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- 税込価格:3,960円(36pt)
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紙の本
“心は美少女”のロボットが主人公。笑えるのに悲しいSFファンタジーです。
2006/02/02 10:31
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:カルバドス - この投稿者のレビュー一覧を見る
石油エネルギーの枯渇危惧は、前世紀から叫ばれていたこと。それが現実となったら、我々は暮らしていけるのだろうか。その時までには、代替エネルギーでまかなえるようになっているのだろうか。
実は、外燃機関というものは、なかなかに使い勝手の良いものである。本書の主人公ロボット達の蒸気機関(外部からの熱で水を温め、発生した水蒸気でピストンやタービンを動かす)が、その代表格。欠点は出力に比例するように装置が巨大になり、また、効率がさほど良くないところ。だが、決められた燃料を必要としないため、単純に水と燃える物があれば動くのだ。
本書の主人公は美少女ロボット姉妹で、前述したように蒸気機関で動く……おっと、訂正しておかなければ。美少女と思いこんでいる妹と、自分も妹もロボットであることを自覚している姉だと。姉は小柄で人間に近いが、妹は巨大で、それこそ鉄人28号のような姿。純真無垢な妹と世間一般の常識を理解している姉、そこにコソ泥(人間の男性)が加わった3人で、石油エネルギーが枯渇した世界を旅する物語だ。
妹は信じている。自分は悪い魔法使いに姿を変えられてしまったのだと。やがて人間に戻れると。巨大でいかにもな姿形でありながら、妹は少女の心を持っている。花飾りを作り、ウサギを愛でる巨大ロボット……そのギャップは可笑しくもあるが、信じているが故の悲しさも漂う。
いつか人間になりたい、そう願って叶ったのは、木製人形のピノキオだった。荒野を行く蒸気娘達にも、ハッピーエンドは訪れるのだろうか。