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商品説明
妊娠、恋愛、プロポーズ…女はいつも何かを待っている。中央線沿線の「マチ」を舞台に、小さな変化を「待つ」ヒロインたちの8つの物語。【「BOOK」データベースの商品解説】
女が求めているのはドラマなのだ! 妊娠、恋愛、プロポーズ…。女はいつも何かを待っている。中央線沿線の「マチ」を舞台に、小さな変化を「待つ」ヒロインたちの8つの物語。『オール讀物』掲載を単行本化。【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧
コドモマチ | 7-36 | |
---|---|---|
ヤルキマチ | 37-68 | |
ワタシマチ | 69-98 |
著者紹介
角田 光代
- 略歴
- 〈角田光代〉1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。「幸福な遊戯」で海燕新人文学賞、「まどろむ夜のUFO」で野間文芸新人賞、「対岸の彼女」で直木賞を受賞。
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紙の本
これはあなたの物語
2008/01/27 21:31
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:KOMSA - この投稿者のレビュー一覧を見る
恋する女はいつも夢見る。
角田光代の「ドラママチ」は、
いつも何かを「待つ」女たちの心の情景を描いた短篇集だ。
男に愛される女と愛されない女の違いはなんだろう。
恋愛、妊娠、プロポーズ、
女達はいつも何かを待っている。
中央線沿線の「マチ」を舞台に綴られる、
ちいさな変化を待つヒロイン達のドラマは切ない。
今は通過点なのだと、
自分に言い聞かせて日々を送り、
ゴールはそんなところにはないと更に言い聞かせる。
角田光代の描く日常は、リアルであり、
そのドラマは隣で繰り広げられていてもおかしくない。
陰毛に白髪を見つけて、さっさと離婚する友人。
子どもを作ることは、不要な別れをひとつ作り出すように思うこと。
それは明日の自分の姿であり、
あなたの物語でもあるのだ。
紙の本
女が「待つ」っていうパターン、ていうのは決して好きじゃあありません。どれも受身ばかりで、出てくる男はウザイし。でも、どこかでこんな話が、っていうリアルさが
2006/08/05 11:07
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
早稲田大学文学部の活躍は目覚しいものがありますが、若手の筆頭といえば、角田光代でしょう。といっても来年には、「ゴールマチ」の主人公と同じ年になるので、若手?とは思うんですが。作品の安定度、ばらつきのなさは、最盛期の重松清を彷彿とさせます。ダンナさんも可愛いし・・・
で、今回は、東京の中央線沿線が舞台で、駅で言えば新宿に近いほうから中野、高円寺、荻窪、西荻窪、吉祥寺、阿佐ヶ谷、三鷹です。特に吉祥寺近辺が狙い目です(なんのことだか)。で、話によって主人公は違うんですが、基本的には30代後半の女性で、未婚、既婚はありますが、原則子供はいません。そして、各タイトルの最後に「マチ」という言葉が付くように、彼女たちは基本として積極的には動きません。
いや、動いて失敗した経験があるから動かない、というか。でも、現状に満足しているわけではありません。不満を抱きながら、じっとしている。その姿勢が「待ち」。吉田浩美・吉田篤弘(クラフト・エヴィング商繪)の手になる装丁は、タイトル文字の色こそ美しいですが、いつもほどのキレは感じません。中央の人物が、らしくない・・・。さて八つのお話の紹介です。
子供が欲しい、そのために会社勤めを辞めて二ヶ月、そんな私がいまやっているのは、夫の恋人を見張ること。相手の名前は平田庭子、推定年齢28歳、武蔵野市吉祥寺東町の、小さなアパートに住みながら、西荻窪のクリーニングやで働いている女「コドモマチ」、不倫をして10年以上たつ私は、最近すっかりやる気がない。職場でも家でも、食事でもデートでも。それでなくても大きな身体は、どんどん太る。友だちの離婚話に興奮はするけれど、それも続かない。高円寺で彼を待ちながら「ヤルキマチ」。
自分が美人ではないのか、と気付いたのは高校生のとき。ミスいばらきに選ばれ、ミス日本では最終選考までいった。そしてモデルに。25歳を過ぎて仕事も減って、住むところも古いアパートに変った。でも言い寄る男はまだいる「ワタシマチ」。自分と結婚していたかもしれない男が、待ち構えている間に友だちと結婚してしまった。二人の新婚家庭に招かれた私は西荻窪で「ツウカマチ」。
40歳になったばかりの私は三鷹にある喫茶店の経営者。で、毎日心待ちにしている一回り年下のお客さんがいる。そんなある日、結婚離婚を繰り返す幼馴染が現れて「ゴールマチ」。6年付き合っている彼の家に騙されて連れて行かれ、何となく結婚することにされてしまった私は、ズルズルと人生が決まっていくのが面白くない。憧れていた彼もただの男になってしまい、それが不満な私の「ドラママチ」。
家族全員から嫌われている義母、みんなの心にあるのは、殺してしまいたい、という気持ち。でも私が思うのは、死んでくれないか。親の姿を見てきただけに子供を作ろうとして来なかった37歳の女の「ワカレマチ」。アルバイト先で私の心のなかで蠢くのは、やりたいやりたい、という思い。女にだって性欲があるという事実を分かろうとしない夫に苛つく37歳の私の「ショウカマチ」。
マチ、の姿勢ですから、読んでいてモドカシイ思いがします。例えば、この程度の男にササゲルカ?って思う「ワタシマチ」の私。なんでそんなにガサツな大声男とするかな?っていう「ツウカマチ」のワタシ。そんな身勝手な男なら別れろよ、って思う「ドラママチ」のわたし。
でも苛々までは行かない。理不尽な!と歯噛みすることもありません。ただただ、心が重くなる。ただし、どの話にも向こうが少し明るそうな気配があります。多分、それがあるから爆発しないですむ。これぞ角田、といっていいでしょう。
紙の本
待つという時間
2006/10/17 15:42
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ゆう - この投稿者のレビュー一覧を見る
何かを「待って」いる30代後半の女性を主人公に、日常の一片をリアルに描いた八編。
たいした事件は起こらないのだが、ありふれた日常の些細な出来事により、黙っていれば見過ごしてしまうような微妙に揺れる女心がリアルに描かれていた。
「子供を待つ」「別れを待つ」など、何かを「待つ」という行為は、妥協や諦めを繰り返す時間のようにも思えた。
各編ごとに喫茶店が出てくるのだが、それぞれの女性が待っている時間と心境を具現化したものが、その喫茶店の様相であり、雰囲気であるようにも思えた。
手放しで面白かったとはいえないが、心にじわりと何かが滲むような、言いようのない余韻が残った。
紙の本
何かを待っている
2006/10/19 21:23
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オクヤマメグミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトルに付けられた「マチ」は、「街」のことなのだと単純に思っていた。実際中央線沿線の街を舞台に物語が描かれている。
本書はそんな「マチ」をテーマにした短編集だ。
主人公は多くが30代半ばの女性。
前半の何話かは重くて暗い内容が多く、読み進めるのが辛かった。
ある意味、物語のページ数以上の重さを感じた。
それを打破したのが表題作の「ドラママチ」だった。
閉塞感でいっぱいの冒頭部分を読んで、またか…という気持ちにさせられたが、最後の最後でパッと切り替わった。
正にドラマチック。
恥ずかしさで憎まれ口を叩きつつも、本当はこんなドラマを待っていたのだ。
派手な展開は特になく、180°逆転するようなドラマではないけれど。
この暮らしも今のままでも充分じゃないの、といとしくなるような物語だった。
「ドラママチ」「ワカレマチ」の2話が印象に残っている。