、ひとりバスを降りてしまった。
旭村は振られた傷心を癒すため人気のない場所へ移動する。その後を毛利が追う。冬葉が追う。
旭村は、攻め立てる毛利を殴り、その拍子に彼女は流産。大出血をする。それを見た冬葉が旭村に殴りかかる。振り払う旭村。
弾みで倒れた冬葉は、運悪く斜めに切り出された竹の切り株に喉を突き、そのまま息絶えた。
・・・・・・
そして、二人にその場に埋められた。
20年後、事の真相を突き止め同級生の見守る中、冬葉の遺骨が掘り出された・・・
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15歳、中学3年生。
修学旅行で班での自由行動の最中に
ひとりの少女が姿を消し、そのまま戻ってこなかった・・・
20年後。それぞれの人生を送っている
その頃の班の仲間たちに、襲いかかった激流
行方不明になった少女は、まだ生きているのか
それとも・・・・???
まず、20年も前のことを、細かく記憶しているものかどうかという点は大いに疑問だけど(笑)
でも「誰が何のために??」というのが
ラスト近くなるまでわからなくて不気味
そして真相は、あまりにあっけなく、不運で・・・
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まさに「激流」。蘇る過去の事件と連鎖する現在の事件に翻弄される主人公たちは、激流に巻き込まれたとしかいいようないなあ。悪意と作為がどろどろに渦巻いていて、そして行き着く先はある意味の破滅だったり、かなりやりきれない部分もあるのだけれど、なぜだか穏やか。読後感は非常に静かな印象。
「悪意」の怖さ、もポイント。しかし本当に怖いのは、「犯人」自身の悪意だけではなく、他者の悪意も大いに関わってくる面かな。悪意の増幅、という気がした。
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いや~、面白かった。
修学旅行で行方不明になってしまった同級生によって、
20年後に翻弄される6人。
一人ひとりが主役で、色んな事件がおこって、
本当に盛りだくさんの内容だった。
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テレビドラマのトライアングルを思い出した。こっちもドラマになると思う。
柴田さんは発達障害とか自閉症とか幼児虐待とかの扱いがうまいと思う。
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面白かった。
「私をおぼえていますか?」で幕があける。
中学時代の修学旅行時に起きた事件の同級生達に20年後に襲い掛かる悪夢のような出来事の数々。
結末は少しペースダウンかなと感じはしたけど、全体的によく練られていてあっという間に読了できた。