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読割 50
紙の本
神様のパズル (ハルキ文庫)
著者 機本 伸司 (著)
留年寸前の僕が担当教授から命じられたのは、不登校の女子学生・穂瑞沙羅華をゼミに参加させるようにとの無理難題だった。天才さゆえに大学側も持て余し気味という穂瑞。だが、究極の...
神様のパズル (ハルキ文庫)
神様のパズル
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商品説明
留年寸前の僕が担当教授から命じられたのは、不登校の女子学生・穂瑞沙羅華をゼミに参加させるようにとの無理難題だった。天才さゆえに大学側も持て余し気味という穂瑞。だが、究極の疑問「宇宙を作ることはできるのか?」をぶつけてみたところ、なんと彼女は、ゼミに現れたのだ。僕は穂瑞と同じチームで、宇宙が作れることを立証しなければならないことになるのだが…。第三回小松左京賞受賞作。【「BOOK」データベースの商品解説】
【小松左京賞(第3回)】【「TRC MARC」の商品解説】
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紙の本
知りすぎた少女
2008/06/06 22:52
5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Living Yellow - この投稿者のレビュー一覧を見る
『ゼブラーマン』で哀川翔氏に着ぐるみを自作させた三池崇史監督が、今度は『カナリア』の谷村美月さんに宇宙を自作させる。それを見守る『リリィ・シュシュのすべての』(岩井俊二監督)の市原隼人くん。『相棒』映画版ですっかり涙目になった、その目に本作を原作にした映画のチラシが飛び込んできた。読まねば、読まねば。と本書を手にとった。読みやすい。著者あとがきで述べられているように『セックスとバイオレンス』は皆無。しかし空想科学的『愛と暴力』に満ちた佳作である。
肝心のしかけとなる仮説抜きにすいすい読めてしまう、というのは例えばホーガン、イーガンがお好きな方にはむしろ欠点だろう。しかし本書は小松左京賞の名に恥じぬ、真面目な大ボラ青春小説である。
『日本アパッチ族』以来の小松左京氏の営為は、「今、この人間社会に、何かを投げ込んだら(引き抜いたら)、どうなる?」という人間社会を実験室を見立てた作品群を軸にするとわかりやすい。『地には平和を』(日本がもしあの戦争を続けていたら?)、『紙か髪か』(紙が使えなくなったら?)、『こちらニッポン…』(世界から大多数の人間がいなくなったら?)などなど。氏に限らず、SFの基本要素ともいえるが、この「代入」の手つきの巧みさ、そこから繰り出される「大ボラ」の展開の大きさは世界的に見ても、氏の上を行く書き手はそうはいないだろう。
本作品も、そんな、小松左京氏を源とする「果てしなき流れの果て」に位置づけることができるのではないだろうか?
「もし宇宙の作り方がわかっちゃったら?屈折した天才美少女に?」
ただ。「大きな物語」の終焉というのはやはりSFにおいても他人事ではないようだ。「ホラ」の大きさに若干の不満が残った。もっと大風呂敷を広げてほしいという思いは、やはり世代的なものだろうか。
でも「セカイ」とくくって、いきなり説明をすっ飛ばしてインナースペースを拡げられるよりも。巨大研究施設の中での田植や、私立理系の就職活動を描きつつ、郊外のキャンパスで営まれる、本書のような「青春物語」の方に惹かれる。「セカイ系」の実写映画が少ないのも、そんな描写における「愚直さ」の欠如と関わりがあるのかもしれない。
継ぐのは誰か?
小松左京氏の全集は城西国際大学出版会から刊行中である。
最後に一つだけ。
水谷豊氏演じる『相棒』の主役は。杉下右京氏である。
いや、ちょっと言ってみたかったもので。
失礼しました。
紙の本
発想はとてもユニークだと思うが
2008/04/13 15:24
5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くまくま - この投稿者のレビュー一覧を見る
未熟な人間が周りに翻弄され道を見失いながらも、友人を得ることによって新しい生き方を見つける物語。この作品は最終的にそんな風に読めばよいのではないだろうか。
新しい基礎理論に基づいたSFと見るには、肝心の新理論は知っている理論をバラバラにしてつなぎ合わせた違和感を感じる。また、何の脈絡もなく新興宗教が出てきたが、それに対する解決は何も呈示されないのはいかがなものか。
物語の柱の一つに、宇宙が人間に作れるか否かをディベートするという部分があるが、物理の議論にディベートが適しているかどうかは疑問だ。科学の科学たるゆえんは再現性、すなわち、誰が行ったとしても、同じ条件ならば同じ事象が発生する、ということにある。ゆえに、議論するまでもなく、人間が答えを知っているかどうかは別として、命題に対する答えは既に定まっているはずだ。
一方で、ディベートは議論によって勝敗を決定する。この勝敗は、往々にして参加者の質の高さによって決定される。図らずも作中で主人公の一人が述べているように、言い負かせば勝利を得られるのだ。これは科学的なアプローチとは呼べないだろう。
色々と述べてしまったが、素粒子論という題材で作品が作られているのは、とても嬉しい。もし、研究者のリアルを追求しようと思うなら、もう少し実地取材をした方が良いとは思うが…。作者に対する最終判断はもう少し先延ばしにしたい。