紙の本
汚れていない怪獣
2019/04/20 15:24
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投稿者:hm - この投稿者のレビュー一覧を見る
サリンジャーは、「うまく」夢を叶えなかった人物に当たるのだろうか。酒、薬、社交とゴシップの、無数の宝石や汚れから逃げおおせたから。田舎に腰を据え姿を現さないことで(たとえそうだとしても、そこではそこで、サリンジャーにはサリンジャーにとっての闘いはあっただろう)。
書き上げられていたら、どんな作品になっていただろう。
完結したものを読んでみたいと思うけど、この三章で成る『叶えられた祈り』からも、語り手の目にしたルビーや金や、まだ汚れたいない怪獣を見せてもらえる。
叶えられた祈りに、より多くの涙が流される理由も。
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是非完成したものを読んでみたかった。
実在するセレブたちから仕入れた暴露小説ということで、暴露された側が非常に不愉快に感じたのはムリもないと思うけど、反面、誰がモデルで何がネタなのかもサッパリな者としては、小説としてこの世界を堪能できたけどな。
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表紙がホッパーのNight Hawksなので
その点に、まずはそそられる
内容はともかくとして、所有欲をとてもかきたれた本。
叶えられた祈り、トルーマン・カポーティ、ナイト・ホークス。。。
三段落ちのようで、とにかく表紙が美しい。
カポーティの才気は、ひしひし感じられるけれど、いかんせん登場人物が多すぎて、めまぐるしすぎる。やっと話がおもしろくなってきたかなあーっと思ってたら、
そこから話がぶつ切りになり、まったくつながりのないお話に。。。
その時点で、なんじゃこりゃー……残念。。。Ω\ζ°)チーン
端々に村上春樹の香りがぷんぷんする。
否、村上春樹にカポーティ臭がするっていうんが、正しいのでしょうか。
P.Bの行く末を最後まで読みたかった。
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未完だから、今でも手に入り読むことができる
と思ったり
完成したものを読んでみたい
と思ったり
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「叶えられなかった祈りより、叶えられた祈りのうえにより多くの涙が流される」「真実というのはもともと存在していないのだから、あらゆるものは幻想だということができる。幻想とは、実は、事実を明らかにしていくことによって生まれる副産物なのだが、完璧な真実という峰には近づけないにせよ、それに近いいくつかの頂上に到達できるのはこの幻想である」冷血で注目を浴びたカポーティが最高傑作として執筆をはじめたものの完結しなかった作品。汚れた人間の野卑さ、上流階級のいやらしさたっぷり。気に入った一言は、「どこにでもあるようなフォークを半ダース持っているより本当にいいフォークを二本だけ持っているほうが好きなの。」
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『冷血』を読みたくて書店へ。
あいにく、品切れ。
ならば!と、『叶えられた祈り』を購入。
本書はカポーティ唯一の未完の作品。
及び、彼の遺作となった作品。
私的には、
表紙のホッパーの絵が好きだったので。
セレブたちが激怒! カポーティを破滅に追い込んだ遺作。
ハイソサエティの退廃的な生活。
それをニヒルに眺めながらも、そんな世界にあこがれている作家志望の男娼。
この青年こそ著者自身の分身である。
また実在人物の内輪話も数多く描かれていたので、社交界の人々を激怒させた。
自ら最高傑作と称しながらも、ついに未完に終わったため、
残りの原稿がどこかに存在するのでは、という噂も。
著者を苦しませ破滅へと追い込んだ問題の遺作!
(「BOOK」データベースより)
「冷血」により、名誉を得た後・・・
破滅へと突き進んだ、プレリュードだと感じた。
なんともヤルセナイ読後感だ。
きっと、これを書くことによって
作家生命が絶たれたと言える作品だからだろう。
「社交界スキャンダル小説」を書こうと志すも
アメリカ社交界は、認めなかった。
「道化」と称され、カポーティは追放される…。
ヨーロッパとは異なるアメリカ社交界の
浅はかさが、悔しいかな残念でならない。
カポーティも派手に騒ぎすぎだが…。
せめて完結させてから追放されて欲しかった。
ゴシップ小説な感じが強く漂う。
漂うだけで、完結していないので
なんとも歯がゆくてモドカシイ。
社交界の様々を暴露しようとして、
自爆してしてしまったとしか思えない。
不完全燃焼。
本編プラス「編集者から」と「訳者あとがき」によって
なんとか完結へ持っていった作品だ。
ファンなら文句は無さそうだが
興味本位の私のようなタイプには
辛い作品だった。
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下ネタだらけなのに下品な印象が残らないのは私だけ?やっぱカポーティーが好き。某電脳コイルのサブタイトルネタなのかなこれ。
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「叶えられなかった祈りより、叶えられた祈りのうえにより多くの涙が流される」
完成したものを読んでみたいような、読んでみたくないような。
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「冷血」を書き上げて、カポーティはもう書けなくなってしまったんだなと感じた。未完である以上、ここに載っている三つの章だけから彼が何を書きたかったのか推測することは不可能なんですが、ある意味ではもう彼にとって「作家になること」は叶えられてしまった祈りだったのかもしれないと思った。人間の堕落、欲望、孤独が痛いほど感じられる一冊だった。
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以前途中まで読んでいて、放置していたのを再読。
カポーティは好きな作家である。
文章の随所に表現される闇が心惹かれるポイント、
のはずなんだけど、
歳を取ってきたせいか、
汚い描写に嫌悪感を抱くようになってきた。
汚い描写というのは、露骨な性欲や排泄など。
そういった意味で第一章『まだ汚れていない怪獣』はちょっと苦手だった。
し、よって恐らく私には公平な見方ができていない。
『ラ・コート・バスク』で表される有閑層のゴシップは、
今でももちろんセンセーショナルな内容だが、
恐らく作中の時代の最中であればより一層のインパクトを持っていただろう。
その意味で、この章の価値は時代に付随するものなのではないだろうか。
「こういった試み」という価値は普遍だろうが、
純粋な「小説としての面白さ」は、
また別にあるような気がする。
この手の闇(病み)は若い頃は好きだったんだけど、
今の私にはちょっとtoo muchかな、という感じ。
あるいは、今の時代が、
「破綻していく芸術家」というものをクールだと捉えないんだと思う。
そしてクラシックとして捉えるにはきっとまだ時代が浅い。
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カポーティの未完の遺作。ノンフィクションノベルの金字塔となった「冷血」に引き続き、ノンフィクション路線を狙い、実在の人物の内輪話が多く書かれている。カポーティとしては、プルーストの「失われた時を求めて」がヨーロッパのハイソサエティの実情を描きだしたように、アメリカのハイソサエティの退廃的な生活を浮き彫りにしていく、という野心があったようだが・・・。行き過ぎて(ここに書かれて自殺した夫人もでたという)、社交界の人々を激怒させ、カポーティは孤立し、破滅へと追い込まれたらしい。
ただ、実在する世界各国のレストランやバー、ホテルなどで上流社会の人々がどう過ごしているか書かれており、旅ガイドとしては面白いかも。
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トルーマン・カポーティが晩年に執筆していた遺作。
アメリカ上流階級の綺羅びやかさの裏で繰り広げられている現実を、
作者自身の分身とも見て取れる主人公P・B・ジョーンズの目線から綴っている。
ノンフィクション・ノベルという新たな金字塔を打ち立てた大作『冷血』のヒット以降、
カポーティ自身も社交界の仲間入りを果たしたのだが、
作中であまりにストレートに(時に実名を挙げながら)内部事情を打ち明けてしまっているため、その後社交界から追放。
次第にドラッグと酒に溺れ、自ら「傑作」と喧伝していたこの『叶えられた祈り』を完成させる間もなく、カポーティは世を去ってしまう。
本書では生前発表されていた『まだ汚れていない怪獣』『ケイト・マクロード』『ラ・コート・バスク』の3つの章が収録されている。
『ラ・コート・バスク』は前述の通り当時の社交界に大きな波紋を呼んだほどゴシップな内容なので、正直途中から読むのが苦痛だった。
しかし、全編にわたってゴシップな内容に終始しているわけではない。
特に、主人公にとって始めての「愛する人」ケイト・マクロードと対面しての一連の描写には息を呑んだ。
まるで自分がP・J・ジョーンズになったかのような錯覚すら覚えた。
読者を物語世界へするりと誘う不思議な引力、それがカポーティの文章の魅力だと私は思っている。
本作がこのような中途半端な形で遺らざるを得なくなったというのは残念でならない。
苦境にあえぐカポーティの心の叫びが聞こえてきそうな作品だった。
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未完なのがつくづく残念。
カポーティ一流の洒脱さと冷めた目線で綴られる前半と、
運命的な出会いをしてからの筆致の違いも興味深い。
彼の小説の主人公は人一倍孤独を感じており、
人一倍現実と求めるものとの理想に苦しんでいる。
それにしてもケイト・マクロード、ホリー・ゴライトリーといったカポーティの名づけのうまさ。
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「冷血」のカポーティの未完の遺作。
セレブたちの退廃的な生活を描く。
*また汚れていない怪獣
*ケイト・マクロード
*ラ・コート・バスク
個々で主人公が違うので、未完の長編というより短編集な感じがする。これらがどうつながって一つになるはずだったのか、読みたいと思う半面、これでよかったようにも感じる。なんか、開けてはいけない扉をあけてしまいそうだ。
中身は、本当に退廃的。
つか、これでもかと退廃的。
醜聞的でもあるし。っても、現代マスコミのスキャンダルを一杯見てる身には、これぐらいで問題になるのか、と思う。昔は、なんであれ上品だったってことで。
…人間のしたたかさがとても印象的。
「まだ汚れていない怪獣」のカポーティを思わせる作家志望の青年にしろ、「ケイト・マクロード」の貧しい生まれから結婚を機にセレブの仲間にはいっていく女性にしろ、現状にそのままでいたくないというパワーとそれをなんとしても実行するというしたたかさが、痛い。
うん、痛いのだ。
まるで、痛さが生きる証しのような…。
精神的自傷の物語のように感じる。
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「叶えられなかった祈りより叶えられなかった祈りのうえにより多くの涙が流されている」
とりあえず読んでみて損はしないです。
著者の晩年の作品でこの作品の影響?で、アルコール、ドラッグに苦しめられながら亡くなった事実上の遺作。
退廃的ハイソサエティなアメリカの上流階級の生活を赤裸々に書き、「ノンフィクション」の要素が多く、実名や登場人物も実在の人物を出し、それによって今まで過ごしてきた人々から反感、信用の損失、それによって作者が加速的に上記の通りに自我を失っていった作品。
結局未完に終わってしまい、最後までの章が書いていない。
もしそれがあるのならば是非とも読んでみたいです。
再読しても面白いと思います。