紙の本
うさんくさい本かと思いきや。
2016/03/02 00:56
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投稿者:色鳥鳥 - この投稿者のレビュー一覧を見る
オカルト系あるいは疑似科学系番組でやっているような、無理やりな「不思議」連呼の、うさんくさい本かと思いきや、黄金比といえば言及される、絵画や神殿の「測り方」がうさんくさいと言及している、至極まじめな1冊です。タイトルは「黄金比はすべてを美しくするか?」ですが、「美」の尺度のあいまいさにも、言及している点、誠実さを感じました。そして黄金比に関しては、古今東西のあらゆる理論、それに惹かれた画家や建築家について詳しく記述。結末はちょっと強引かと思わなくもないが、結末ありき、の書籍じゃないし。数学に拒絶反応がある読者ですが、面白く読めました。良書だと思います。
紙の本
最も謎めいた数字の物語
2006/05/07 10:20
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:k-kana - この投稿者のレビュー一覧を見る
黄金比とか外中比、あるいは黄金分割という言い方もありますね。四角形の縦と横の辺の長さの比率が1:1.618…のとき、もっとも調和のとれた黄金の四角形と言われる。アテネのパルテノン神殿の輪郭は黄金比長方形に近いそうだ。エジプトのピラミッドの寸法が黄金比にもとづくとも。
著者はこれらの常識に疑問を呈する。数のトリックがあり、さらに測定の誤差を見過ごしていると言うのだ。長さの測定誤差が、比の計算ではさらに大きな誤差を生むのだから。パルテノン神殿の調和と美しさはむしろ同じ柱の繰り返しが生み出す一定のリズムにあるという。
読み手の興味を引きつける語り口が巧みである。フィボナッチ数列というのがあるが、各項がその前の2項の和に等しい数列だ—— 1、1、2、3、5、8、13、21 ……。このフィボナッチ数列は黄金比と深い関係にある。
この数列が自然界のいたるところに顔を出す。ヒマワリが太陽に顔を向けるように。植物の葉は、日光や雨にさらされる面積ができるだけ大きくなるような配置をとる。枝が垂直に伸びると、ほぼ等間隔で葉が生えるが、葉は前の葉に真上には生えない。バラの花びらの対称的な配置も、黄金比にもとづいているという。
ベンフォードの法則というのも、耳を疑うようなルールである。「最上位桁の現象」とも言うそうだ。一見ランダムなデータが、どれも30数パーセントの数値は1で始まり、18パーセントほどが2で始まる性質をもつというものだ。
例えば、世界年鑑でアメリカ各州の農畜産物売買高をかぞえると、全体の32パーセントで1が最上位の桁に現れ、2も19パーセントを占める。これに対し9は、5パーセントしか占めない。河川の流域面積とか野球の統計、雑誌の記事に登場する数値などといった膨大なデータでも検証されたそうだ。
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黄金比の発想の根源からその不思議な性質を紹介し、黄金比に基づくとされるデザインの大半を眉唾物とする。
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表題通りの世に蔓延る様々な事象に関しての考察書。
決して専門書でなどでは無いと銘打っておかなければならないだろう。かつて言葉が、先人が可能であったように、全分野を同一の言葉で交わすことができた、それを感じさせてくれる一冊だと思う。まるで黄金比という動かしがたい大きな柱を中心に止まらない嵐が吹き荒れて居るようだ。その嵐ですら黄金比の掌の上のような。
それまでに本書で取り扱われている分野は広い。通説となっている芸術作品から眉唾物といわれている経済学説まで多岐にわたる。
非常に素晴らしい。文系理系を無に帰す至高である。
ただしかし黄金比、というだけあって多少数学を思い出せる程度の頭脳で臨まなければたちまち食われてしまうだろう。生半可な気持ちで読み始めるとすぐに脱落する可能性は十分にある。
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数学の歴史を黄金比φで語った本。フラクタル理論やベンフォードの法則等数々の考え方を紹介。最後には数学とは何かについて、「人間の思考と関係なく客観的実在として存在するもの」というプラトン主義と「人間の発明品で観測と合うものが自然選択によって残ったもの」とする進化論的見地を提示する。さらにその二つを融合させて光の「粒子・波の二重性」に例えている。
数学の雑学としては面白い本です。
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ブクログのランキングでタイトルが印象に残ったため読んでみる。
陳腐な言葉でいえば、神秘的。
面白かった。
頭の回転が遅くて数学を苦手としていた私のような者にも、たいそうフレンドリーでした。
もー本当に一人の人が書いたんかっていうジャンルの広範。すげーったらない。
単行本版の189頁、サム・ロイドのパラドックスは、誰かに見せたくなるね。壺算みたい。
27頁「果てしなく指をかぞえる」や(底10と底13)、第5章導入部の位取りの話(ローマ数字での算術演算)もワクワク。
262頁「フラクタル」、えきさいてぃん。
ちなみに表紙は「ロマネスコ」というカリフラワーの一種だそうな。
綺麗でもあり、グロテスクでもあり。
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面白かった。
実は自分の中に黄金比絶対信仰的なものがあったのだが、(きっと他の黄金比に関する本の影響)絵画にしろ音楽にしろ、黄金比と言われていたものが、必ずそうではないことを知った。
そのようにして、黄金比に関する間違った見方を削り落とすと、なおこと黄金比の美しさに目を奪われる。
宇宙から私たちの身体の細部まで、踊り続ける1:1.618…。
私は思い巡らすほどに恍惚の人となってしまう。
もう、愛です……愛。
それは黄金比。フィボナッチ数列。
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1 φへのプレリュード
2 音程と五芒星形
3 星を指すピラミッドの下に
4 第二の宝
5 気だてのよい息子
6 神聖な比例
7 画家と詩人はどんな思い切ったこともやってよい
8 タイルから天空まで
9 神は数学者なのか?
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オウムガイの殻のでき方から宇宙の成り立ちにまで関与している黄金比。一方で、ある美術作品には黄金比が含まれているという様な信憑性の低い事例も指摘する。多くの人々を魅了する神秘的な数字。黄金比をなぜ美しく感じるのかという哲学的な考察もしている。
ダ・ヴィンチ・コード、ジョジョの奇妙な冒険、エジプトのピラミッドなどでちょくちょく顔を出す黄金比。敷居が高そうな本だが珍しく買ってしまった。
予想通り難しかった。というよりは、数学の歴史をメインで語られてしまい、参った。訳者あとがき、が最も分かりやすかった。それだけでも良かったかも・・・。
しかし、「黄金比」・「フィボナッチ数」・「フラクタル」の驚くべき関係性などの数学の面白さは十分感じる事ができた。こういうことを学校で教えてもらいたかったね。
黄金比は、一方ではきわめて単純な連分数でありながら、他方では数えきれないほどの複雑な自然現象の核心に存在することもわかっているのである。なぜだか黄金比は、単純さと複雑さが共存するところに、あるいはユークリッド幾何学とフラクタル幾何学が交わるところに、いつでも意外な登場を見せる。
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「ダビンチ・コード」で、黄金比やフィボナッチ数列が、さまざまな現象に現われるという説明があって、また謎解きの小道具として巧みに使われていたので、興味をもって、読んでみた。
イントロ部分がややもたつく印象があり、数日間そこで止まっていたが、数10ページ読み進むと、あとはノンストップで一気に最後まで読めた。
さて、内容だが、著者は「黄金比が何にでも現われる」的な神秘主義な世界観からは非常に遠く、黄金比がピラミッドやパルテノン神殿に利用されていることや絵画に利用されていることについて、極めて懐疑的である。
一方、純粋な数学としての面白さ、そしてそれが自然現象の思わぬところに現われることの不思議さについて、著者は、さまざまな角度から論じていく。たとえば、フィボナッチ数列とかが、フラクタル数学やインフレーション宇宙論にもつながる話は、「へー」だし、さまざまな統計上に現われる数字の不均等(具体的には1や2の現われる頻度が多い)が、なんとフィボナッチ数列で現われる数字の頻度と等しい、という話は、本当に「驚いた」。
最後には、数学はなぜ物理現象をかくも記述しうるのかについて、プラトン的解釈と進化論的解釈を示し、著者としては、そのどちらも統合した解釈を提案する。
というわけで、「黄金比」の本を読むのは初めてだが、おそらくはその決定版なのではないかと思わせるだけの説得力があった。
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黄金比だけでなく多岐にわたる。難しい内容の割には読みやすい気がした。
ヨハネス・ケプラーが6ヶ月弱の期間で3人も子を亡くすなど、実はとんでもない辛苦を味わっていたことを知った。彼に対しての詩人ジョン・ダンの言葉を紹介している部分が1番心に残った。
ケプラーは「天空では自分の知らぬ新しいことが起きてはならないと懸念した」。
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・「なぜだかわれわれは、薔薇によって、愛の言葉が心に届くように感じる」by インドの詩人・哲学者、ラビンドラナート・タゴール
・「変化しても私たちは同じように立ち現れる」対数らせんの図形の美しさに打たれ、ジャック・ベルヌーイ
・フィボナッチ数1,1,2,3,5,8,19,21,34,55,89,144...
向日葵や葉や種、パイナップルの葉序や松ぼっくりの鱗片は、重ならないように周期的に配置され、順に繋ぐとらせん状になる。8枚の葉で三周する場合8分の3葉序と言い、フィボナッチ数に基づく葉序が現れている。葉の付く角度は137.5度の黄金比(1:1.618)で、黄金角とも言う。この配置パターンは幾つかあるものの、限りがあり、わずかしかない。自然法則全てに共通ではないが、普遍的な傾向であり、ミクロサイズから銀河のサイズまでの規模に現れる。
・一粒の砂にも世界を
一輪の野の花にも天国を見、
君の掌のうちに無限を
一時のうちに永遠を握る
by ウィリアム ブレイク
ごく小さな砂粒のなかに
無限の景色が見える
ブレイクの感づいた本質が
フラクタルの図に垣間見える。
どんなスケールで見ても
同じ基本のフォルムがそれを支配し
遠くから見ようが近くから見ようが
特別なしるしが確かに存在する
もぅともっとちいさなものにま
常に同じ図案が見つかり
ブレイクの言う無限がある
・プラトン立体:
正四面体(火)、立方体(土)、正八面体(空気)
、正十二面体(水)、正十二十面体(宇宙全体)全ての面が形も大きさも同じ。
●エリオットの株式における波動原理:
・上昇トレンドは5つの波、下降は3つの波=フィボナッチ数。
・株価のパターンは人間の楽観と悲観のサイクル。上昇下降ジグザグの三角形にも黄金があり、変動曲線の各部分は全体の縮小コピーになっている=フラクタル幾何学。
・ベンフォードの法則
最上位の桁に1が現れる頻度は30%
2が現れる頻度は17.65%
3が現れる頻度は12.5%
4が現れる頻度は9.6%
5が現れる頻度は8%
6が現れる頻度は6.7%
7が現れる頻度は5.8%
8が現れる頻度は5%
9が現れる頻度は4.6%
これは現在も不正や捏造を暴くのに使われている。