韓国道すがら 人類学フィールドノート３０年

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例えば韓国の映画やTVドラマを見ていると、「時代劇」的な昔の話と、「韓流」的な今の話に触れることはできるものの、その間を埋めるものにはなかなか触れることができない。歴史の本だと、前近代のこと、日本統治下のこと、朝鮮戦争のこと、といったあたりのことはわかっても、「漢江の奇跡」と言われた（開発独裁政権下の）高度経済成長期以後のことにはなかなか触れることができない。ましてや、国家・大都市を中心とする「大文字の政治・経済」ではなく、もっと人々の生活に近いレベルの「政治・経済」については。……そう思っていたところを埋めてくれるのは、文化人類学者の本だったわけですね。全羅南道・慶尚北道の農村や大邱市の露天商街でのフィールドワークは、非常に面白く読むことができました。韓国社会にとっての近代化・都市化とはどういうものか、という点を見るためのヒントを与えられた感じです。(20070327)