紙の本
表紙にある意味だまされる本です
2006/09/10 19:41
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:RIO - この投稿者のレビュー一覧を見る
怖い話が読んでみたいと図書館の司書に言ったところ表紙を見てこの本をすごく怖そうだと思ったらしくすすめられて、読みました。
まず一話を読んだ瞬間に思ったことは「だまされた」。確かに怖い話のような要素は多く入っていますが、それだけでなく、笑えるところがあってみたりほっとするところがあってみたりと不思議な本。とくに私が気に入っているのは夫婦のちょっと普通じゃないやり取り(?)のようなところ。お互いがお互いに心のうちに秘めた思惑を実行すべく腹の探りあいをしているところがなんとも滑稽な感じがして面白い。だけど笑えるようなことを探っているわけでもないので適度な緊張感もあり。
ちよの話のところはこの本の中でも一番に悲しくなる。
なかなか面白いはなしだし、主人公の男の人との程よい距離感がもどかしいようなのほほんとするような…と思っていた矢先にちよが実は…という流れ。
最近いい話をもてないな、と思う人や夫婦仲がよくないな、と思った人に読んでほしい。ちょっと自分について考えることができる話なのでお勧め。
紙の本
表題作の「押入れのちよ」だけでも大満足の一冊。シリーズ化して欲しいくらいの面白さでした。
2006/05/22 20:13
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:エルフ - この投稿者のレビュー一覧を見る
荻原浩さんの1999年〜2004年までに書かれた短編を集めた一冊。
表題は「押入れのちよ」になっていますし装丁がいかにも怖そうなのでどんな怪談話なのかと思っていたら、これが今までの荻原さんらしい笑えて最後はホロリとくるような荻原ファンにとっては大満足の短編なのです。
幽霊なのに「ちよ」は恵太が寝ると出てきていきなり置いてあったビーフジャーキーを食べてしまうのです。そして「うまいの」「これはなんの肉だ」「馬かな」と一人大満足する可愛らしい幽霊ですし、恵太は恵太で嫌なことは後回しにしちゃう性格なので頭の片隅では「幽霊」の文字が浮かぶもののあえて「幽霊」だとは信じずに「ちよ」と会話を始めてしまうのですからいかにも荻原さんに出てくる主人公らしい主人公。
そんなお気楽の恵太は頭のおかしい子が紛れこんだのだと思ったのでオニギリなどで手名付けて「ちよ」から名前や出身を聞くうちにやはり「幽霊」だと気付き悲鳴を上げてしまうのです。
そんな恵太を見て「ちよ」が言う一言。(流石にネタバレなのが書きませんが・・・)
これには思わず吹き出してしまいました。
人相学の分かる「ちよ」との同居生活が始まった恵太ですが、普通幽霊との同居だと怖いと思いがちなのに登場する「ちよ」が凄く可愛らしいのです。
この一話だけで一冊分の元が取れるくらい「荻原ワールド」の詰まった短編。
出来ればこの二人の同居話、続編が是非とも読んでみたいですね。
他には夫婦揃って相手を殺そうと企むブラックユーモアな一話や、子供の頃に出会った少年との哀しいけれども懐かしい一夜の出来事、殺人を犯した場所にやってきたのは珍客でにっちもさっちもいかなくなった男など、全く違うタイプの9つの物語を味わえる一冊です。
ただ最初の「ロシア」と「老猫」「介護」は私自身あまり好みではないので、最初の「ロシア」だけ読んで暗い気分にならないように、是非とも表題の「押入れのちよ」だけは読んで欲しいと思っております。
特に荻原ファンの方にはオススメ。
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「お母様のロシアのスープ」「コール」「押入れのちよ」「老猫」「殺意のレシピ」「介護の鬼」「予期せぬ訪問者」「木下闇」「しんちゃんの自転車」の9編の作品が収録されている作品集。 てっきり表題作の「押入れのちよ」、つまり押入れに住みついてるちよという名の幽霊と、それに気がついちゃった住人との心温まる交流が描かれた連作集だとばかり思っていたので、短編集なのに驚いちゃいました。 しかも、え??何これ?もしかしてホラー作品集?ホラーというよりは、奇妙な味わいのある作品集とでも言えばいいのか。 「荻原さんてこんな作品も書かれるのか。意外!」と思いながら、さくっと読了。「お母さまのロシアのスープ」 “物語の語り手となる人物が誰なのか”が、キモになる作品だと思ったら!そうくるか! 小説ならではの作品ですな。肉、肉、肉。肉が気になります。。。 「コール」 男2人に女1人の友情の行方。どうってことない話だけど、見せ方が巧い。この作品も、小説ならではですねえ。怪談ではあるものの、作者が狙ってるのはつんとくる切なさ。 p.57の15行目を読んで「えええええ!なんですっと!?」 慌てて冒頭に戻って読み返しちゃいましたともさ。見事にやられちゃって悔しい〜! 「押入れのちよ」 築35年のボロアパートに引っ越してきたら、そこには明治生まれのちんまい女の子、ちよがいた、、、。ちよと主人公の心温まる交流のようすがいいですねー。かるぴすとビーフジャーキーが大好きなちよが微笑ましくって、思わずにまにま。なので、思いがけないアレは、なーんか蛇足だったような気がする。ま、しっかと伏線があったにもかかわらず、まるで気がつかなかったけど(汗)。 なぜそこにちよが住みつくことになったのかとか、ちよのこれからとか、きっちり話に決着をつけて欲しいー!連作の続編希望〜♪「老猫」 わ、わ、わ!「年取った猫は、別の生き物になる」を地でいくような正真正銘の猫怪談。ラストに向けて、次第に緊迫感が高まってくところがたまりません。怖いっ! すべてを明らかにせず、曖昧を曖昧のままにしておくところなんか、なおさら!「殺意のレシピ」 夫婦仲が冷え切っている夫婦の最後の食卓。夫は妻を、事故を装って殺そうと企てるのだが、、、。ブラック。だけど、ドタバタコメディの感、強し。どっちもどっちなのね(苦笑)。中途半端で終えてしまってツマンナイです、はい。「介護の鬼」 タイトルが意味深なブラックな話。やや悪ノリしすぎと思わないでもないが、受け止め方が人によって異なりそう。人によってはホラーだったり、願望だったり(汗)。このタイトル、“介護してるうちに鬼になっちゃった嫁”かと読み始めて思ったけど、“介護されているうちに鬼と化した舅”なのかしら(汗)。どっちもどっちなので、どちらにも声援が送れない(汗)。むむむ。「予期せぬ訪問者」 シチュエーション・コメディ。つい過って愛人を殺害。死体をどうしようか思い悩んでるところに、清掃業者が訪ねて来ちゃったから、さあ大変!! 主人公に思いっきり感情移入してしまい、思わず一緒にあたふたあたふた(笑)。一難去ってまた一難のラストに、ついくすり笑っちゃいました(笑)。「木下闇」 私には15年前に行方不明になった妹��いる。妹がいなくなった親戚の家を15年ぶりに訪ねた私、、、。妹の失踪の真相をサスペンスタッチに描いた話。 真相は、引っ張った割にはある意味あっけなかったかな。すべて明らかにせず、含みを持たせたまま終えても良かったかと。ただ、くすの木の巨木が落とす影の濃さ、ひんやりした空気、木々のざわめきなどなど、何ともいえない雰囲気がいい。 直前の「予期せぬ訪問者」と文体も雰囲気もがらりと変わっていて、作品集内での配置の仕方もお見事。「しんちゃんの自転車」 「コール」と同様、怖い話ではあるものの、つんと切ない郷愁の物語。ただ、もっとはっきり女性のモノローグだと判るように書けば良かったのにと思います。それがちと残念。ちらり「朱川さんだったらどう書くのかな?」なーんて思っちゃった(汗)。 一編一編は確かに巧いんだけど、作品集としてまとめると、結構バラバラですねえ。9編のうち、1番好みだったのは「押入れのちよ」かな、やっぱり。 「お母様のロシアのスープ」「木下闇」「しんちゃんの自転車」のホラーだけどちょっと切ない話や、奇妙な味わいの作品も好み。筒井康隆風ブラックな作品や、怖がらせるホラーも巧いんですね、荻原さんて。意外な一面を垣間見た気分です。
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結構ダークな話が多数の短編集。
「コール」や「木下闇」も悪くなかったけど、何と言っても表題作「押入れのちよ」が良かった。ビーフジャーキーとカルピスに釣られて出てくる、下膨れで細目のちよ。その姿が可愛くて、ものすごくいじらしい。
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いろんなホラー(?)スタイルが集まった短編集。本のタイトルにもなっている「押入れのちよ」と「介護の鬼」は☆4。他は☆2〜3といった感じ。
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◆お母さまのロシアのスープ
◆コール
◆押入れのちよ・・・失業中で贅沢はできないと、敷金・礼金なし、管理費なしで家賃3万6000円のマンションに越してきた恵太。しかし引っ越したその夜にさっそく見てしまったのだ。おかっぱ頭の女の子を。
◆老猫
◆殺意のレシピ
◆介護の鬼
◆予期せぬ訪問者
◆木下闇
◆しんちゃんの自転車
以上9編の短編集。ホラーを集めたというが、わりとバラエティーに富んでいると思う。話によっておもしろい・おもしろくないの差が激しいかも・・・。【押入れのちよ】【殺意のレシピ】【介護の鬼】【予期せぬ訪問者】は好き。
◆押入れのちよ・・・恵太とちよ(幽霊)とのやりとりが、ものすごく可愛らしい。ちぐはぐな会話に笑わされて癒されて。最後除霊されなくてよかった。
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短編集。王様のブランチに影響され呼んでみたが、「老猫」と「介護の鬼」は受け付けなかったが、「コール」と「押入れのちよ」は面白かった。
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「お母さまのロシアのスープ」
スープについては薄々感づいてはいたのですが、双子についての真相には驚きました。悲しい物語です。しかし、やっぱり母は強し、ですね。
「コール」
じんわりと心に沁みました。悲しくて、美しくて、切ない物語。最後の一行で、胸をギュッと鷲掴みにされた感じです。でも、すごく好きです。
「押入れのちよ」
怖いけれど、ほんのりとした温かさもあります。ちよがとっても可愛い!こんな幽霊なら私も怖くないかも…いや、やっぱりちょっと怖いか(笑)
「老猫」
怖いと言うより不気味。何で猫ってこんなイメージ?愛猫家の私にとっては受け入れ難い物語でした…。
「殺意のレシピ」
シュールな笑いですね。夫と妻、それぞれの視点から見た相手の姿が面白かったです。その後、この二人はどうなったのかしら…。
「介護の鬼」
…これはえげつないです。善三も怖かったけど、苑子が怖い。怖過ぎます。本当に鬼以外の何者でもありません。
「予期せぬ訪問者」
どことなくコミカルで笑えました。「ダスクリーン」が何者なのかは途中で分かってしまったんですが、それでも面白かったです。
「木下闇」
ゾワゾワとする怖さでした。どこかで読んだことのあるような感じの物語でしたが、楽しめました。ただ、この一冊の中でのインパクトは少々、薄めです。
「しんちゃんの自転車」
しんちゃんの言葉が悲しさを誘います。夢物語のように儚い物語。でもしんちゃんはきっと、主人公にとっていつまでも大切な存在なんだろうな、と思います。
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2009.08.24. 若干ホラー色。やっぱり「ちよ」が1番かな。
2007.08.23. 表紙が怖いのよ。押入れから、市松人形のような女の子がこっちを見てる。。。ホラーかと思ったら、そこまでも怖くなくてヒトヒネリして落とす短編集。小さくまとまらない感じがよいです。1冊でいろいろと楽しめる感じが。やはり表題作の「押入れのちよ」がいい味。「ちよ」がね。★4つ
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最初から最後まで、ワクワク、ドキドキ、時に、ほんわかした気持ちになったり、恐ろしさに鳥肌が立ったりと、短編集で、こんなにも、気持ちを揺さぶられるのは、久しぶりの事でした。“しんちゃんの自転車”のしんちゃんや、“押入れのちよ”のちよに、切ない気持ちでいっぱいになった。“介護の鬼”では、自分の今の心の中とだぶって、少しだけれども、やましい気持ちが芽生えてしまった。恐ろしい話でした。
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文句なしにおもしろい。
ぞくりとする短編集ですが、その中には切なさがあったりと、すごい余韻を残す本。
あっとするようなエンディングもなかなか。
荻原浩の本は初めてでしたが、ほかにも読んでみたいと思わせる筆力です。
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面白いのとあまり面白くないのと。
「ロシアのスープ」なんかは、おぉ、そういうことだったのか!と驚きがあって面白かった。
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今ならこの物件、かわいい女の子(14歳・明治生まれ)がついてきます…。)この作品で荻原さんを知る。う〜んっ!納得の展開と面白さで満点でした。ちよの愛らしさにゾッコン
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短編集。読みやすい。ものすごく面白い、という訳ではないけれど、案外面白い。ひねりが効いていて結構好きです。
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ちよちゃんのお話が詰まってるのかと思いきや、関連のない短編集でした。ちよちゃん話で、一冊読みたいな〜。