紙の本
びんちょうタン 1 (ブレイドコミックス)
著者 江草 天仁
びんちょうタン 1 (ブレイドコミックス)
びんちょうタン(1)
ワンステップ購入とは ワンステップ購入とは
紙の本 |
セット商品 |
- 税込価格:2,493円(22pt)
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
このセットに含まれる商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
紙の本
これを健気と言わずして何と言う!
2006/02/10 17:11
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:カルバドス - この投稿者のレビュー一覧を見る
最近は特に聞かなくなった言葉、自分でも口にすることが少なくなった言葉、けれども心にジーンとくるものがある言葉、それが“健気(けなげ)”だ。年端もいかない女の子が、不遇に身を置きながらも懸命に生きようとする姿……カ〜ッ、泣けてくらぁね!これを健気と言わずしてどうするってんだ!
主人公のびんちょうタンは、その名の通り備長炭を擬人化した少女。両親はなく、山奥の一軒家にたった一人で住んでいる。生活していくためには幼いながらも仕事をしなければならず、街の中央役場に行っては、炊事や掃除といった仕事を斡旋してもらっている。大抵の斡旋先では好評を得るのだが、時にはあぶれてしまうこともあり、そんなときは独り途方に暮れるのだ。
びんちょうタンの他にも、ちくタン(竹炭)やれんタン(練炭)、くぬぎタン(クヌギ炭)といった少女が登場する。それぞれびんちょうタンとは違った境遇で、ところどころで絡み合うストーリーが面白い。また、備長炭の豆知識や利用法、クロスワードパズルなどもあり、本編とは直接関係ない部分も凝っている。
前述したように、びんちょうタンには両親がいない。関係者といえば、仕事に使う備長炭などを援助してくれるウバメガ氏くらいなもの。このウバメガ氏から贈られたお菓子の誕生日プレゼントを見て、「おめでとうわたし・・・」と呟きつつパチパチと手を叩いたり、楽しそうにお遊戯をしている子供達を見た後、独りで「ただいま」と「おかえりなさい」を演じて無言になるなど、寂しさを感じていると思われるシーンがちらほら。カ〜ッ、やっぱり泣けてくらぁね!なんて健気なんだコンチクショウ!
昭和初期のような、それでいて近代化しているような、ノスタルジックな雰囲気の中で紡がれる、ゆったりとしたストーリー。キーワードは“健気”と“清貧”と“無邪気”。この三つが物語の根幹にあるように思う。どれも、現代人が忘れかけているモノばかりだ。びんちょうタン達と共に、ゆっくりと思い出していきたい。