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科学者という仕事 独創性はどのように生まれるか (中公新書)
著者 酒井 邦嘉 (著)
科学者という仕事を通して科学研究の本質に触れることは「人間の知」への理解を深める。科学者たちが残してくれた、真理を鋭く突くことばを手がかりに、科学研究、科学者について考え...
科学者という仕事 独創性はどのように生まれるか (中公新書)
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商品説明
科学者という仕事を通して科学研究の本質に触れることは「人間の知」への理解を深める。科学者たちが残してくれた、真理を鋭く突くことばを手がかりに、科学研究、科学者について考えてみよう。サイエンスの現場からの招待。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
酒井 邦嘉
- 略歴
- 〈酒井邦嘉〉1964年東京都生まれ。東京大学大学院理学系研究科博士課程修了。同大学大学院総合文化研究科助教授。理学博士。著書に「心にいどむ認知脳科学」など。
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紙の本
科学や研究への好奇心と興味、関心を引き出すために
2006/09/18 17:40
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:萬寿生 - この投稿者のレビュー一覧を見る
科学技術立国という政治方針が表明されてから、研究費の配分方法の変更や、国立大学や国立研究機関の独立法人化などが進められたきた。しかし、これからの若者に科学者や研究者という仕事は、魅力があり興味深いと思われているだろうか。中学生や高校生の数学嫌い、理科離れが今でも問題になっているようだが。また古文や漢文はもちろん日本語を満足に使いこなせない状態でもあるらしい。資源のない狭い国土の日本では、人間の知恵だけが資源である。さらに豊かな生活を求める以前に、現状の生活レベルを維持していくだけでも、他の国がすぐには真似のできない独創的な科学技術を創生し、外国に売っていかなければならない。そのような日本の中高生が、自国語での意思疎通も満足にできない状況では、心細い限りである。
そのような時に、科学や研究への好奇心と興味、関心を引き出すために、このような本が発行されたことは、時宜を得たことだと思う。好奇心を持ち、面白いと感じ、楽しむことが、仕事でも趣味でも良くするようになる秘訣である。良くするは好むに如かず、好むは楽しむに如かず。科学者、研究者とはどういう人たちか、どんな職業か、科学とは何か、分かるとは何か、どのようにして研究者になるか、どのように研究するか、模倣と創造との関係、不思議だと思うセンス、研究成果の発表、研究者間の競争と倫理、研究と教育の違い、等々。先人の言葉も引用解説しながら、科学や研究への好奇心と興味、関心を持たせようとしている。
高校生よりは、大学一、二年生を対象にしているようだ。
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「自分の強さを過信する人は自分の弱さを知ろうとせず,自己に向き合う時に目をつぶるしかなくなる」(80頁)
2007/12/24 17:54
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:BCKT - この投稿者のレビュー一覧を見る
第1章 科学研究のフィロソフィー―知るより分かる
第2章 模倣から創造へ―科学に王道なし
第3章 研究者のフィロソフィー―いかに「個」を磨くか
第4章 研究のセンス―不思議への挑戦
第5章 発表のセンス―伝える力
第6章 研究の倫理―フェアプレーとは
第7章 研究と教育のディレンマ―研究者を育む
第8章 科学者の社会貢献―進歩を支える人達
1964年(東京)生まれ。筑波大学付属高校卒業後,浪人・留年することなく東京大学理学部物理学科卒業(87年),東大大学院理学系研究科博士課程修了(92年,理学博士)と同時に医学部(助手),ハーバード大学医学部リサーチフェロー(95年),翌年MITでチョムスキーの元で研究,東大総合文化研究科(助教授,97年)。日本神経科学学会奨励賞受賞(01年)。「脳機能マッピングによる言語処理機構の解明」により第19回塚原仲晃記念賞(05年)。『言語の脳科学』(中公新書,02年,第56回毎日出版文化賞)。
すげぇ経歴。脳科学が専門みたいだが,同氏のHPをみると英文・和文で論文が多数。啓蒙的な著作も本書を含めて多い。本書各章にはアインシュタインから始まって,ニュートン,朝永振一郎,寺田寅彦,ダーウィンなど,典型的な理系科学者ばかりかと思いきや,チョムスキーも取り上げられている。根井雅彦(京大,経済学史)の理系科学者的翻案かという第一印象は崩れ,これらの科学者は囲み記事的な扱いで,主張に近そうな発言を引用する枕詞的に使っているだけだった。
「自分の強さを過信する人は自分の弱さを知ろうとせず,自己に向き合う時に目をつぶるしかなくなる」(80頁)という台詞は,かっちょいいと思います。
しょぼい経歴しかない僕が,すんげぇ経歴の持ち主に対してとても不遜な言い方にって申し訳ないが,著者に年齢の近い中年オヤジにとっては“だから何?”という感じ。それでも,中高生や大学生(とくに理系)には好適だと思う。なぜ“だから何?”的感想しか持てないのかというと,本書を鵜呑みにすると,最高の業績を残した科学者は同時に最高の人格者でもあったのだ的なことになってしまう。いやいや,実際は全員ではないよというのが僕の反論。能力と個人倫理や人格的魅力は別物だよというのが僕の印象。でも,酒井先生は立派な人だと確信しています!(^O^)/ (938字)
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もっと早い時期に読んでおくべきだった
2016/02/17 21:51
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:どんどん - この投稿者のレビュー一覧を見る
もっと早い時期に読んでおくべきだったと後悔した。いろんな気付きがあり、思い当たる節が多かった。大学院時代に出合いたかった一冊。
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これからの日本は科学者の時代。
2006/07/02 22:00
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:GTO - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本が真面目な研究者を勇気づけ、弛緩した研究者に説教するために書かれたものだと考えると成功だと言える。しかし、『才能ある人材を確保して科学研究者として育成する』(p.ii)のが目的であったとすれば、少し説教臭すぎる。著者も立派な科学者なのだろうが、自分の経験や意見に基づく部分が説教臭くなっている。若者を科学(研究)の道に引き込むには、歴史的な科学者達に関する余談をもっと増やすとよかったと思う。もちろんよきアドバイスもある(たとえば、『インターネットを通して賢くなるためには、その前に賢くなくてはならない。』(p.171)のような気の利いた警句もある)ので、すでに研究者を志しているならば、大学院に進む前に一度は読んでおきたい。まだ読んでいない大学院生がいたら、すぐ読むように。
理論ではなく人物、つまり科学者の生き様や歴史的背景に焦点を当てたことはよかったと思う。最近、伝記がうさん臭いものとして読まれなくなった。さらに、TV番組が歴史的人物に焦点を当てる時は、偉人としてではなく単なる奇人か変人だったんだよという面ばかりが強調される。そのような風潮に対し、この本は歴史上の科学者を正面から扱いかつ、余談にも触れているところは好感がもてた。また、途中引用されている文章はどれも素晴らしい。各章末の参考文献(引用文献)はこれでもかというくらい詳しいので、この本をきっかけに興味をもった本を読むと世界が広がるでしょう。
現在の科学の状況を知りたい人には『日本の科学者最前線』や『わかる!学問理科系の最先端』が参考になるでしょう。また、歴史的な科学者に興味をもった人には、化学者を中心に扱ったものとして『化学者111話』、数学者を扱ったものとして『天才数学者はこう解いた、こう生きた』、物理では『磁力と重力の発見』などをお勧めします。金、金、金の一獲千金儲けた者勝ちの社会が行き詰まり、これからは科学者の時代が来るでしょう。ただし、その時はエンデや武光誠がいうように科学者の倫理的責任がますます重くなっていることを自覚しましょう。それを思うと、網羅的なもの以外に『キュリー夫人伝』を今の若い研究者たちに薦めたい。
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研究的な仕事をするひとはだれでも,えるところがある本
2010/04/11 15:17
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Kana - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本のなかに紹介されている科学者のなかに物理学者がおおいが,生物学者や化学者も登場する. 科学者が成功する理由としてあげられている 「先があまり見えない方が良い」,「頑固一徹」,「まわりに流されない」,「牛歩や道草をいとわない」 などの性質は,著者も書いているように科学者だけでなくビジネスにも通じている. ふしぎなことをみおとさずに追及する態度も共通にもとめられているとかんがえられる. だから,研究的な要素がある仕事をしているひとであれば,だれでもそれなにえるところがある本なのではないかとおもう.
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理系がんばってちょうだい
2020/07/26 10:07
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Ottoさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
理系で大学院へ行こうとしている子供に読まそうと思って買った。その前に読んでみたところ、大学院がモラトリアムになっているとの指摘があり愕然とした。就職(社会に出る)前にとりあえず大学院に進学する、居心地のよい研究室で過ごすことが目的になっている。研究目的、目標があり、わき目も振らず研究三昧の日々を過ごす大学院生は少ないということだ。
科学技術の発展や人類の知見の拡大は、一般人は結果、応用が重要と考えているが、実はその裏には必ず研究者の格闘、ど外れた性格、生活の人間ドラマがある。各章の初めにニュートン、アインシュタイン、キュリー夫人、チョムスキーなどのエピソードを紹介している、興味深い。
さて、科学者、研究者としての心構え、研究者のセンス、倫理について息子はどのように読むだろうか。