紙の本
目に見えない不可欠なもの
2024/01/29 23:30
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投稿者:やさし - この投稿者のレビュー一覧を見る
早くこいつの声紋鑑定してっ! ともどかしさでイラつく部分も長かったけど、仮面はゆっくり綻び、じわじわと何かが傾き、最後は劇的に露呈するのを駆け抜けるように読んだ。これだけ長編のお話だと読んでいてすごくいいと思ったところも大筋に流されてしまう感じがある。中でも忘れたくないと思ったのは、家族を殺された青年の心にふとよみがえった家族で車に乗っている時の記憶、後部座席にうとうとしていて、父母が話がきこえて何の心配もない守らている幸せな感覚のところ。孫を失ったおじいちゃんも、もうなにも怖いことはないよと木から降りられなくなった孫を助けたことを思い出すシーンがあった。ひどいことは起こりうる。ひどいやつはいる。でも守りたい、助けたいと思ってくれる人もいる。それが大事で、肝心なことだ。それが得られなかった魂は、だれかを傷つけ壊しても己の魂を汚すだけ、逆に傷つけられたとえ殺されても魂はひとつも汚れないのではないかと思った。女というだけで奪われる側でいなきゃいけないのかという問いも何度も出てきたけれど、では奪う側に行くということじゃない。守りたい、たとえ不可能な願いでも、どんな災いからも守りたいという思いこそが幸福をつくるのだと思う。
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模倣犯5
2023/05/01 16:20
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投稿者:kotep - この投稿者のレビュー一覧を見る
兄の無実を主張した高井由美子が飛び降り自殺した!綱川は高井由美子の死を利用し、国民に高井和明の無実を訴える。そして、テレビの後悔番組でルポライターの滋子と相対する。そして討論の最中に綱川が・・・・・。
模倣犯の意味がやっとわかりました。長い作品でしたが読み応えは抜群にありましたね。あとマスコミの存在意義や報道の姿勢等に言及した点も良かったですね。マスコミの偏向報道にはもう飽き飽きですからね。違う作品も読んでみます。
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最後が快感
2023/02/04 09:33
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投稿者:あや - この投稿者のレビュー一覧を見る
犯人の鼻を明かした瞬間っ
こっちまでスカッとするような、
興奮でかぁーっと暑くなるような体感をしました!
長編ってやっぱり最高だ!
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様々な立場
2021/03/01 17:29
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投稿者:優乃 - この投稿者のレビュー一覧を見る
全5巻、でも長いとは感じられない程の作品でした。
先が気になってドンドンと読み進めてしまう一冊。
ただ合間の被害者への残酷な描写は現実性を描く意味で必要な部分とはいえ、やはり何とも言えない不快感を覚えたのは確かです。
被害者、加害者、またそれを取り巻く人間関係など、あらゆる立場から感じ取れる構成は作品に深みを与えとても意義のあるものだと思えました。
今の情報社会、本当の意味で第三者が賢くならなければいけない気がします。
一度は是非読んでみて欲しい作品。
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大作だとは思うけど
2021/01/16 11:55
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投稿者:hid - この投稿者のレビュー一覧を見る
どうしても、偶然の要素が多すぎるところが気になる。
関係者同士が「たまたま」出会うことが多すぎる。
テレビ局って、ワイドショーは別として、こういう事件を特集して番組つくるっけ?
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劇場型犯罪の幕開け
2019/11/16 08:49
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
事件の残酷さばかりではなく、片寄りがちなメディアの報道姿勢についても考えさせられます。閉店に追い込まれた豆腐屋を、ラストに持ってくるのも心憎いです。
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宮部ワールドがついに深い余韻を残して閉幕します!
2016/09/02 09:31
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
宮部氏の超対策『模倣犯』の最終巻です。真犯人は生きている!網川は、高井は栗橋の共犯者ではなく、むしろ巻き込まれた被害者だと主張して、「栗橋主犯、高井従犯」説に拠る滋子に反論し、一躍マスコミの寵児となっていきます。由美子はそのような網川に精神的に依存し、兄の無実を信じて共闘していきますが、その希望は潰えた時、自ら身を投げてしまいます。真犯人は一体、誰なのか!あらゆる邪悪な欲望を映し出した犯罪劇に、ついに深い余韻を残して閉幕の時が訪れます。
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複雑に絡み合う登場人物と、巧妙に仕掛けられた伏線
2016/05/19 20:52
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投稿者:まなしお - この投稿者のレビュー一覧を見る
ようやくこの長大な小説を読み終わった。この小説の中には様々な登場人物が出てくる。それらの登場人物が複雑に絡み合って物語は進んで行く。巧妙に仕掛けられた伏線も随所にちりばめられている。私が読んだ中では宮部みゆきの最高傑作だと思う。様々な登場人物の中で特に被害者のおじいさんである有馬義男のくだりは涙なしには読めない。長い小説だが読む価値は十分にある。
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犯罪の被害者、加害者の家族に焦点
2009/07/16 12:47
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投稿者:misaru - この投稿者のレビュー一覧を見る
全巻読み終えて、やっぱり長かった~。個人的には好みの宮部ストーリーではなかったけれど、被害者側、加害者側に関わらず、犯罪に関係した者達の家族の苦悩や心の傷がよく描かれていたと思う。普段報道を読んでも気の毒に思うもののあまり思いが及ばないけれど、残された者達の苦しみを考えるきっかけとなった。
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僕らもまた同じ穴の狢なのだ
2005/12/24 15:37
13人中、12人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:吉田照彦 - この投稿者のレビュー一覧を見る
僕はずっとアンチ宮部だった。名作の呼び声高い『火車』も、直木賞受賞作の『理由』も、ちっとも面白いと思わなかったし、少しも素晴らしいとも思わなかった。どこが良いのだろうとずっと疑問に思っていた。何年か前に『龍は眠る』を読んだあとだったか、もうこの人の作品は二度と読むまいと思った。それほど彼女の作品は僕にとって面白くなかった。
僕の眼には、宮部みゆきという作家は泥をかぶらない作家と映っていた。社会問題を積極的に取り上げ、ミステリという形式の中でそれを掘り下げていく手法は評価できるとして、「被害者も加害者も関係者もみんなこの社会の被害者だ」みたいなオチのつけ方がずっと気に入らなかった。
ある人がいった。世の中に語ってはいけないことなどない、語り方が問題なのだと。しかし現実問題として、語ることそのものが批判の対象となる場合がある。宮部みゆきという作家は、被害者の立場にも加害者の立場にも積極的に立とうとしないことによって、あらゆる批判の矛先を巧みにかわすズルい作家だと思っていた。だから嫌いだった。しかしこの作品によって、彼女もついに泥をかぶったなと感じた。それが著者自身の作為によるのか不作為によるのかは知らない。ともかく、泥をかぶったと感じた。
本書はいわゆる劇場型犯罪の顛末を描いた作品である。その中で、著者は主犯格の男に対する強烈な憎悪を描ききるとともに、劇場型犯罪の舞台装置の一部としてのマスコミのあり方や、観客としての一般大衆のあり方を痛烈に批判している。小説家といえども社会問題を扱う以上、自らもまたマスメディアの一端を担う人間であるという自覚が著者にはあると思う。その著者が社会の病理を切り裂くメスをマスメディアに向け、また自らの著作の読者層にも向けていることは非常に興味深い。この物語は純粋なフィクションであるが、宮部みゆきという作家の描く劇場型の犯罪小説に没頭させられてしまった時点で、僕ら読者は知らず知らずのうちに逃げ場のない場所に追い込まれ、後ろ指を指されていたのだ。おまえたちも他人の不幸を対岸から愉しんでいる大衆の一人なのだと、同じ穴の狢なのだと。
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長かった…いい、とは思うんだけどもいまいち犯人像(特に終盤の)が好みでなかったのでちょっとだけマイナス。
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短編(文庫一冊分も無いくらいの、短編集に入る程度の長さを想定)で同じネタだったら、返って「あっ!」と感じられたネタだったんだと思う。(その場合真犯人はそこまで伏せられることになると思うけど)
長編の分、「真犯人は最後にどうなるのか」とじわじわ盛り上がっていって、真犯人が暴かれる瞬間一気に高ぶる、という感覚が味わえたのは良かったかも。それは短編だったらあり得ないことだったろうからね。
文庫本一巻〜三巻の犯行の手口がエグイので、一概におすすめはしにくい。
面白かったけど、もう一度は読み返すことはないと思う。この小説のタイトルが何故「模倣犯」なのか、わかった今となってはそれでいいと思う。
正直なところ短編でみてみたかったな。
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ラストです。余韻を残してとカバーに書いてあったので、すっきりしない終わり方なのかと思っていましたが、なかなかいい終わり方だったと思いました。
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いや〜 すごい。
宮部みゆき作品は何冊か読んでいるが、特に相性が良いわけではなく挫折したものも結構ある。
ダメなものはダメ。って感じ(笑)
コレは面白かったな〜
しかし、、、それにしたってあんまり長い( ̄▽ ̄;A
個人的には最後の5巻が断然面白かったです。慌てるでもなくスローペースで読んできていましたが、5巻だけは一気読みしちゃいましたよ。
ここにたどり着く為に4冊読んできたんだなあ。と、なんだかしみじみと思いました(*⌒m⌒*)
以下、「ネタバレしちゃうかも〜」ですので、これから読もうと思われる方は見てはいけませぬ。
いやいや、それにしてもあのタイミングで犯人がわかるとは。
ミステリーって言ったらラストでババーンだと思い込んでいたよ(笑)
すごく面白かったけどやっぱり長いよね。特に最初。
私、2巻を読み始めてしばらくして、自分が今何の本を読んでいるのか忘れました( ̄▽ ̄;A
丁寧に話しが進んで行くから、次のシーンに行ったきり当分元には戻れないからね( ^∀^)ゲラゲラ
最後の義男にはちょっと涙でちゃったな〜
真一も良かった。
そして、高井和明。もうちょっと。あとちょっとだったのにね。ま、それじゃ話し続かなくなっちゃうわけなんだけど。
そして真犯人X
あたしが、もしこの男に正面きって出会ってたら絶対に見破るね。あの性格。( ̄ー ̄)ニヤ...
3巻を買うときに、5巻の「真犯人Xはまだ生きている!」という帯を見て、「だぁぁぁぁΣ(T◆T)そんなこと書いていいのか?書くなよ。わかっちゃうじゃん!」とストレートにショック受けましたΣ←ただの頭が悪いオンナ
何と言うか、、今回に限っては、本の後ろに書いてある、えーっとコレなんていうのかな?本の紹介? あれもうっかり読んじゃうと、チッ読んじゃったぜ。みたいな気持ちになったわ;;
は〜。それにしても大仕事を終えたって感じ(笑)
何か、しばらく本を読む気がしなかったりして(-_-;)
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文庫で全5冊の大部の作品、ようやく最終巻まで読み進めることができました。
以下にネタバレがありますので、これ以降をお読みいただく場合はご注意ください。
自分としては、何より「模倣犯」の意味が分かって(再読ですから「思い出して」のはずなのですが、まったく覚えていませんでした…)ホッとしました。
前畑滋子の単なる思い付きから出たブラフ、大博打にあっさり引っかかってしまったピース。純粋な悪だの舞台を演出だのと大言壮語をしていましたが、仮面を剥いでしまえばその下にあったのはただの目立ちたがりで誇大妄想の子供の顔、ピースは言ってみれば「厨二病患者」だったのでしょう。掲示板やSNSでの論争に顔を真っ赤にして反論しているうちにポロッと自分の個人情報を漏らしてしまう中学生そのものです。
挑発された犯人が思わず犯人以外知り得ないことを口走ってしまうというミステリは数多くあります(と思います…タイトルを挙げろと言われてもすぐに思い浮かばないのが困りものなのですが)。ピースの告白シーンはこの大作の最大の見せ場です(前畑滋子がCMの入るタイミングを気にしているのが、かつてヒロミがCMにキレたときと重なり、さらにその場を支配しているのは前畑滋子でもキャスターでもピースですらなく、スポンサーであることを改めて思い起こさせます)。
でも、自分にとって本書のカタルシスはこのピースの告白シーンにはありませんでした。それよりむしろ、それまで節制し、自制を重ねていた有馬義男が、ようやく泥酔して、ようやく大泣きをすることができたことに、読者としても、何か心の中に固まり、蟠っていたものがようやく溶けてどこかに流れ出していくことを感じることができました。
ピースの仮面の下の幼稚な小物を引きずり出したこと、例え死刑の判決が出たとしても、そこに至るまで小憎らしい言説をうんざりするほど聞かされなければならないこと、そして苦労して死刑を勝ち取ったとしても被害者は戻ってこないこと。有馬義男は悪との対決を勝ち抜き、最後の勝者となりましたが、彼が勝ち取ったのはそんなことです。
そんな彼にできることは、自らに課していた節制を解いて大酒をのみ、涙を流すこと。読者にできることもその姿を見て涙を流すことでした。
改めて振り返ってみると、善VS悪は第一部の有馬義男VS犯人グループ、第二部ではカズVSヒロミだった善VS悪の戦いのカードは、第三部では前畑滋子VSピースです。
前畑滋子は有馬義男やカズとは違い、大人ではあるものの地に足がついているとは言い難い職業に就き、昼夜逆転した生活を送り、大酒を飲んで二日酔いになり、夫から家を追い出されました。だから有馬義男やカズといったヒーローたちと違い、正面突破の横綱相撲でピースを追い詰めることはできず、奇策で一発狙いのハッタリを成功させた彼女は、マスコミに得られたはずの席を蹴って、いったんは夫婦の縁を切ると公言した夫のところへ、よく言えば地に足のついた生活へ、言葉を変えたら退屈な日常へと戻っていきました。
結局日常を一日一日大切に生きている者が一番偉い…そう言えば「蒲生邸事件」でも、「ズルせずに現在を一生懸命生き���いる奴が偉い」って言ってましたっけ。
どちらの話でも、そうしていない奴を引っ張ってきて、対比させて見て初めて日常のありがたさが浮かび上がってきます。地に足が着いていない幼稚な者どもに日常の幸せを崩されたら、また最初から平凡な日々を積み上げていくしかないのです。
…でも、自分勝手な理由で何の関わりもない人たちの命を、幸せを奪う身勝手な犯罪のニュースをよく見る昨今、それだからこそ幼稚な者どもを蹴散らし、叩き潰す正義のヒーローを、「クロスファイア」の青木淳子のような超越的な存在が悪者を処分していくさまを、お話の中だけでも見届けたい、と思ってしまう自分もいます。どちらのお話も宮部みゆきの作品として存在するので、両方読めるファンは幸せ、です。
哀れなピースについて。
幼い頃からこの世に居場所のなかったピース。最初に実の母を手にかけたピース。心を許せる友人が一人もいないピース(あのヒロミにすらカズがいるのに)。犯行にまったく罪悪感を持たないばかりか、逆にその舞台の「演出」を楽しんでいるピース。
当初は司直の手がまったく及ばないように見えていましたが、第二部でカズが指摘したとおり、その計画には多数の穴がありました。5巻に入ってからは、その穴が次々に見つかり、身辺に警察の手が伸びかけています。カズに少年探偵団みたいだと喝破されたとおりその計画は幼稚で独りよがりなものでした。
まさか真犯人Xが自らスポットライトの下に現れるまいという思い込みを逆手にとってマスコミデビューした彼ですが、強固だったはずのペルソナは剥げかけて、本来の彼は「反感」という形で塚田真一や、武上や、前畑滋子や、ニュースキャスターにすら見抜かれています。
ところで、前畑滋子のブラフに引っかかって、全国民の前で犯行を自白した彼が、その場から逃走して篭城したのはなぜだろう、と考えています。
単にまんまと引っかかったことを恥じ入ったのか。
塚田真一に電話をし、その心をずたずたにすることで堕ちていく自分の道連れにしたかったのか。
自分には、作者が有馬義男とピースが話す機会を作りたかったのだろうと思います。
飲んだくれて泣くことだけが救いだった有馬義男が得た、唯一の復讐の機会を。
ほんの少し斜視であることについて。
塚田真一の交際相手、精神の均衡を欠きがちな彼にはもったいないほど活発で勝ち気で行動的で思いやりのある水野久美ですが、彼女がほんの少し斜視であることを塚田真一がとても可愛らしく、神秘的だと思ったという一節がありました。
女の子の可愛らしさの表現としてあまり見かけることのないこれって、実はかなり初期(1995年)の作品「夢にも思わない」にも出てきます。
「夢にも思わない」を読んだときはアバタもエクボ、ということなのかな?と思っていましたが(もちろんそれもあるのでしょうけれど)、人とは少し違う何かが見えているのではないかと感じさせることがある、ということのようです。
言われてみれば納得なのですが、あまり思いつくことのない褒め言葉(?)です。
なお、作者は公式サイトである「大極宮」の「宮部みゆきへの質問と回答」に、カズの視覚障害について、『高井和明というキャラクタ���は、子供のころに、「自分の目に見えていたものが、他人の目に見えていたものと同じではなかった」という体験をしたことで、他者に対する深い優しさを抱いた大人へと成長していくことができたのだ――』と書いています。
いずれも、人と同じものを、同じ方向を見ているようで実は少し違うものを見ていることは、神秘的で、素敵で、他者への思いやりを育てる源泉なのだ…ということを考えているようです。
何にせよ、お気に入りのようなので、今後の作品でまたほんの少し斜視であることが可愛らしくて神秘的で優しい女の子の登場を、楽しみにしておくことにします。
最後に。
怖々再読を始めたこの大部の作品でしたが、作品世界にどっぷり浸っている間はこれ以上ない幸せな時間でした。もともと「もっと作品の世界にとどまりたい、終わってしまうのであれば最後のページを読みたくない」と感じてしまう性質なので、このボリューム感は満足以外の何物でもありません。また、ところどころにあるキツイ描写も、有馬義男の最後の勝利を信じてしっかり読むことができました。
そして、読了してしみじみ思ったのは、ストーリーを追うことから解放されて本を読むことの清々しさです。
今回は1~5巻を通して再読したうえで、5巻まで通読した後すぐにまた再々読しました。初読の時はとにかく先が気になってタイトル「模倣犯」の意味を覚えていないくらい先へ先へと読み進んでしまいましたが、今回はいろいろなことを考えながら読む余裕がありました。ストーリーの力が最大の魅力である物語の、ストーリーを味わい尽くした後のあれやこれやをたっぷり堪能するのは、とても贅沢な読み方です(だって、再読、再再読をしたこの時間で、積読が5冊ずつ崩せたはずです)。
たまにはこんな読み方も悪くありません。
…なんて思っていたら、前畑滋子とピースのその後を読むことができる「楽園」を再読したくなってきました。
あれ、初読の時は「模倣犯」の記憶がほとんど消えていたはずだよなあ、今この状態で読むとまた別の感想があるんじゃないかなあ…。
まだまだ積読が大量にある状態にもかかわらず一度読んだ本を再読するのは、正直順序がおかしいと思うのですが、それでも何とか時間を作って前畑滋子とピースのその後を見届けられないものか、と考えています。