紙の本
パンドラの箱は一人に一つずつ
2008/02/24 19:36
9人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:空蝉 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は一人の少年の過去~現在を軸にしてはいるが、彼の成長や人間性をうたった物語などではけっして無い。描かれているのは 彼と彼の学校と、彼を取り巻く小さな社会と世界の住民。
一人の女性の死体の発見は、その夫、子供、子供の同級生、その人たちのその又知人たちを引き込んでいく。
少年はどんな願いも一つだけ叶えてくれる箱を見知らぬ老人に手渡される。
彼の願いは世界を滅ぼすこと。受け入れてくれない世界、馴染めぬ世界、死に切れなかった世界を、彼は破壊したかったに違いない。
彼が手にしたパンドラの箱(と私は呼んでいる)はしかし開かれなかった。
思いとどまらせたのは、単に虹ヶ原の夕日が美しかったからではあるまい。
彼はその光景を、あまりに美しいその夕日を過去に何度となく見ている。
幸せだった幼少期、かつて幸せだった記憶の象徴として美しく映える虹ヶ原の夕日。結局、大切な人との美しい思い出が世界を救ったと、そう思う。
誰もがそうした思い出を持つわけではない。
世界を一瞬で終結させるパンドラの箱があるわけも、また無い。
しかし誰もが心にパンドラの箱を持っているし、人はいつだって一瞬にして自分の「世界」を終わらせることは出来る。 だからもう少しだけ、生きてみよう。
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クイックジャパンで連載してたやつですね。これまでの作品でもっとも難度高いと思います。1回読んだだけではわからない断片がいくつもいくつもある。たとえば時系列、登場人物の連なり云々。いにおはたぶん誰か映画化するな。どの話も映画にできるよな。想像できる。でも、どれも越えられない、漫画を。強度が桁外れに違う。装丁もいいね。(06/7/30)
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短編集よりむずかしかったかな。
登場人物それぞれの視点に焦点があたりですんでいく物語。
こういう展開の仕方はとても不思議な感覚を呼び起こされる。
しかし、どうしてこうも登場人物が肉体を傷つけるのか。
少し不安なったし安直ではないかと思う。
まるでケータイ小説のよう。
(ある種ヤンキー分化の流れだという分析をどこかで読んだが。)
ただ、それでも、そうしたことに共感する人が
多い、ということにただただ、不安になる。
僕のセンチメンタルな感覚なんてきっと
リアリティのない何かなんだろうな。
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暗く、重く。生きていると辛いとか。
インパクトと余韻。凄いの一言。読み終わって、大きなため息をつき、そしてもう一度読まなければならないと感じる一冊。
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長期の連載作品。
過去と未来の交錯なのでしょうか。
難しかった。
何回も読まなければ理解できないかも。
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ひたすら暗い。空気が重い。救われない。
面白いけど、面白いっていう言葉を使っちゃいけない気がする。
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またまた浅野いにお、最新コミックです。
彼の作品の特徴は、1つ1つの話が連鎖して大きなストーリーを形成することなんやけど、だんだん話が複雑になってきてわかりづらい。しかも最初の頃よりバッドエンド色が強くなってきてない?夜中に読むと危うく人生を投げてしまいそうになるので注意。
しかも絵のタッチがほとんど同じやから、見分けがつか〜ん!子供の頃と成長してからが交差するからますますわから〜ん!
この作品は虹ヶ原という河原を舞台にした物語。
そもそもの登場人物が多いんやけど、何度も何度も読むと、もしかしてこのストーリーの根本は家族愛と恋愛なんじゃないかなと感じ始めた。表に家族愛とか恋愛とかは全然出してないし、普通に読むならどうしようもないことへの憤りとか現代社会への挑戦とかを感じると思うんやけど、そんな流行のものじゃなくてもっと根本的なことを描きたかったのかなと思った。
時を行き来するので、3回も4回も読み返してやっと理解できたような気持ちになって、ふと気が付きました。
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前にさらーっと読んだとき、漠然と怖くてきらいだったんだけど、改めて読んでみたら別にそうでもなかったです。なんか当たり前のことを描いているような気もした。
個人的には小松崎くんがすきなんですけど、別にそういう感想は求めてないんだろうなこの本。
絵が綺麗で、それがあんまりすきじゃないので、今後好んで読む作家さんではないかもしれません。
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買ったのは何年か前かな・・・読んでから二度と開くかわからんな(面白いとか面白くないとかそういう意味でなく)、と思ったけど、読み直してみたら意外とよかった。
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仕事帰りに、見つけた一冊。黒い表紙がやたらと目に付いて手にしてみたもの。
読んでみると、どこまでも救いがなくシリアスな内容でこれを読んだからとて明るい気分になれはしないかも。
内容の1ストーリーごとに見れば、現在社会のあちらこちらで起きている事件のようでリアルさを感じる。全体的には過去と現在を交差させており、それがストーリーの中に出てくる登場人物たちの悪夢なのか、彼らに実際に起きているものなのか読み手によって捉え方が違うように感じた。絵も丁寧で、細部まで描き込まれており、あちらこちらにでてきてヒラヒラと舞う蝶が美しく”綺麗な”印象を受けるが、スパイスとして儚い印象と生き物と無言の恐ろしさも強く主張しているようだった。
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件は予言した。その予言がどうなるのかと問うと「怖がらないで。すべてはあなた次第よ」とだけ言った。。。
「(前略)/レティクルの神様/ただひとつのお願いがあります/かなえてください/人も虫も夢も月も靴も街も薔薇もエメラルドも悪い人もやさしいあの人も総て燃えてしまえ/みんな同じになれ/ノゾミ・カナエ・タマエ/誰もが漂う/みじめな 灰に 還れ(筋肉少女隊/ノゾミ・カナエ・タマエ)」
。。。どんな願いでもかなう一つきりの魔法が入っている箱があれば、どんなに苦しくてもそれをバネとして生きていくことができるかも知れない。幸福も暗黒をも呼べる素敵な魔法が入っている、そんな箱の名前は「希望」という。さあ、素敵な「希望」の小箱を胸に当て、泣いたり寝たふりなんかをもう止めて、たとえどんなに世の中が不毛であっても強い意思をもって生きてみないか? そうすれば、いつか誰かを助けることができるかもしれない。いつか、どこかで、めそめそ泣いている昔の自分のような誰かを助けることができるかもしれない。その時君は思うだろう、生きていることは無駄ではない、と。泣いている昔の自分よ生き延びろ、と願うだろう。「怖がらないで。すべてはあなた次第よ」。。。すべては、そう、自分次第なのだ。自分の人生は自分で決めることができるのだ。だから泣かないで、あなた。今が暗黒だと感じていても。怖がらないで。すべての来たるべき「未来」は、あなた次第なのだから。
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ビレバンに久しぶりに行ったら知らん間に売ってて吃驚して、即買った。 暗い。なんか前とちゃうけど、ダークさがより濃いなー思た。んでもって、わけわからん。ぐるぐるぐるぐる。読んで、その日はちょい、鬱になったよ。私はもう1回読まなわからへん。 僕はどうしてだか
今日も僕だ。
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すごい大混乱した。妙な哀愁と歪み。読後強烈な虚しさが襲います。ブックオフに売られまくってるのは表紙とのギャップがありすぎるからかも。青年漫画絵。
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なんつーか圧巻。
作者さんも帯に「もうこんな作品は描けない」と書いてあるほど。
バランスの悪さとか、なんとなくせちがらく切なく過ぎていく日常と非日常。
重い過去を抱えて、それぞれの思いが交錯してる。
センチメンタルで郷愁漂う世界感。
切ないです。
苦しいです。
痛いです。
でも、たまらんです。
つか、ほんとにこの人絵が上手ね。
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「ソラニン」で有名になった、浅野いにおの長編連載作品。
かなり沢山の人間が出てくるのにもかかわらず、その一人一人の感情とかを丁寧に描いてるから凄い。
少々いたい感じもするけど、私は好きかな。