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商品説明
投げやりに始めたプロデュース業で、さまざまな同世代の依頼人に出会い変身する吉松喜一、40歳。生きることの困難と、その先の希望を見つめた感動作。【「BOOK」データベースの商品解説】
人生の半分が終わってしまった。それも、いいほうの半分が−。投げやりに始めたプロデュース業で、様々な同世代の依頼人に出会い変身する吉松喜一、40歳。生きることの困難と、その先の希望を見つめた感動作。【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧
真夜中のセーラー服 | 5-45 | |
---|---|---|
もどれないふたり | 47-87 | |
翼ふたたび | 89-128 |
著者紹介
石田 衣良
- 略歴
- 〈石田衣良〉1960年東京生まれ。成蹊大学卒業。「池袋ウエストゲートパーク」でオール讀物推理小説新人賞、「4TEEN」で直木賞受賞。著書に「東京DOLL」など。
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紙の本
新シリーズ誕生?
2006/05/30 11:19
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:カワイルカ - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトルからは『4TEEN』を連想するが、読後の印象としては『池袋ウエストゲートパーク』に近い。ただし、主人公は20歳の若者ではなくて40歳の中年なのだが……。
主人公の吉松喜一は大手の広告代理店を辞めてフリーのプロデューサーになったものの、仕事にありつけずに残り少ない貯金で食いつなぐ日々を送っている。毎日やるとこといったら自分のプロデュース業のPRのために開設したホームページの更新ぐらい。ところがこのホームページをきっかけにして仕事が舞い込むようになる。児童買春の容疑をかけられ転落したIT企業の元社長の相手をしてほしいという依頼や大学時代の友達の離婚をめぐる相談などおよそプロデュースとは無関係な仕事ばかり。だが、喜一は彼らと接触するうちに徐々に昔の輝きを取り戻してゆく。
登場人物は中年といってもまだ若さを失っていないし、人生を諦めているわけでもない。23年間ひきこもっていた男が社会に出ようと必死に頑張り、40歳までフリーターで生きてきた男が会社を設立する。彼らは決してかっこよくはないし滑稽だが、そのひたむきな姿に感動させられる。40歳は二回目の青春なのかもしれない。
フリーのプロデューサーというのは要するに何でも屋である。このあたりはIWGPシリーズのマコトと同じ設定である。マコトが池袋の街で発生する難事件を次々に解決してゆくように、喜一は同世代の悩みや困った依頼をこなしてゆく。これはIWGPの中年版なのだ。しかも著者の知り尽くした広告業界を扱っているので面白くないわけがない。この設定であと数冊は書けるのではないだろうか。とにかくこれ一冊で終わらせるのはもったいない。石田さんにはぜひ続編をお願いしたい。
紙の本
人生折り返し地点、コップの水はもう半分?まだ半分?
2009/01/14 10:51
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:空蝉 - この投稿者のレビュー一覧を見る
これほどジリジリ、ドキドキ(死語?)しながら読んだのは久しぶりである。いつの間にか引き込まれ、一生懸命応援している私がいる。
ラストのイベントに涙する主人公・喜一より前に、私が涙していた。
どうにもかいしょうのない中年の喜一。妻とはセックスレス、中途半端な悩み持ち、子供もなければ金も無い人生の折り返し地点40歳。
そんな彼が始めたプロデュース業はなんでも屋。
彼がプロデュースする困ったさんは、AV女優&落ちぶれ社長だったり、オタク新企業だったり、ニートだったり・・・と様々で個性豊か、いや豊か過ぎるアブレモノたちだ。そして彼らはみんな、40歳。社会に中途半端にアブレているしょうもない40たちなのである。少なくとも外野からはそう見える。
身の回りにもそんな人はたくさん居るだろうこんな世の中だけれど、しかし彼らは実は熱いものを心にまだ持っている。そう教えてくれる希望の一冊だ。彼ら40sが必至に求め、ギリギリのところで持ち続けている小さな光を、喜一は「プロデュース」していく。そう、これは彼ら自身の起死再生の物語。
著者自身が登場人物のように引きこもり期間があったことは有名。
しかしだからこそ、いわゆる社会的堕落した人間が再生するドラマを切実にかたることが出来る。しようも無い人生、貴重な時間を大幅に削ってしまった私だからこそ送れる人生がある。
さて、今作品で最も泣けるのは「はいそれまでよ」からラストまで。
職場の友人40歳が末期癌で、自暴自棄。けれどそうして初めて彼に愛を確信した女性。ほら、『死』という最悪の場面でさえ、生まれる希望がある。
彼の命を懸けたラストスパートに、涙する。
絶望している人も、中途半端に堕落している人も、なんだかぼんやり生きてる人も、ちょっと景気づけによんでほしい。