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商品説明
息子が誘拐された。犯人は身代金の受け渡し場所に山手線車内を指定してくる。事件の裏に潜む衝撃の真実!本格ミステリの最高峰がここにある。【「BOOK」データベースの商品解説】
誘拐犯が身代金の受け渡し場所に山手線の車中を指定してきた。警察は容疑者を突き止められるか? 表題作のほか「ジャングルの虫たち」を収めた、緊迫感あふれる傑作ミステリ決定版。【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧
帝都衛星軌道 前編 | 7-95 | |
---|---|---|
ジャングルの虫たち | 97-235 | |
帝都衛星軌道 後編 | 237-348 |
著者紹介
島田 荘司
- 略歴
- 〈島田荘司〉昭和23年広島県生まれ。武蔵野美術大学卒業。「占星術殺人事件」でミステリ界に衝撃的なデビューを果たす。著書に「摩天楼の怪人」など。
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紙の本
島田久しぶりの★五つ。なんていってもトリックが大袈裟でないのがいいです。それに神経症的な石岡がいないのもいい。謎といえば、構成にあり、と私はおもうんですが
2006/07/16 18:23
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
確か新聞広告には、島田の自信作、風の発言が乗っていたと思います。それに相応しい迫力あるカバーデザインです。この手のものは、島田作品としては初のものではないでしょうか。ドキュメンタリ風の、重厚で迫力ある装幀は岩郷重力+WONDER WORKZ。タイトルを体現した写真は Space Shuttle-NASA/Science Faction/Getty Images。
目次を見ると、以下のようになっています。※( )内は私の補足
帝都衛星軌道・前編(初出 小説現代2006年1月増刊号メフィスト)
ジャングルの虫たち(初出 小説現代2004年5月増刊号メフィスト)
帝都衛星軌道・後編(初出 小説現代2006年1月増刊号メフィスト)
おお、挟み込みか、もしかして、はやみねかおる風の三部構成による連作?仕掛けはどうなる?ワクワク・・・
「帝都衛星軌道」
1999年3月18日、市ヶ谷駅前、五番町に建ったばかりのパール・ハイツの2階に住む紺野貞三、美砂子夫妻。一人息子で中学三年になる息子裕司、誘拐。紺野は中目黒のS信用金庫に勤務するサラリーマン、美砂子は専業主婦。女性と付き合った経験もなく、性格も暗くてうだつのあがらなかった貞三が見初めた定職屋の美人店員。結婚して16年。息子の命と引き換えに要求されたお金は15万円。
現金の引渡し役をするのは美砂子。服の下に超小型のピンマイクをつけ、携帯電話での会話を繰り返すことで警察に情報を知らせながらの現金引渡し。新宿のコインロッカーで見つけたのは、連絡用の普及型トランシーバー。携帯での連絡をあてにしていた警察は予想を崩され、必死で彼女の会話の断片から犯人の居所を探そうとするが。
「ジャングルの虫たち」
時代は現在。家に住んでいたのは中学生の頃まで、それ以降は五十になる今までずっとホームレスをしてきたという平栗修治は、喧嘩だけは手出しが早いものの、決して強いわけではない。頭もよくなくて学歴もつくることができず、会社なり店舗に正式に就職したことはない。勿論、仕事の覚えも悪い。
家出をして以来、ずっと簡易宿泊所どまり。仕事といえばトラックの運転手、日雇い労働者、オカマのマネージャー、チンピラ、クラブのボーイ、ドアボーイ。この五年間は体を悪くして病院を転々としている。その病院からも支払う金もなくなり、今は完全なホームレス。そんなある日、川べりで新聞を読んでいるとホームレスの男が病院で乱闘死した記事が。
まず、トリックが小さくていいです。確かに本のタイトルは今までの島田らしい大げさなものですが、誘拐犯が仕掛けたトリックは小さなもの。むしろ作者が読者に仕掛けたトリックが、わざとらしくなくて好ましい。私などは、後半を読みながら???と思ったものですが、なるほどなあ、と納得。
もう一編は、死んだ男が見せる騙しのテクニック、これもまたある意味小さな小さな技なんですが、これもリアリティがあっていいな、と思います。で、あらかじめ断っておきますが、「帝都衛星軌道」と「ジャングルの虫たち」はまったく別のお話です。私のように間違った期待の仕方をすると「くそ、島田のやつ、格好つけやがって」と詰まらない失望をしますから、弁えて読みましょう。
むしろ、読者にとって最大の謎は、なぜしまだなり出版社なりが、こういった紛らわしい構成をとったかではないでしょうか。初出では全編一括掲載だったはずで、この挟み込みは必須のものだったんでしょうか。少しも効果的ではない構成に謎は深まるばかり・・・
紙の本
バリバリ社会派、しっかりエンタメ
2006/05/29 22:17
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:PNU - この投稿者のレビュー一覧を見る
風変わりな誘拐を描く表題作前後編と「ジャングルの虫たち」の三編を収録するミステリー作品集。 これは社会派プチ・トンデモサスペンスというのか、純愛小説というのか、ネタバレそうで多くは語れないが、とにかく壮絶な奇想が結集した書物であるのは間違いない。あの誘拐事件がこんな結末を迎えるなんて。そして前後編の間に挿入されたあの中編にも、意味のないわけがなかった。あれとこれがああつながるとは?!驚きに打たれる。そう、全てはタイトルに堂々と示されていたのだ!
著者のファンならば既読のはずの「××事件」を彷彿とさせる事件がフィクションとして解決されたり、吉敷シリーズを思わせる真面目な刑事たちの苦悩と、男の理解を越えた存在としての女性など、いかにも“島荘らしい”展開で楽しめる。ミステリー的にトリックがどうのというより、大胆な展開と感情の表出で心ゆさぶり、読ませる物語だ。