紙の本
基礎教育が安全な社会環境と安心の生活をもたらす
2017/06/14 04:04
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:TK - この投稿者のレビュー一覧を見る
『安全が脅かされる時代に』
公的機関による全ての人への基礎教育が、安全な(暴力的ではない)社会をもたらし、安心の生活をもたらすために必要。
第一に教育は確かに大切だと思う。
また、寛容性をもたらす教育が大切とセン博士は言っているが、寛容性は、場合によっては、惰性的で、他人の不幸に無関心な人間関係をもたらす可能性もある。
教育とあわせて大切なのは、どんな価値観、道徳観、宗教観、哲学観に基いた教育かということ。
同じ教育を受けても、習得したこと(手段)を、排他的な価値観に基いて活用するのか、暴力的な価値観に基づいて活用するのか、それとも、暴力を避け、一人ひとりの人間性を活かすために活用するのか、価値観と教育との組合せが重要だと思う。
紙の本
人権の教科書
2012/12/28 17:53
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:けんたろー - この投稿者のレビュー一覧を見る
難しい!けどためになった。
1Pごとの内容がとても濃かったです。
セン自身の意見に対する批判への反論も盛り込まれていた。
人権の解釈や範囲をめぐる議論がどのように行われてきたのかもわかった。
うん、読んで損はなし。
投稿元:
レビューを見る
内容はセンが講演や雑誌などに掲載した論文をまとめたもの。それぞれの内容自体はセンの基本的な主張を講演向けにまとめられたものなのだが、今回ばかりは、ちょっとこういう講演をまとめただけで本にするのはいかがなものかと思ってしまった。というのも、こういう講演本には、何らかのバックボーンや講演の背景をまえがきやあとがきで記しておくのが、新書として出版するのならば、いきなりセンの主張を知る人のためには必要なものだろう。なのにいきなり講演録ときたものだから、ちょっとどうかと思ってしまう。本として出すならば、もう少しセンの主張を1つのラインとしてまとめたものを出すべきだったろう。個々の内容についてはセンの別の本を読めば十分。
投稿元:
レビューを見る
新書としてはちょっとレベルが高く難しい内容でした。
とはいえ、センのメッセージが随所に詰まっていて、良書中の良書です。
インド人学者といして、冷静なアジア分析と、アジア(特にインド)への愛着を感じる!ヨーロッパ文化を理解した上での尊厳というのかなんというか。
数年後にまた読んで、そんときにはもうちょっとしっかり理解できるようになってればいいなーと思うんだけれども〜
投稿元:
レビューを見る
この前レビューした『思考のフロンティア 公共性』に名前があったので、読んでみようと決意。
「安全保障」と聞くと、9.11以降は、つい軍事面のことを想像してしまいがちだけど、この本はそれだけではない。(インドの核武装についての論考もあるが。)
以下、引用。
幸い、基礎教育を充実させ、その効力を拡大すれば、人間の安全を脅かすほとんどの危険にたいして、おおむね強力な予防効果を発揮することができます。(中略)最も基本的な問題は、識字力や計算能力がないこと自体が一種の不安であるという、根本的な事実とかかわっています。読み書きや計算、あるいは意思伝達ができないことは、とてつもない困窮状態です。(中略)学校教育を充実させることが何よりも直接的に役立つのは、こうした欠乏状態をじかに改善できるからなのです(p10)。
こんな時期だから、今まで3年間のことを考える機会が多いわけですが、大学に入って、いろんなゼミに入りながら考えてきたことはただひとつ。
社会に対して教育はどのような役割を担っているのか。そしてそのなかで教育ができることは何なのか。
いろんなアプローチから考えてきたつもりだったけど、だんだん自分の問題関心は「学校」にシフトしているような気がしている。
もちろん、学校がよくなれば社会もよくなる、などと短絡的に考えているわけではない。
ただ、なかば強制的にであれ、たくさんの人々を一度に集めて、その人たちに発信できる場は、そうそうない。
そう考えてみると、学校は、とても可能性を持った場所にも見えてくる。
グローバルな視点で見ると、この本で指摘されているような「基礎教育」が必要であることは間違いない。学校教育が「人間の安全保障」のために不可欠であることを改めて痛感。
投稿元:
レビューを見る
人間の安全保障に関する関連のセンのスピーチや論文を作者が適宜集めて和訳したもの。
human developmentは積極的なもの。
human securityは最低を保障する消極的なもの。
また、人間の安全保障とは少々離れる気もするが、「人権」に関するセンの基本的な考え方が載っているので有難かった。ずっときちんと知りたかった話なので。
投稿元:
レビューを見る
教育の重要性が確りと書かれています。
教育が行き届いていないところに、教育が偏狭的にすすんだところに、いろいろな問題が発生することが書かれている。
投稿元:
レビューを見る
やっと読んだ。去年買って以来、放置していた本。1週間ほどでちょくちょく読んだが、集英社は本当にセコい。後ろに英語で書いてあるのが、この本の正体。
つまり、ただのcollective essaysですよ。センの雑誌や新聞に載ったやわらか〜いエッセイ(まさにエッセイであり、論文等では全くない)と講演録を収録しただけ。別に人間の安全保障なんて一言も話していないしね。まあ、学部生、2年生までや一般の人が見る価値はあるかと思いますよ。センの考えがやわらかく書いてあるので。
投稿元:
レビューを見る
有名なアマルティア•セン博士が、人権や教育、グローバリゼーション、核兵器、持続的な発展等について、講演会で話したことや雑誌に投稿した記事をまとめたもの。不慣れな概念も多く、今のおれにはすらすら頭に入ってこなかった。
投稿元:
レビューを見る
宗教を中心にして文明だけで人を分類すること自体が政治不安を引き起こす。こうした見解では人はイスラム世界、西洋世界、ヒンドゥー世界などに単に属しているだけと考えられる。
人間の安全保障を人権の一部とみなす利点の1つは、権利にはそれに応じた義務が人々や機関に生じること。
本当の争点はグローバル化による利益の配分なのです。
投稿元:
レビューを見る
センの一般向けに書かれた小品を集めた論文集。各編が非常に短いため読みやすい反面、(これは仕方のないことだが)記述は表面的なものにとどまっている。
内容は至って常識的なものの、扱っている問題は、基礎教育や公共の場での議論の重要性、グローバル化に対する西洋の自己欺瞞、倫理観や義務の本質論等、と多岐にわたる。引用文献からも、深い教養が伺える。
特に目新しい議論はなかったけれども、新自由主義者の阿呆どもののために、経済学者がこういう真っ当なことを言っているのをみるだけで驚いてしまう。経済学者にもきちんとした方がいらっしゃるということがわかっただけでも大きな成果だった(勿論、経済学者にもまともな方は大勢いらっしゃるのだろうけれど)。
投稿元:
レビューを見る
[ 内容 ]
安全が脅かされる時代に、最も求められている「人間の安全保障」―紛争や災害、人権侵害や貧困など、さまざまな地球的規模の課題から、人々の生命、身体、安全、財産を守ることをいう。
著者のセン博士は、二〇〇一年に設置された「人間の安全保障委員会」の議長を緒方貞子氏と共に務め、アジアで初めてのノーベル経済学賞受賞者である。
本書は、今や流行語のようにもなっている「人間の安全保障」について、セン博士が、人間的発展、人権と対比しながら、その本質を語る小論集。
グローバル化や、インドの核武装についての論考も必読。
[ 目次 ]
安全が脅かされる時代に
人間の安全保障と基礎教育
人間の安全保障、人間的発展、人権
グローバル化をどう考えるか
民主化が西洋化と同じではない理由
インドと核爆弾
人権を定義づける理論
持続可能な発展―未来世代のために
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
投稿元:
レビューを見る
68冊目。「人間の安全保障」とは、人々が生活していく上での不安を取り除くこと。そのプロセスにおいて社会がどう関わるのが重要。グローバル化≠西洋化、人権を守る上で基礎教育の重要性、貧困・飢饉問題、人権の定義などに関する、センのエッセイが収録されている。自然法としての人権と立法化された人権の対比・考察が面白かった。生まれながらに人は権利を持つという「思想」には批判もあるが、私はそのような批判があることを知らなかったから。
投稿元:
レビューを見る
すげー本ですよ。「1+1=2」がなぜそうなるかというのが数学の根本にある問いだとしたら、「人権」というものがなぜなくてはならないものか。そーいうことを正面から、とつとつと語りかけてくるなんて本、そんなにナイですよ。
だから、おもしろいかおもしろくないかは、どこまで「1+1」に関心があるかで決まるという当たり前の話。すみません、オレはそこまで心がけよくなかったっぽい。
でも、個別の話としてはおもしろい話もいっぱい。民主化と西洋化は同じじゃない。民主主義の源泉がヨーロッパにしかないというのは間違いで、世界中の歴史にその萌芽があり、各国ではそれぞれ自国の「話し合って決めましょう」という伝統を大事にしなきゃいかんのよ、なんて話はすっごく面白かった。
センという名前はよく聞くけどどーいう人なんだろうとか、人間の安全保障ってナニソレとか、そーいう興味で読み始めたものだったので、所期の目的は十分達したと思う。
投稿元:
レビューを見る
(「BOOK」データベースより)
安全が脅かされる時代に、最も求められている「人間の安全保障」―紛争や災害、人権侵害や貧困など、さまざまな地球的規模の課題から、人々の生命、身体、安全、財産を守ることをいう。著者のセン博士は、二〇〇一年に設置された「人間の安全保障委員会」の議長を緒方貞子氏と共に務め、アジアで初めてのノーベル経済学賞受賞者である。本書は、今や流行語のようにもなっている「人間の安全保障」について、セン博士が、人間的発展、人権と対比しながら、その本質を語る小論集。グローバル化や、インドの核武装についての論考も必読。