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紙の本
ドイツ病に学べ (新潮選書)
著者 熊谷 徹 (著)
GDP世界第3位を誇り欧州経済の牽引車だったドイツが、いまやEUのお荷物となった。失業者は530万人、消費税は19%へ。日本はなにを教訓にすべきか? 欧州の経済大国が患う...
ドイツ病に学べ (新潮選書)
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商品説明
GDP世界第3位を誇り欧州経済の牽引車だったドイツが、いまやEUのお荷物となった。失業者は530万人、消費税は19%へ。日本はなにを教訓にすべきか? 欧州の経済大国が患う慢性的「先進国病」を分析する。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
熊谷 徹
- 略歴
- 〈熊谷徹〉1959年東京生まれ。早稲田大学政経学部卒業。NHK報道局国際部、ワシントン特派員等を経て、フリージャーナリストとしてドイツ在住。著書に「住まなきゃわからないドイツ」など。
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日本の本質問題に切り込んでいる
2006/09/02 17:35
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:北上川 - この投稿者のレビュー一覧を見る
熊谷徹著「ドイツ病に学べ」を読んだ。20世紀後半、経済の優等生といわれたドイツと日本。世界のものづくり大国でもある。80年代末から、双方ともおかしくなり始めた。日本はバブル。ドイツは東ドイツの合併。90年代では、ドイツの経営者は「日本病はいつ治るか」と問いただしたそうだ。
今は、ドイツ病のほうが深刻になりつつあるようだ。もっとも両国の病は先になり、後になり、進行していると言う理解が正しいだろう。
両者に特徴的なのは「甘い病」だ。糖尿病と似ている。税金、労働コストの高さと国際競争力の低下。特に教育水準の低下であろう。国家に依存するこころがリスクや変化を嫌う態度を生み、ハングリー精神を奪うと筆者は指摘する。それは、そのまま、わが国にもいえよう。名車メルセデス・ベンツはドイツ国民の評価は30位以下という。相次ぐ、電気・電子系の故障、リコールが相次いでいるようだ。誰しも子供のころ夢に見た、模型会社メルクリンも危ないようだ。
EUの拡大は企業が安い人件費を求めて、遊牧体質になり、ポーランドや、チェコ、あるいはバルト諸国に工場を建設する状況になっているようだ。2年から、4年で変わる、新聞・放送の特派員と違って、ヨーロッパ社会に根を下ろし、16年も定点観測をしている著者の筆致は鋭い。国の病は国民の精神の病にある。「甘い病」は一般に不治である。ただ、糖尿病と同様、どう付き合うかがポイントだろう。教員や、学生に読むことをすすめる。そして、自らの病に気づくことが、本人たちのためだろう。