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商品説明
叔父がネットで集団自殺。いや偽装殺人だと叔母は言い、ぼくは「捜査」を命じられ、誰かがぼくを狙いはじめた。やはりたんなる「集団自殺」ではなかったのか?【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
折原 一
- 略歴
- 〈折原一〉1951年埼玉県生まれ。早稲田大学卒業後、編集者に。88年「五つの棺」でデビュー。「沈黙の教室」で日本推理作家協会賞受賞。著書に「冤罪者」「黙の部屋」など。
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紙の本
折原らしいな、とは思うんですね。でも、正直、ヘタレの探偵ってのがどうも好きになれない。それから叙述推理だと構えちゃうので、おお、って驚きがない。もったいないかな
2006/01/06 20:33
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
ミステリーリーグの一冊。装幀はスタジオ・ギブ(川島進)、装画は七戸優。
ぼくの叔父が集団自殺をした。
閉め切ったワゴン車で
練炭を使ったのだという。
ところが叔母は「自殺に見せかけて
誰かが殺したんだ」といってきかない。
こうしてぼくは叔母に命じられ叔父の
死の「真相」を探ることになったのだ。
ぼくは遺族として
他の自殺者の家族と会ううち、
この集団自殺を以前から追いかけて
いたジャーナリストがいたことを知り、
そして、ぼくはなにものかに
監視されていることに気づいた。
やはりたんなる「集団自殺」
ではなかったのか?
ぼくは狙われているのか?
構成は、序説、第一部 叔父の死、幕間、第二部 眠る女、第三部 自殺計画、終幕、ということになっています。
カバーの紹介にある「ぼく」というのが一平です。その一平に探偵させるのが叔母の中西友恵、その夫が富男です。一平から見ると、叔母夫妻というのは金の亡者で、自殺した叔父の羽鳥四郎とともに祖父の遺産にたかり、そのせいで父親の会社は経営難を乗り越えることができずに、母も心労で精神を病んでしまった、ということになります。
といって、一平が立派な人間か?というと、それはかなりあやしくて、祖父が築きあげた会社を引き継ぐレールが外れてしまったせいで、大学も中退して仕事にもつかず、父親の残した僅かな財産を食いつぶしているというのです。だから、突然あらわれて遺産を毟り取っていった叔父から、仕事を持ちかけられると、ほいほいと引き受ける、ある意味ヘタレではあるわけです。
で、叔父と集団自殺をした、という人たちがいます。まず集団の主催者であるミホがいます。年齢は30歳、主婦ですが夫の家庭内暴力の被害者でもあります。つぎが、ひろし、です。あの「ヒロシデス」のヒロシでは勿論ありません、はい。新潟に住む高倉広志、32歳、結婚して娘もいます。自殺を思い立ったのは不倫が原因です。そして茨城に住む21歳のフリーター、雪です。万能の妹桜と何かと比較されることが、彼女を自殺に追いやりました。
読んですぐ目に飛び込んでくるのが、(叔父殺人事件)という断りがついた章は、字体が違う、ということです。もうこれだけで、折原は仕掛けをしてくるな、それは一体どういうものなんだろう、と読者を魅了します。それは、案外裏切られるんですね。予想を外される。でも、それが怒りに繋がりません。
ただし、鮮やか、っていう感じはありません。冒頭から仕掛けてくるな、それならここじゃないか、っていう疑心暗鬼で読んでいますから、どんな手をうたれても、ああそうか、で納得してしまう部分があります。精緻に練り上げられた話だけに、ショックがない、それが勿体無い。でも、ここまでやれば、とりあえずは納得します。