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  • カテゴリ:一般
  • 発行年月:2006.2
  • 出版社: 平凡社
  • レーベル: 平凡社新書
  • サイズ:18cm/203p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-582-85309-9
新書

紙の本

UFOとポストモダン (平凡社新書)

著者 木原 善彦 (著)

なぜエイリアンは、優れた科学を持つ金髪の白人からグレイへ、そして節足動物へと退化しつづけるのだろうか。その意味するところとは? UFO神話、政府陰謀説を丁寧に読み解き、エ...

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UFOとポストモダン (平凡社新書)

税込 792 7pt

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商品説明

なぜエイリアンは、優れた科学を持つ金髪の白人からグレイへ、そして節足動物へと退化しつづけるのだろうか。その意味するところとは? UFO神話、政府陰謀説を丁寧に読み解き、エイリアンと人類の未来を予測する。【「TRC MARC」の商品解説】

著者紹介

木原 善彦

略歴
〈木原善彦〉1967年鳥取県生まれ。京都大学大学院博士後期課程修了。大阪大学大学院言語文化研究科助教授(英米語圏言語文化論)。専門は現代アメリカ文学・文化。著書に「トマス・ピンチョン」など。

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評価内訳

紙の本

UFOは世につれ、世はUFOにつれ

2007/03/25 14:11

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:GTO - この投稿者のレビュー一覧を見る

 この本を読むと、まずUFO神話は決して科学を越えることはできないこと。つまり、UFO神話に限らず、都市伝説的なものが、その当時の科学では説明ができない事象を、科学以外の方法で説明することで人を引き付けること。(その科学以外の方法には、似非科学も含まれる。)そして、人を引き付ける必要があるため、いつもその時代その時代の科学の流行を追わざるをえないのが分かる。

 なにが人を引き付ける源となっているかと言えば、人々の心の中に漠然と存在する不安である。その時代の社会が持つ不安である。それゆえ、科学が進歩したり、社会情勢が変化すると以前の神話は消え、新しい神話が生み出される。

 また、一般に信じられている情報も、一次文献まで溯ってみる必要があるということが分かる。
 未確認飛行物体
 =UFO(Unidentified Flying Object)
 =Flying Saucer
 =空飛ぶ円盤
 という等式が一般に成り立つ傾向があるが、最初の目撃証言にまで溯ると『「ブーメランのような形」の奇妙な物体は「受け皿(saucer)を水面すれすれに投げたときにはずむ、いわゆる水切りとそっくりの飛び方をしていた」』(p.12)なのである。

 つまり、その後、空飛ぶ円盤を見たという人達は、上記の証言が誤って、「円盤型の飛行物体を見た」と伝わったため円盤を見たのである。最初の報道が「猫型」飛行物体だったら、いま私たちはUFOと聞くとドラえもんを思う浮かべていたかもしれない。(まあ、それはないだろうが)

 ただ、都市伝説的なものは私たちの心の中のイメージに大きく依存していることは確かで、宇宙人のイメージを分類してみれば、人種差別さえ見えかくれする。たとえば、『猿の惑星』のサルはアメリカ人の日本人に対するイメージだと知っている人も多いだろう。

 そして、著者はこう予言している。『新たな異質なものは、災害や伝染病に対するパラノイア的な不安という形で虫かウィルスのような姿で現れることになるかもしれません。ウィルスはまだしも生物的な活動をするものですが、新たな神話の核にはそのような生命さえ必要ありません。環境ホルモンのような微小な分子レベルの物質が、新たな形で人々に不安を与えるかもしれません。』(p.192)

 見回せばすでにですよね。これは、『以前なら、一般に前提とされる、ある一つの「現実」に対して複数の「個人的価値観」が存在していましたが、現在はそれとは逆に、「個人的価値観」に基づいて各人が自分の好きな「現実」を選び取っている』(p.188)からだと、著者は看破している。いまは、自分は非科学的なことなど信じないとか、自分は現実に即した価値観を持っていると思っている人ほど、危ない時代だということであろう。

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2007/12/21 04:35

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