紙の本
こういう本に出会えるのって実はとても貴重な体験であり、嬉しい誤算である。
2006/10/06 14:56
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:yama-a - この投稿者のレビュー一覧を見る
仕事のために読んだ本なのだが大変面白かった。そういう本に出会えるのって実はとても貴重な体験であり、嬉しい誤算である。
とかくビジネス書というものは見掛け倒しで中身の薄いものであることが多い。たいていは個人的な成功体験や単なる思いつきに支えられた(あるいは、がんじがらめになった)狭量かつ牽強付会なものであったりする。
それに対してこの本は、ロングテール理論の提唱者である(統計学の理論からロングテールという用語を持ってきてマーケティング理論に移植した)クリス・アンダーソン氏自らが著者であることが第1のセールス・ポイント。そして彼が長年ワイアード誌の編集長として若者文化に触れてきたという経験と感覚を十全に活かしているということが第2のセールス・ポイント。さらに、決して片手間に書かれたものではなく、何冊もの専門書を読んで勉強し、時間と手間をかけて資料を集め、綿密に検証した上で構築された理論であるところが第3のセールス・ポイントとなっている。
だから非常に説得力がある。そして面白い。
昨今巷間で語られているロングテール理論なるものがよく取り違えているのが、単なるテール信仰になってしまっているところである。ロングテール理論と言いながら、実際のところはビッグヘッド&ロングテール理論なのであって、ニッチ商品の長い尾だけを揃えても、顧客は寄ってこないし、たまたま訪れた客は戸惑うばかりであり、決して売上げは増大しない。──さすがに提唱者自らの著書であるだけに、そういうこともきっちり書き込んである。
これは大変面白くためになる本である。はたして bk1 の経営者の皆さんもお読みになったのであろうか?
紙の本
「尾っぽ」が描く新しい世界を遠くから眺めて愕然とする事
2006/10/28 10:32
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くにたち蟄居日記 - この投稿者のレビュー一覧を見る
最近はやりのロングテールという言葉を作った方の著書である。
副題が『「売れない商品」を宝の山に変える新戦略』という いささか即物的なものになっているのでいわゆるビジネス書かとも思って読んだが どうしてどうして 中々著者の教養の香り高い一冊である。
ロングテールとは 卑近に言うと 「インターネットが齎した商流と物流の革命」が齎した 全く新しいマーケティングということになるかもしれない。但し 本書は更に その本質に迫ろうとしている点で 優れて 現代社会論となっている。
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一体 WEB2.0関係をいくつか読んでいると ある意味では社会論であり 心理学であり 哲学にも似た部分があること驚く。考えてみれば 人が何かを消費するという経済行為は 心理学的、哲学的にアカデミズムが分析してきたのが20世紀だったと思う。それが一気にアカデミズムを乗り越えて 僕らの現実の問題に浮かび上がってきているような心証を強く受ける。
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少なくとも ついこの間まで シリコンバレーで働いている人が 世界観を描き出すというような事は想像しにくかった。マイクロソフトですら PCの教祖ではあっても 世界観を説く伝道師ではなかった。その意味で最近のGoogleという企業を取り巻く言説は全く新しい現象だと思う。いまやGoogleは「新しい世界観を齎すもの」というカリスマ性すら感じられるくらいだ。
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本書を読んでいると それをひしひしと感じる。ネットが人間に及ぼしている影響は本当に大きい。良しにつけ 悪しきにつけ。
紙の本
楽しく読めるビジネス書
2006/10/30 16:11
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:KARASU - この投稿者のレビュー一覧を見る
今後の市場の全体像が実にわかりやすく書かれている。具体的な事例がおもしろくて、読ませる。実はアメリカで原書が出てすぐ読んだ。事例の固有名詞が間違っていたり、理屈に合わない記述があったりと、一般書とはいえかなりいい加減だった。グラフと文章の内容が一致していない部分さえあり、ちょっと目を疑うほどの誤りのオンパレードだったが、アメリカではときどきあることで、それでも重箱の隅をつつくような人はあまりいないのでベストセラーになる。ところで日本語訳ができたのでざっと読んでみたが、ちゃんと自然な感じで誤りが訂正されていた。短期間で訳書が出たことを考えると、訳者はよくやっていると思う。原書より日本語訳のほうがずっとまともだ。日本語訳を読むべし。
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8月8日読了。流行の「ロングテール」の考え方をはじめて提唱したのがこの人だとかで、理論を説明するよりも「ほらあんな現象も、こんな企業もロングテール!ロングテール!」と著者の熱気と興奮が伝わってくるようだ。なるほど全ての商品の情報を提供できること・そしてその全てが簡便に検索できる仕組みがあることにより、従来の小売店が切り捨てていた商品たちを高利益の魅力的な商品として提供できるようになったということか。ビッグなヒット商品を作って世界中に届ける、というモデルは旧来の世界にとっては最適化されたものだったのだろうがもはや世界は変わったのか、それともずっと以前から世界の姿は変わってなくて、単に今までの世界の仕組み(特に物流?)が不完全だっただけなのか。いろいろ考えるネタをくれる本だ。
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読んでいると次々と身近な例やイマジネーション、今後の可能性がわき上がってくる面白い本。アメリカでのインターネットのインパクトがより強く感じられます。各ビジネスの歴史的背景やなんかの詳述もされているので人によって楽しみ方は変わりそう。
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従来の店舗型の小売業では商品の数の多さに関係なく、利益の8割は上位2割の商品から得られるという「80対20の法則」が成り立っていた。しかし、オンライン小売業ではこの法則は通用しない。オンラインの小売業者は商品棚の限界が存在しないので、残りの8割の需要にも応えられるのである。なかでも、iTunes Storeのような完全にデジタル化されたサービスでは、商品棚もいらないし製造コストもかからず、流通コストもほとんど不要である。ニッチ商品を売って得られる利益はヒット商品を上回ることもしばしばあるという。この結果として、店舗型小売業者で売られている上位20%の商品は店舗型では約80%の利益を稼ぎ出すが、オンライン小売業では33%にまで下がってしまうという。ロングテール市場の発達によって、私たち消費者の選択肢は圧倒的に広がった。だが、選択肢が多くなりすぎてしまったことにより、自分が本当に必要としているものが探しにくくなるということも懸念される。
また、本書ではwikipediaなどをはじめとしたWeb2.0に関することにも触れられている。具体的な事例を用いて説明されていたので、旬なトピックをわかりやすく理解することができた。
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近年よく聞くようになった「ロングテール」、その意味と生まれた背景を解説した本。
・インターネットの発達により移動しなくても商品を買えるようになった。
・通信販売は店舗販売に比べ、場所が必要なく商品を幾らでも揃えられる。
・普通なら店に並ばない商品を求める人も少数派だが存在する。
・少数派が求める商品を多数揃える事ができれば、十分な利益を得る事ができる。
・ニッチ商品の情報がネットの存在で手に入りやすくなった。(例:amazon,niconico)
・少数の選択肢は選択者を惑わせるが、多数の選択肢はそうとは限らない。情報が存在する上での選択肢の多さは購買意欲を刺激する。
こう考えると、普段何気なく使うamazon等の素晴らしさ、時代の変化の早さを改めて実感する。
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この本を読んで強く感じたのは、2つだ。
まずは、「どんな商品も売れる」。
もう1つは、「”究極的”に合理化された社会を実現するべく技術が進化する」。
キーワードは「98%の法則」「ピア・プロダクション」「フィルタリング」だと思う。
98%の法則は3ヶ月以内に売れる商品の割合だ。パレートの法則とはまるで違う。
ピア・プロダクションは協業/共業のことだ。お金のためというよりは、趣味や社会のためといった動機でされる。
フィルタリングは、多様な商品の中から自分と”質”があった商品を探し、市場を創造する核になる。広告・PRなどのプレ・フィルタだけでなく、ブログやレビューなどポスト・フィルタが重要になる。
僕が特におもしろいなと思ったのは、「ハリウッド型のヒット製造機は個人ではつくれないが、意外性のあるちょっとしたものなら個人でもできる。低コストで生産・流通・販売できるならそれで十分価値がでる」ということだった。
Webに興味がある人、小売やメーカーに勤めている人には特に面白いと思う。
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ロングテールという言葉の生みの親、クリス・アンダーソンの著作。
PCというインフラのために、既存の80:20だけでなく、こういった「べき分布」が見られるようになることを多角的に何度も説明してくれる本。
でも、一概にこれだけが全てではないけど、それを反故にしてはいけないというなんとももどかしいもの。
大衆という物は存在しない。人々を大衆と見る方法が存在するだけだ。のくだりは秀逸。
以下、メモ
ロングテールの法則は9つ
■コストを削減する
1-在庫は外注かデジタルに
2-顧客に仕事をしてもらう
■ニッチに注目する
3-流通経路を広げる
4-消費形態を増やす
5-価格を変動させる
■支配をやめる
6-情報を公開する
7-どんな商品も切り捨てない
8-市場を観測する
9-無料提供をおこなう
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隣の部署の部長に、薦められてFREEとセットで購入。
買いたてのiPhoneが、まさにこれのビジネスモデルなのかな。
いま、世の中劇的にが変わっているんだと、ドキドキしながら読みました。
ただ、最後の方はおんなじコトの繰り返しに飽きたんで、★4つで。
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今更ながら読んでみましたが、改めてロングテールの本質を再認識した良書でした。米語で出版された当時は凄まじいインパクトだったのでしょう。
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Freeに引き続きクリスアンダーソンの本である。
目新しさ自体はFreeに比べるとそんなにはなく、まだtwitterが出てきていない時代の本であるのも驚き。そしてそこまで時代が来たことにもまた驚く。この本はすでに4年前の本であり、その時とは状況が全然変わっている。
ロングテールの商品はどこでも溢れているが、日本の携帯は相変わらず料金は高い。あれではだめだ。
クリスアンダーソンの理論が全てではないが、日本の高円寺や下北沢のアーティストはかなり勇気づけられるような内容でもある。
売れない=ダメ
ということではなくなったからである。
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やっぱりこの人面白いし、読みやすいです。
売れてるものがいいとは限らない。そういう時代は終わった。
そして、今はレコメンデーションというフィルターが有効的。
ただ、選択肢が多すぎるかも。選択眼を鈍らせてしまっている??
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ワイアードでの初出が2004年。
時代がどんどん進んでいるので、今では当たり前になった事柄もある。とはいえ、楽しく読めるし十分有効。
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商品の説明
ロングテール 「売れない商品」を宝の山に変える新戦略
インターネット小売市場の特性を表した言葉「ロングテール」を提唱した米IT誌『ワイアード』の編集長が、ロングテールが経済に与える影響を解説した一冊。
音楽配信などのネットの小売市場では、販売数が少なくて通常店舗で扱えないようなニッチ商品でも確実に売れる現象が起こっている。商品を売上高の順に並べた棒グラフを作ると、ニッチ商品の売り上げが恐竜の尾のように延々と続く。この長く伸びた部分、すなわちロングテールは、売れ筋商品に匹敵する大きな市場であり、ITにより商品管理や流通コストを限りなくゼロに近づけたことでビジネスとして成立するようになった。ネット上では、商品の流通や消費、そして生産の形態までが従来の経済とは大きく変わると筆者は説く。
センセーショナルな内容だけに、出版後は各方面で議論が巻き起こった。例えば「ネット小売店の商品の98%は、3カ月に一度は売れる」という「98%の法則」に反論が出たが、この法則の趣旨は数字そのものではない。訴えたいのは、大衆を狙った少数のヒット商品だけでなく、ターゲットを絞り込んだ商品でもビジネスが成立するという、経済の変化である。
(日経コンピュータ 2006/11/13 Copyright©2001 日経BP企画..All rights reserved.)
どんな風に売っていくのか?
というのはとても大事なことですよね。
売り方もインターネットという環境ができて随分変わったところもあると思います。
いい形で活かせるのかどうか?
それ次第でしょうか??