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商品説明
極悪刑事にかけられた執拗な罠。ヤクザも南米マフィアも手玉にとる男の前に最強の刺客が現れる。警察暗黒小説。【「BOOK」データベースの商品解説】
ヤクザすら好人物に感じられる悪徳刑事・禿富鷹秋に巧妙に仕掛けられた執拗な罠。ヤクザも南米マフィアも手玉にとる男の前に最強の刺客が現れる…! 息を呑む展開のシリーズ完結編。【「TRC MARC」の商品解説】
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紙の本
ま、新聞で絶賛するほど凄いか、っていうと???なんですが、シリーズにこういう形で幕を引くって言うのは、ありかな、って思います。そこを評価して★五つ
2006/09/12 20:45
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
長く付き合ってきた逢坂ですが、最近はスペインを舞台にした作品が、単体としてだけでなくシリーズものとしてもただただ長くなってしまい、内容が薄くなってきている感が否めません。その一方で、『重蔵』や、この『禿鷹』は作品そのものの長さもあるのでしょうが、新鮮度が失せていません。『重蔵』などは、もしかすると池波の『鬼平』に匹敵する代表作になるのでは、と期待するほどです。
ま、『禿鷹』については、『禿鷹の夜』『無防備都市 禿鷹の夜Ⅱ』と読んできて、今回が三冊目。そうか、これで完結か、と思ったのですがbk-1で著作を検索していたら、第3作として『銀弾の森』という未読の作品があることに気付き、愕然。これってヤバクナイ?だって、完結にむけての伏線はってあったら、どーする、ドースル?
ま、『銀弾』が2003年の出版だから、3年がかりの伏線っていうのもないだろうなあ、もう完結篇、読んじゃったし、などと思いながら本の紹介に入るわけです。うーん、何で今まで見落としていたんだろう『銀弾の森』、もしかしてロバート・B・パーカー『銃撃の森』と勘違いしていたりなんかして・・・。ちなみに初出は「週刊文春」2005.1.27日号〜2006.1.19日号。
で、ブック・デザインですが、正直、カバーの画はたいしたことはありません。これで手出すのはシロウトだな、なんて思うわけですが本を開くと、感心します。何がって、各章につく挿絵が楽しいんですね。線描がどこかレトロで味がある。どちらかと言うと、このまま怪人二十面相が出てきても不思議じゃない、そんな気がします。そんな装画・挿絵は渡邊伸綱、装丁は関口聖司。
で、全体は、名前が伏せられた男同士の会話で始まるプロローグと、禿鷹への誰かの語りかけで終わるエピローグに十章が挟まる構成になっています。
主人公は神宮警察署・生活安全特捜班の警部補 禿富鷹秋です。同僚の警部補 御子柴繁も、禿富に利用されるかたちではがありますが、予想外の活躍をみせます。それに対して今回は敵役として凄い奴が登場します。それが神宮警察署に新たに赴任してきた警部 石動寿満子です。どう凄いか、って、まあ獣ですよ。で、彼女と一緒にきたのが二枚目の警部補 嵯峨俊太郎です。
禿富の陣営を警察署以外の部分から書き上げれば、まず渋谷に根を張るヤクザ組織・渋六興業社長の谷岡俊樹がいます。でも、直接、禿富と接触するのは同じ渋六興業の常務・総務部長の水間英人や常務・営業部長の野田憲次です。それに〈サルトリウス〉のママの諸橋真利子や、〈みはる〉のママの大森マヤが絡みます。
次が敵対する非警察の人々ですが、今までも大規模な日本進出をはかりながら禿富に煮え湯を飲まされてきたマフィア・スダメリカナ(マスダ=南米マフィア)のコマンダンテ(指揮官)ホセ石崎、アジュダンテ(副官)寺川勇吉、故ホルへ飛鳥野の愛人で禿富を恨むボニータがいます。そして敷島組から寝返った男・川野辺明がいます。
ともかく、今回のお話を一言で表現すれば、石動寿満子、に尽きます。ともかく強烈です。あくが強すぎて、ちょっと戯画化が過ぎるんじゃあないかとも思いますが、彼女抜きにはこの完結篇はなかったといっていいでしょう。しかも、予想外の壮絶な結末。無論、こうなるだろうと予想できないわけではありません。でも劇的です。
ま、新聞評のように、そこだけを取り出して傑作扱いは噴飯でしょうが、悪くはありません。ともかく、シリーズものに決着をつけるには、これくらいの荒療治が必要で、うまくやったな、というところでしょう。4作を順番に読むことがこの作品を楽しむ絶対条件。あっという間に読み終わること、間違いなしです。